41 / 74
第一部
41話 経緯を話す
しおりを挟む
ファミレスに誘われたものの、誰も聞いていないとは言え人が多い場所で話す内容ではないと思ったので、私たち――キョウとサキと私――は駅までの歩道の途中にある小さなベンチに座り話をすることにした。
私は2人に何があったか説明した。
私の秘密――実は女――を知っていて、架空の存在『みどり』でっちあげの協力者の2人とも共有しなければならない情報だと思ったのだ。
私は……
りんが『みどり』は『あおい』だと気付いたこと。
しかし『あおい』が女だとまでは気付いていないこと(『みどり』を『あおい』の女装だと思っていること)。
『みどり』の写真をサキの偽装だと思っていること。
……などを話した。
サキは『みどり』の写真を合成写真だと思われたことにプリプリした。
「ひどいよゲスパー」
とサキは言った。
「合成写真だなんてひどいよ!」
サキは自分が咄嗟に合成写真を作って人をだますことのできる人間だと思われたことが不満のようだ……
「みどりちゃんの胸の谷間を別人の物だと思うなんて許せない!」
……違った。
「そうだよ!」
とキョウもこぶしを作った。
「合成でも偽物でもない!
みどりちゃんの本物の胸の谷間だ!」
「そうよ!
みどりちゃんの胸への侮辱よ!」
この2人は変なところで気が合うな、と私は思った。
「……でも」
とサキは私をしかめっ面で見つめた。
「加藤(りん)くんってほんとすごい。
ほぼあってる。よね?」
と言うと目を空にさまよわせながら、
「『みどり』ちゃんは『あおい』くんの変装。あってる。
『みどり』の名前は『碧』の別読みから取った。あってる。
鈴木くんと私はあおいくんの秘密を共有している。あってる」
と言うと私を見て、困った顔を作りながら、
「でも肝心なところには気付いていない、のね。
あおいくんが実は女ってことには気付いていない」
私がうなづくと、続けて、
「でも、それは、しかたないか。
男子が女子とは普通思わないもんね?」
サキは自分の経験を思い出すような遠い目をした。
私はうん……ともう一度うなづき、そのままうつむいた。
サキに性別を教えたときの罪悪感を思い出し、胸が痛んだ。
「僕も気持ちわかるなあ」
とキョウが言うと、サキはうさんくさげにキョウを見た。
「どう言うこと?」
「僕もあおいちゃんは女の子と言う思い込みがあったからね。
転入時、男子高校生の制服姿のあおいちゃんを見ても全く男だとは思わなかったよ」
とキョウが言うと、サキはうんうんと納得した。
「人ってほんと『思い込み』があるよねえ……」
とつぶやく。
私たちは『人間の脳の癖』に思いを馳せた。
※※※
「ねえ、あおいくん。
加藤くんが『みどり』ちゃんの正体を見破ったのはわかったけど」
サキが不思議そうに私を見る。
「それからどうして、あおいくんは加藤くんの手を握ることになったの?」
それは……あまり言いたくない。
しかし2人に見つめられて、私は仕方なく、
「りんに……
キョウくんとサキは『あおい』が『みどり』ってこと知っているのに。
おれには打ち明けてくれなかった。
嫉妬した。
とか言われて……」
キョウとサキは私をジッと見て、続きを待っている。
「それで。
その……手を握ったの」
と私が言うと、『ん?』と2人は首をかしげた。
サキがジト目で私を見た。
「あおいくんまさか……。
嫉妬した、と言われて。
『りんも私に気があるんだ☆』
と舞い上がって、手を握っちゃったの?」
キョウも、
「友達同士でも嫉妬とか普通にするし……」
とジト目で私を見てくる。
違うよ!
私もいくらなんでも、そこまで浅はかじゃ無い……つもり。
「違う」
と私は慌てて言った。
「りんに、
『嫉妬なんかしなくていい』
と伝えたくて!
それで……握ったの」
2人はまた『ん?』と首をかしげた。
2人の反応にますます落ち込む。
ほんとあのときの私、どうかしていた、とますます後悔した。
「嫉妬なんかしなくていい。わかる。
手を握る。わからない」
とサキが追い打ちをかけてくる。
「はい……」
と私は下を向いた。
今はとても反省している。
「まあまあ」
とキョウがサキに手の平を向けた。
「しかたないよ」
と言うと私を見、微笑んで、
「少し短絡的で衝動的な方が女子は可愛いよ」
サキは唇とがらせた。
「こんなときに好感度稼ぎしないでよ!」
「違うよ」
とキョウは菩薩のような優しい顔をする。
「僕は十分反省しているあおいちゃんをここでまた責めても何にもならないと思ったんだよ」
「そのセリフがあざとい」
「ほんと田中さん性格悪い」
「どこが!
こんなときにあおいくんのためになることを言わず、自分のポイント稼ぎをするような奴の方が性格悪いでしょ!」
「十分落ち込んでいる人をさらに追い詰めて何になるの?」
「まあまあ」
ケンカの仲裁をしている余裕ないのだけど……と思いながら私は仕方なく2人をなだめた。
私は2人に何があったか説明した。
私の秘密――実は女――を知っていて、架空の存在『みどり』でっちあげの協力者の2人とも共有しなければならない情報だと思ったのだ。
私は……
りんが『みどり』は『あおい』だと気付いたこと。
しかし『あおい』が女だとまでは気付いていないこと(『みどり』を『あおい』の女装だと思っていること)。
『みどり』の写真をサキの偽装だと思っていること。
……などを話した。
サキは『みどり』の写真を合成写真だと思われたことにプリプリした。
「ひどいよゲスパー」
とサキは言った。
「合成写真だなんてひどいよ!」
サキは自分が咄嗟に合成写真を作って人をだますことのできる人間だと思われたことが不満のようだ……
「みどりちゃんの胸の谷間を別人の物だと思うなんて許せない!」
……違った。
「そうだよ!」
とキョウもこぶしを作った。
「合成でも偽物でもない!
みどりちゃんの本物の胸の谷間だ!」
「そうよ!
みどりちゃんの胸への侮辱よ!」
この2人は変なところで気が合うな、と私は思った。
「……でも」
とサキは私をしかめっ面で見つめた。
「加藤(りん)くんってほんとすごい。
ほぼあってる。よね?」
と言うと目を空にさまよわせながら、
「『みどり』ちゃんは『あおい』くんの変装。あってる。
『みどり』の名前は『碧』の別読みから取った。あってる。
鈴木くんと私はあおいくんの秘密を共有している。あってる」
と言うと私を見て、困った顔を作りながら、
「でも肝心なところには気付いていない、のね。
あおいくんが実は女ってことには気付いていない」
私がうなづくと、続けて、
「でも、それは、しかたないか。
男子が女子とは普通思わないもんね?」
サキは自分の経験を思い出すような遠い目をした。
私はうん……ともう一度うなづき、そのままうつむいた。
サキに性別を教えたときの罪悪感を思い出し、胸が痛んだ。
「僕も気持ちわかるなあ」
とキョウが言うと、サキはうさんくさげにキョウを見た。
「どう言うこと?」
「僕もあおいちゃんは女の子と言う思い込みがあったからね。
転入時、男子高校生の制服姿のあおいちゃんを見ても全く男だとは思わなかったよ」
とキョウが言うと、サキはうんうんと納得した。
「人ってほんと『思い込み』があるよねえ……」
とつぶやく。
私たちは『人間の脳の癖』に思いを馳せた。
※※※
「ねえ、あおいくん。
加藤くんが『みどり』ちゃんの正体を見破ったのはわかったけど」
サキが不思議そうに私を見る。
「それからどうして、あおいくんは加藤くんの手を握ることになったの?」
それは……あまり言いたくない。
しかし2人に見つめられて、私は仕方なく、
「りんに……
キョウくんとサキは『あおい』が『みどり』ってこと知っているのに。
おれには打ち明けてくれなかった。
嫉妬した。
とか言われて……」
キョウとサキは私をジッと見て、続きを待っている。
「それで。
その……手を握ったの」
と私が言うと、『ん?』と2人は首をかしげた。
サキがジト目で私を見た。
「あおいくんまさか……。
嫉妬した、と言われて。
『りんも私に気があるんだ☆』
と舞い上がって、手を握っちゃったの?」
キョウも、
「友達同士でも嫉妬とか普通にするし……」
とジト目で私を見てくる。
違うよ!
私もいくらなんでも、そこまで浅はかじゃ無い……つもり。
「違う」
と私は慌てて言った。
「りんに、
『嫉妬なんかしなくていい』
と伝えたくて!
それで……握ったの」
2人はまた『ん?』と首をかしげた。
2人の反応にますます落ち込む。
ほんとあのときの私、どうかしていた、とますます後悔した。
「嫉妬なんかしなくていい。わかる。
手を握る。わからない」
とサキが追い打ちをかけてくる。
「はい……」
と私は下を向いた。
今はとても反省している。
「まあまあ」
とキョウがサキに手の平を向けた。
「しかたないよ」
と言うと私を見、微笑んで、
「少し短絡的で衝動的な方が女子は可愛いよ」
サキは唇とがらせた。
「こんなときに好感度稼ぎしないでよ!」
「違うよ」
とキョウは菩薩のような優しい顔をする。
「僕は十分反省しているあおいちゃんをここでまた責めても何にもならないと思ったんだよ」
「そのセリフがあざとい」
「ほんと田中さん性格悪い」
「どこが!
こんなときにあおいくんのためになることを言わず、自分のポイント稼ぎをするような奴の方が性格悪いでしょ!」
「十分落ち込んでいる人をさらに追い詰めて何になるの?」
「まあまあ」
ケンカの仲裁をしている余裕ないのだけど……と思いながら私は仕方なく2人をなだめた。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる