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第二部
49話 キョウへ再び質問
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ぼんやりとした背景の中、あおいがおれに微笑んでいる。
「りん、カッコイイ……」
「あおい……」
「りん。
そんな切ない顔しないで」
あおいが微笑みを深くする。
「りんのこと、食べたくなっちゃう……」
「いいよ、あおい」
とおれは答える。
「えっ」
「食べて……いいよ」
「でも、りん……」
「おれも同じ気持ちだから」
「りん。いいの……?」
「うん。
おれ、あおいの中に……」
※※※
そこで目が覚めた。
※※※
あおいに『告白』されてから2日目の朝。
何て言う夢を見てしまったんだ。
きっと薔薇ものの読み過ぎだ。
……などと悶々としながら駅までの道を歩いていた。
でも、夢の中のおれはあおいを拒まなかった。
もしかして現実でもイケるんじゃないか?
と言うか夢の中のおれはきっと現実のおれより素直で。
おれのホントの気持ちを教えてくれたんじゃないか?
ほんとの願望を。
『おれ、あおいの中に……』
いや!?
何思い出しているんだ!?
……ハア。
とため息を吐いた。
もしかして、おれ変態なんじゃないか?
何でまだ付き合ってもいないのに
『付き合った後最終的に行き着くと思われるところ』
を想像して。
無理だとか思ったり。
そのくせ、その手前の状況の夢を見たりしているんだ。
あおいはおれに告白したけど。
そこまでは考えていないんじゃないか?
だって返事を求めなかったし。
あおいはただ恋愛感情でおれを好きだっただけで。
それは精神的な愛情かもしれないじゃないか。
ハア。
と再びため息を吐いた。
おれ、ほんとむっつりだ……。
恥ずかしい。
と、とぼとぼと歩く。
※※※
今日は、昨日よりもあおいと自然に接することが出来ていると思う。
でも、変に意識してしまっている部分もある。
あおいのお尻を見て、慌てて目をそらしたり。
へ……変態だー!
「はあ……」
とため息を吐きながらトイレから教室へ戻るとき。
「何だか悩ましげだねぇ?」
と横から声をかけられた。
その方を見るとキョウがいつも通りの微笑みをたたえて、おれを見ていた。
「どうかした?」
「いや……」
と言ってから。
キョウに聞いてみようかな、と思った。
もしかするとキョウに聞くことでこのモヤモヤを解消できるかもしれない。
昨日の『男を好きになることについて悩んだことが無い』発言のような目からウロコの答えが聞けて、あるいは心が軽くなるかもしれない。
またキョウに『距離感を読まない』質問をしてしまうけど……。
その点は申し訳ないけど。
まわりを見渡し誰もおれたちを気にしていないことを確認すると、おれはキョウを緊張しつつ見つめた。
「キョウさ」
「ん?」
とにこやかに首をかしげるキョウ。
そんな屈託のないキョウを見て。
やっぱりダメだ、とひるんだ。
いくら何でも、やはり聞いちゃダメなんじゃないか?
『キョウは男同士でキス以上できる?』
……なんて。
まだ全然、聞ける仲じゃないだろ!
昨日の質問、『同性を好きになることについて悩んだか?』だって。
キョウは困った顔をしていたじゃないか!
また困らせるのダメだ!
それで。
「いや。ごめん。
何でもない」
と愛想笑いしながら流すと、キョウは目を丸くした後頬を膨らませ、
「えー、何?
何言おうとしたの?
途中でやめないでよ。
気になるでしょ」
「いや……大したことじゃないから」
「じゃあ。いいじゃん。
言って。
何?」
「えーと……」
「何?」
と可愛い顔を近づけてくるキョウに合わせて、おれは身体を引いた。
それでもなおキョウは身体を寄せてきてジーッとおれを見てくる。
仕方ない、言ってやる!
こうなりゃヤケだ!
「キョウってさ」
と目をそらしつつ言うと。
「ん? 何?」
と言う明るい相槌が聞こえてくる。
ごめん、キョウ。
また困らせると思うけど……。
「男同士で付き合うことに……抵抗ない?」
と言ってから、キョウをチラリと横目で見ると。
ピシリ。と笑顔のままキョウは固まっていた。
あわわ……。
やっぱり!
ダメな質問をしてしまった!
……と焦る。
「ご、ごめん、答えにくいよな!
答えなくていいから!
全然!」
「いや」
とキョウは固まった状態から動き出すと苦笑いをし、
「僕が。
無理に聞き出したわけだし。
答える義務、あるかな……」
目を細め少し考えてから、
「しょ……正直に。正直に言うけど!
ある」
と、言った。
……
えっ!?
「えっ!?」
と実際に口に出し、目を見開いてキョウを見ると。
キョウは困った笑顔をしながら、
「りんの質問は。
僕は『男同士で恋人同士になることに抵抗あるか』でしょ?
――『ある』」
おれは文字通りあんぐりと口を開けキョウを見た。
あ、あるの!?
えっ……あるの!?
「あ、そうなんだ……」
と、口では軽めの反応を返したが。
心の中ではキョウの答えがぐるぐると回っていた。
『男同士、恋人になることに抵抗ある』
えっ?
あるの!?
おれはやはりもっと空気が読めない質問をせざるを得なかった。
だってこのままじゃ訳がわからないから。
一日中ずっとこの疑問のことばかり考えてしまいそうだから。
決心して、またキョウに申し訳ない質問をした。
ごめん。
「でも。
キョウってあおいのこと好きなんだよな?」
キョウは『困った笑顔』すら消して、困った顔をした。
ごめん。
「う、うん。
僕、あおいちゃんのこと好きだよ」
「それって。
あおいと……付き合いたいってこと。……だよな?」
とおそるおそる聞くと。
キョウは少し沈黙してから、
「そうだよ」
と答えると、おれから目をそらしつつ、
「僕、あおいちゃんと付き合えたらいいな、と思っているよ」
おれは気まずそうなキョウを見て、罪悪感を感じた。
本当に嫌な質問をしてしまった。
キョウの気持ちも考えず。
悪かった。
「そっか」
と相槌を打ってから謝ろうともう一度口を開く前に。
「ごめんね」
とキョウが先に謝った。
何でキョウが謝るんだろう?
嫌な質問をしてしまったのはおれの方なのに。
『男同士で恋人同士になることに抵抗がある』
『あおいと付き合いたい』
と言う矛盾した答えをしたことを謝っているのかな?
キョウって本当に良い奴なんだ。
おれはキョウの謝罪に慌てて首を振り、
「こちらこそ。
答えにくいことばかり聞いてるよな。
ごめん」
と頭を下げた。
キョウは「全然いいよ」と困った笑顔で微笑んだ。
「りん、カッコイイ……」
「あおい……」
「りん。
そんな切ない顔しないで」
あおいが微笑みを深くする。
「りんのこと、食べたくなっちゃう……」
「いいよ、あおい」
とおれは答える。
「えっ」
「食べて……いいよ」
「でも、りん……」
「おれも同じ気持ちだから」
「りん。いいの……?」
「うん。
おれ、あおいの中に……」
※※※
そこで目が覚めた。
※※※
あおいに『告白』されてから2日目の朝。
何て言う夢を見てしまったんだ。
きっと薔薇ものの読み過ぎだ。
……などと悶々としながら駅までの道を歩いていた。
でも、夢の中のおれはあおいを拒まなかった。
もしかして現実でもイケるんじゃないか?
と言うか夢の中のおれはきっと現実のおれより素直で。
おれのホントの気持ちを教えてくれたんじゃないか?
ほんとの願望を。
『おれ、あおいの中に……』
いや!?
何思い出しているんだ!?
……ハア。
とため息を吐いた。
もしかして、おれ変態なんじゃないか?
何でまだ付き合ってもいないのに
『付き合った後最終的に行き着くと思われるところ』
を想像して。
無理だとか思ったり。
そのくせ、その手前の状況の夢を見たりしているんだ。
あおいはおれに告白したけど。
そこまでは考えていないんじゃないか?
だって返事を求めなかったし。
あおいはただ恋愛感情でおれを好きだっただけで。
それは精神的な愛情かもしれないじゃないか。
ハア。
と再びため息を吐いた。
おれ、ほんとむっつりだ……。
恥ずかしい。
と、とぼとぼと歩く。
※※※
今日は、昨日よりもあおいと自然に接することが出来ていると思う。
でも、変に意識してしまっている部分もある。
あおいのお尻を見て、慌てて目をそらしたり。
へ……変態だー!
「はあ……」
とため息を吐きながらトイレから教室へ戻るとき。
「何だか悩ましげだねぇ?」
と横から声をかけられた。
その方を見るとキョウがいつも通りの微笑みをたたえて、おれを見ていた。
「どうかした?」
「いや……」
と言ってから。
キョウに聞いてみようかな、と思った。
もしかするとキョウに聞くことでこのモヤモヤを解消できるかもしれない。
昨日の『男を好きになることについて悩んだことが無い』発言のような目からウロコの答えが聞けて、あるいは心が軽くなるかもしれない。
またキョウに『距離感を読まない』質問をしてしまうけど……。
その点は申し訳ないけど。
まわりを見渡し誰もおれたちを気にしていないことを確認すると、おれはキョウを緊張しつつ見つめた。
「キョウさ」
「ん?」
とにこやかに首をかしげるキョウ。
そんな屈託のないキョウを見て。
やっぱりダメだ、とひるんだ。
いくら何でも、やはり聞いちゃダメなんじゃないか?
『キョウは男同士でキス以上できる?』
……なんて。
まだ全然、聞ける仲じゃないだろ!
昨日の質問、『同性を好きになることについて悩んだか?』だって。
キョウは困った顔をしていたじゃないか!
また困らせるのダメだ!
それで。
「いや。ごめん。
何でもない」
と愛想笑いしながら流すと、キョウは目を丸くした後頬を膨らませ、
「えー、何?
何言おうとしたの?
途中でやめないでよ。
気になるでしょ」
「いや……大したことじゃないから」
「じゃあ。いいじゃん。
言って。
何?」
「えーと……」
「何?」
と可愛い顔を近づけてくるキョウに合わせて、おれは身体を引いた。
それでもなおキョウは身体を寄せてきてジーッとおれを見てくる。
仕方ない、言ってやる!
こうなりゃヤケだ!
「キョウってさ」
と目をそらしつつ言うと。
「ん? 何?」
と言う明るい相槌が聞こえてくる。
ごめん、キョウ。
また困らせると思うけど……。
「男同士で付き合うことに……抵抗ない?」
と言ってから、キョウをチラリと横目で見ると。
ピシリ。と笑顔のままキョウは固まっていた。
あわわ……。
やっぱり!
ダメな質問をしてしまった!
……と焦る。
「ご、ごめん、答えにくいよな!
答えなくていいから!
全然!」
「いや」
とキョウは固まった状態から動き出すと苦笑いをし、
「僕が。
無理に聞き出したわけだし。
答える義務、あるかな……」
目を細め少し考えてから、
「しょ……正直に。正直に言うけど!
ある」
と、言った。
……
えっ!?
「えっ!?」
と実際に口に出し、目を見開いてキョウを見ると。
キョウは困った笑顔をしながら、
「りんの質問は。
僕は『男同士で恋人同士になることに抵抗あるか』でしょ?
――『ある』」
おれは文字通りあんぐりと口を開けキョウを見た。
あ、あるの!?
えっ……あるの!?
「あ、そうなんだ……」
と、口では軽めの反応を返したが。
心の中ではキョウの答えがぐるぐると回っていた。
『男同士、恋人になることに抵抗ある』
えっ?
あるの!?
おれはやはりもっと空気が読めない質問をせざるを得なかった。
だってこのままじゃ訳がわからないから。
一日中ずっとこの疑問のことばかり考えてしまいそうだから。
決心して、またキョウに申し訳ない質問をした。
ごめん。
「でも。
キョウってあおいのこと好きなんだよな?」
キョウは『困った笑顔』すら消して、困った顔をした。
ごめん。
「う、うん。
僕、あおいちゃんのこと好きだよ」
「それって。
あおいと……付き合いたいってこと。……だよな?」
とおそるおそる聞くと。
キョウは少し沈黙してから、
「そうだよ」
と答えると、おれから目をそらしつつ、
「僕、あおいちゃんと付き合えたらいいな、と思っているよ」
おれは気まずそうなキョウを見て、罪悪感を感じた。
本当に嫌な質問をしてしまった。
キョウの気持ちも考えず。
悪かった。
「そっか」
と相槌を打ってから謝ろうともう一度口を開く前に。
「ごめんね」
とキョウが先に謝った。
何でキョウが謝るんだろう?
嫌な質問をしてしまったのはおれの方なのに。
『男同士で恋人同士になることに抵抗がある』
『あおいと付き合いたい』
と言う矛盾した答えをしたことを謝っているのかな?
キョウって本当に良い奴なんだ。
おれはキョウの謝罪に慌てて首を振り、
「こちらこそ。
答えにくいことばかり聞いてるよな。
ごめん」
と頭を下げた。
キョウは「全然いいよ」と困った笑顔で微笑んだ。
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