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第三部
68話 目撃
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朝、教室へ入ってすぐ、あおいがサキに目と仕草で合図されているのを目撃した。
そしてあおいは教室の外へ向かうサキの後へ付いていった。
この光景、前にも見たことある。実は。
と言うか、昨日見た!
ちょっとドキドキしてしまう。
2日続けて、朝からサキに呼び出されるあおい。
何だろう……。
このドキドキする気持ちは嫉妬なんだろうか?
おれはカバンの中から本を取り出した。
図書館で借りた本だ。
これを図書館へ返しに行こうと思って……と言う言い訳が、もし尾行にバレた場合にできる、とアリバイ工作(?)を考えるとおれは2人に付いていった。
2人は少し離れて歩きながら――サキがあおいの少し前を先導している――だんだん人気の少ない方へ向かった。
ほぼ使う生徒がいない階段の方だ。
おれも2人が階段の方へを上がっていくのを見届けてから、こっそりその方へ歩み寄った。
廊下を歩く他の生徒に『明らかに尾行している』と不審に思われないよう、自然な感じで……。
と言っても、もはや『図書館へ本を返しに行く』と言うフリはできまい。
全然図書館とは方向が違うから。
おれは2人が上がっていった階段の下へ来ると、見上げた。
かすかに話し声が聞こえる。
が何を言っているかまではわからない。
懸命に耳を澄ませば聞こえるかも知れないけど、盗み聞きだと思ったのでやめた。
どうやら2人は人気の少ない場所であるこの階段の中間点である踊り場を越えた辺り――特に人目に付かない場所――で、教室ではできない話をしているようだ。
何の話?
いや……。
本当に、何の話だろう?
女男2人きりで……朝から……。
もしかして……。とおれの脳が勝手に想像する。
『あおいくんのココ……。
こんなになってる……』
!?
おれは額に手を当てつつ、
『ちょっとそう言う漫画の読み過ぎだ……』と反省した。
自動的に想像されるなど……重症だ。
いやしかし。
まさか……とつい思ってしまう。
いや。絶対ない!
だってあおいはおれと付き合っているし!
ないない……。
もちろん、信じている。
あおいはそんな子じゃないと……。
『私のココもあおいくんのこと考えたら、こんなになっちゃった……』
だから!(自動想像やめろ)
もう自分がイヤだ……
と自己嫌悪していると、
「えっ!?
何か……かたい!」
と言う声が、階段の上から聞こえてきた。
少し大きめの声だったから、耳を澄ませずとの自然に聞こえてきたのだ。
!?
サキの声だ。
おれは『えっ!? 何!?』と混乱しながら、今までは話を盗み聞こうとは思っていなかったのだが、つい耳を澄ませ始めてしまった……。
「え~。
何でこんなにかたいの?」
と言う声は再びサキだ。
それに答えて
「コレ、優秀なんだ」
と言うあおいの声。
『コレ』!?
何コレ!? と思いつつ、じっと耳をかたむける。
「え~。ちょっと優秀過ぎない?」
と言うのはサキ。
「スゴい役立ってるよ」
とあおい。
「前から思っていたけど……大丈夫なの、コレ?」
とサキが言うのにあおいが答える。
「何が?」
「ちゃんと……元のサイズに戻るの?」
「いや、サイズ変わってないから」
「え~?」
「見た目が変わるだけだから」
「そうかなあ……。
なんか、明らかに……物理的におかしくないかな……?
質量的に?
と思うけど。
……まあ、いいか」
とサキは話を一旦打ち切り、
「もっと練習しよ!」
と言う。
「え~もういいでしょ?」
とあおいの不満の声が聞こえる。
「もっと練習した方が絶対いいよ!」
な……。
何の練習だろ……。
どうしよう、2人が何の話をしているか全然わからない!
とオロオロしながら、階段の下から上を見上げていると……。
不意にあおいとサキが腕を組みながら、踊り場に現れた。
現れた瞬間にすぐおれに気付き――目が合ったのだ――2人は硬直した。
おれも硬直する。
「……」
気まずい沈黙後、腕を組んでいたあおいとサキがパッと離れた。
「りん」
と言いながら、あおいが階段を慌てた様子で降りてくる。
「どうしたの? こんな所で……」
おれはハッとして持っていた本を見せつつ
「えっと……。本を……図書館へ……」
と言ったが。
いや、図書館はこちらの方向じゃない!
「……返しに行こうと思ったらあおいが見えたから、どこへ行くんだろう、と付いてきた」
とおれは結局尾行を白状した。
少しだけ尾行理由をマイルドにして――『図書館へ行くとき「偶然」あおいを見かけた』と。
本当は意図的に(図書館へ本を返しに行くフリをしつつ)尾行したのだが……。
「そっか……」
「2人は……」
とおれは決心して聞いた。
付き合っているんだから、聞く権利あるはずだ!
たとえ尾行をしたと言う負い目があっても。
「ここで何していたの?」
「2人じゃないよ」
と言う声が上から聞こえた。
見上げると、サキの横にいつの間にかキョウもいた。
手を振っている。
「2人きりじゃないから安心して」
「そうそう」
とサキもぎこちない笑顔を浮かべている。
おれは渋々と言う感じで頷いた。
が、内心ホッと安心していた。
少なくとも2人きりじゃなかったなら……
アヤシイことをしていたわけじゃなさそうだ。
いや、もともと信じているけど!
「あ、りん。
おめでとう~。
あおいちゃんと両思いになれて。
今更改めて言うのもなんだけど」
とキョウがにこやかに言った。
「そうそう」
とサキもぎこちない笑顔をまだ浮かべつつ、言った。
「おめでと~」
「あ、ありがとう……」
期せずしてここで、昨日できなかったこと――2人へ告白の報告――ができたわけだ。
でもこの3人、ほんと朝から何を話していたんだろう……。
それにあおいは何故サキと腕を組んでいたのだろう?
モヤモヤしたが、理由を聞いている暇もなく、おれたちは教室へ戻った。
帰りに聞こう、と思った。
※※※
授業中。
つい、今朝のことを考えてしまう。
そう言えばあおいはサキと仲が良かった。
と言うか、サキはあおいがタイプで、かつ以前はあおいによく近付いていたんだ!
あおいの方も、サキとは気の置けない感じで話しているところをよく見かける。
サキは美少女だ。
少し冷たそうに見えるけど、性格も良い、と最近見えてきた。
あおいはサキを好きにならないんだろうか?
あおいの心は女の子だ。
と考える。
だからおれはゲイではないけど、あおいの身体が男でも好きになった。
じゃあ、逆もあるのでは?
あおいの身体が男なら、心が女でも、女の子を好きになる可能性があるのでは?
と言うか可能性を考えるなら、いっぱい、ある!
あおいは両性愛――『バイ』――の可能性だってある。
もしそうなら、あおいはサキに惹かれることだってあるのかも……。
もうヤダ……と思った。
考えるのって、大変だ。
ここ3日ほど、すごく幸せで、ほとんど何も――これからの未来以外――考えていなかったから、久々の感覚だった。
そう言えば、本来おれはこう言う性格――何でも考え込む性格――だった。
思い出す。
久々に『現実』に戻ったな、と思った。
今までずっと舞い上がっていたんだ……。
どうしよう……おれ、変じゃなかったかな?
とにかく帰り道に、あおいに色々聞こう、と思った。
『あおいは女の子を好きになったことないの?』
とも聞いてみよう。
そしてあおいは教室の外へ向かうサキの後へ付いていった。
この光景、前にも見たことある。実は。
と言うか、昨日見た!
ちょっとドキドキしてしまう。
2日続けて、朝からサキに呼び出されるあおい。
何だろう……。
このドキドキする気持ちは嫉妬なんだろうか?
おれはカバンの中から本を取り出した。
図書館で借りた本だ。
これを図書館へ返しに行こうと思って……と言う言い訳が、もし尾行にバレた場合にできる、とアリバイ工作(?)を考えるとおれは2人に付いていった。
2人は少し離れて歩きながら――サキがあおいの少し前を先導している――だんだん人気の少ない方へ向かった。
ほぼ使う生徒がいない階段の方だ。
おれも2人が階段の方へを上がっていくのを見届けてから、こっそりその方へ歩み寄った。
廊下を歩く他の生徒に『明らかに尾行している』と不審に思われないよう、自然な感じで……。
と言っても、もはや『図書館へ本を返しに行く』と言うフリはできまい。
全然図書館とは方向が違うから。
おれは2人が上がっていった階段の下へ来ると、見上げた。
かすかに話し声が聞こえる。
が何を言っているかまではわからない。
懸命に耳を澄ませば聞こえるかも知れないけど、盗み聞きだと思ったのでやめた。
どうやら2人は人気の少ない場所であるこの階段の中間点である踊り場を越えた辺り――特に人目に付かない場所――で、教室ではできない話をしているようだ。
何の話?
いや……。
本当に、何の話だろう?
女男2人きりで……朝から……。
もしかして……。とおれの脳が勝手に想像する。
『あおいくんのココ……。
こんなになってる……』
!?
おれは額に手を当てつつ、
『ちょっとそう言う漫画の読み過ぎだ……』と反省した。
自動的に想像されるなど……重症だ。
いやしかし。
まさか……とつい思ってしまう。
いや。絶対ない!
だってあおいはおれと付き合っているし!
ないない……。
もちろん、信じている。
あおいはそんな子じゃないと……。
『私のココもあおいくんのこと考えたら、こんなになっちゃった……』
だから!(自動想像やめろ)
もう自分がイヤだ……
と自己嫌悪していると、
「えっ!?
何か……かたい!」
と言う声が、階段の上から聞こえてきた。
少し大きめの声だったから、耳を澄ませずとの自然に聞こえてきたのだ。
!?
サキの声だ。
おれは『えっ!? 何!?』と混乱しながら、今までは話を盗み聞こうとは思っていなかったのだが、つい耳を澄ませ始めてしまった……。
「え~。
何でこんなにかたいの?」
と言う声は再びサキだ。
それに答えて
「コレ、優秀なんだ」
と言うあおいの声。
『コレ』!?
何コレ!? と思いつつ、じっと耳をかたむける。
「え~。ちょっと優秀過ぎない?」
と言うのはサキ。
「スゴい役立ってるよ」
とあおい。
「前から思っていたけど……大丈夫なの、コレ?」
とサキが言うのにあおいが答える。
「何が?」
「ちゃんと……元のサイズに戻るの?」
「いや、サイズ変わってないから」
「え~?」
「見た目が変わるだけだから」
「そうかなあ……。
なんか、明らかに……物理的におかしくないかな……?
質量的に?
と思うけど。
……まあ、いいか」
とサキは話を一旦打ち切り、
「もっと練習しよ!」
と言う。
「え~もういいでしょ?」
とあおいの不満の声が聞こえる。
「もっと練習した方が絶対いいよ!」
な……。
何の練習だろ……。
どうしよう、2人が何の話をしているか全然わからない!
とオロオロしながら、階段の下から上を見上げていると……。
不意にあおいとサキが腕を組みながら、踊り場に現れた。
現れた瞬間にすぐおれに気付き――目が合ったのだ――2人は硬直した。
おれも硬直する。
「……」
気まずい沈黙後、腕を組んでいたあおいとサキがパッと離れた。
「りん」
と言いながら、あおいが階段を慌てた様子で降りてくる。
「どうしたの? こんな所で……」
おれはハッとして持っていた本を見せつつ
「えっと……。本を……図書館へ……」
と言ったが。
いや、図書館はこちらの方向じゃない!
「……返しに行こうと思ったらあおいが見えたから、どこへ行くんだろう、と付いてきた」
とおれは結局尾行を白状した。
少しだけ尾行理由をマイルドにして――『図書館へ行くとき「偶然」あおいを見かけた』と。
本当は意図的に(図書館へ本を返しに行くフリをしつつ)尾行したのだが……。
「そっか……」
「2人は……」
とおれは決心して聞いた。
付き合っているんだから、聞く権利あるはずだ!
たとえ尾行をしたと言う負い目があっても。
「ここで何していたの?」
「2人じゃないよ」
と言う声が上から聞こえた。
見上げると、サキの横にいつの間にかキョウもいた。
手を振っている。
「2人きりじゃないから安心して」
「そうそう」
とサキもぎこちない笑顔を浮かべている。
おれは渋々と言う感じで頷いた。
が、内心ホッと安心していた。
少なくとも2人きりじゃなかったなら……
アヤシイことをしていたわけじゃなさそうだ。
いや、もともと信じているけど!
「あ、りん。
おめでとう~。
あおいちゃんと両思いになれて。
今更改めて言うのもなんだけど」
とキョウがにこやかに言った。
「そうそう」
とサキもぎこちない笑顔をまだ浮かべつつ、言った。
「おめでと~」
「あ、ありがとう……」
期せずしてここで、昨日できなかったこと――2人へ告白の報告――ができたわけだ。
でもこの3人、ほんと朝から何を話していたんだろう……。
それにあおいは何故サキと腕を組んでいたのだろう?
モヤモヤしたが、理由を聞いている暇もなく、おれたちは教室へ戻った。
帰りに聞こう、と思った。
※※※
授業中。
つい、今朝のことを考えてしまう。
そう言えばあおいはサキと仲が良かった。
と言うか、サキはあおいがタイプで、かつ以前はあおいによく近付いていたんだ!
あおいの方も、サキとは気の置けない感じで話しているところをよく見かける。
サキは美少女だ。
少し冷たそうに見えるけど、性格も良い、と最近見えてきた。
あおいはサキを好きにならないんだろうか?
あおいの心は女の子だ。
と考える。
だからおれはゲイではないけど、あおいの身体が男でも好きになった。
じゃあ、逆もあるのでは?
あおいの身体が男なら、心が女でも、女の子を好きになる可能性があるのでは?
と言うか可能性を考えるなら、いっぱい、ある!
あおいは両性愛――『バイ』――の可能性だってある。
もしそうなら、あおいはサキに惹かれることだってあるのかも……。
もうヤダ……と思った。
考えるのって、大変だ。
ここ3日ほど、すごく幸せで、ほとんど何も――これからの未来以外――考えていなかったから、久々の感覚だった。
そう言えば、本来おれはこう言う性格――何でも考え込む性格――だった。
思い出す。
久々に『現実』に戻ったな、と思った。
今までずっと舞い上がっていたんだ……。
どうしよう……おれ、変じゃなかったかな?
とにかく帰り道に、あおいに色々聞こう、と思った。
『あおいは女の子を好きになったことないの?』
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