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始まりの刻、記憶之残像
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午前二時。
それが私の起きる時間。
まぁ、巫女だししょうがないけど。
隣では遊鳥が可愛い寝顔で眠っている。
私は遊鳥を起こさないように、寝床から出た。
そして、台所に向かった。
(そう言えば、今日は朝一でお客が来るんだった)
昨日、幸村に朝食を一人分多めにしてくれと言われていた。
(どういうお客なんだろう)
私の知っている人じゃなければいいが。
朝食を作り終える頃には、もう既に五時。
アイツを起こす時間だ。
私は朝食を冷めないようにし、アイツの部屋へ向かった。
神奈「入るぞー」
障子を少し開け、中を見てみると、
熟睡中の幸村がいた。
(たまには早く起きてほしいものだ)
私は幸村の頭の横で座り、幸村の耳に口を近づける。
神奈「…ゆきむら」
幸村「っ!?」
幸村はがばっと起き上がる。
神奈「朝だから起こしに来た」
幸村「お、おう…」
私は幸村の部屋を出て、台所に戻る。
台所に戻ると、いつもどうり遊鳥と渚菜さんがいた。
たくさんの朝食は女中を合わせても足りないくらいだ。
だから遊鳥と渚菜さんに手伝って貰っている。
私は朝食をお皿に盛り、女中達に渡していく。
最後はお客さんと私の分だけだ。
台所を出て、皆が集まっている大広間に向かう。
神奈「失礼します」
大広間の障子を開ける。
そこで目にしたお客さんは、想像を絶する人であった。
私を殺した人間。
あの里の里長、すなわち私の父親だった。
私は知らない人の振りをして、影崎殿の前に朝食を置き、自分の席に座った。
隣に座っている遊鳥は影崎殿を見て少し怯えていた。
遊鳥「お姉、ちゃん…」
神奈「遊鳥、大丈夫だから…」
遊鳥「う、うん」
渚菜さんの方を覗き見ると、顔は普段通りだが、奥でぎりぎりと歯ぎしりをしているように思えた。
挨拶をし、皆朝食を食べ始める。
私は今回のお客の件で、あまり食欲がでなかった。
遊鳥は少し警戒しながらいつもどおりに食べ尽くす。
挨拶をし、皆一斉に自分の仕事に向かう。
私は皆の食器を集めていた。
背後から声をかけられる。
?「…連か?」
恐る恐る振り返ると、影崎殿がいた。
影崎殿「やはり連か!突然居なくなって心配したんだぞ、私の愛しい一人娘」
私は俯きながら答える。
神奈「影崎殿、お話があります。皿洗いが終わったら、お話させて下さい…」
影崎殿「ああ、いいとも」
私は台所で皿洗いをしながら考えていた。
(志哉は一人娘と言っていた。つまり遊鳥を自分の子供だと思っていないのか)
遊鳥は本当に私の妹だ。
家族揃って狂ってるのか?
正常なのは私と遊鳥だけ。
遊鳥を守れるのは私だけ。
遊鳥は絶対に傷つけさせない。
絶対に…。
志哉「話とはなんだ?連」
私は遊鳥を連れて影崎殿を庭に呼び出した。
遊鳥は相変わらず私の後ろに隠れている。
私も確かに逃げ出したい。
でも逃げる訳には行かない。
神奈「影崎殿、私は桜来良神奈と申します」
志哉「何言ってるんだ、お前は私の愛しい娘だろう?」
神奈「私は最初から桜来良神奈という名前です」
影崎殿は首を傾げる。
志哉「いや、俺の娘のはずだ、連」
志哉は、遊鳥に目を向ける。
志哉「後ろのは、子供か?」
神奈「いえ、私の妹です」
影崎殿は、ふんっと、鼻をならす。
志哉「そんな悪魔、家の子じゃない」
神奈「っ!!」
パンッ
志哉「っ!?」
神奈「すみません、つい…」
志哉「……チッ」
なんと悲運な事に、影崎殿のお世話役を昌幸様に頼まれた。
絶対に嫌だ。
あんな愚か者の世話をするなんて。
必ず何かしてくるはずだ。
でも逃げたら遊鳥が危険に晒されるし、何より幸村の隣に居られなくなる。
それどころか、ダメ巫女として噂が広がり、巫女の座を奪われてしまう可能性だってある。
私は仕方なく、志哉の世話役を引き受けた。
今は志哉の部屋へ向かっている真っ最中だ。
神奈「失礼します」
私はいつもどうりの声を発した。
…
返事は返ってこない。
私は障子を開けた。
影崎殿は、私を一瞬睨んだ後、仕事に目を向けた。
私はいつもどうり正座をして頭を下げる。
神奈「影崎殿のお世話をしに参りました」
影崎殿「…」
何も応えない。
着物を置き、寝床の準備、生活品を置くなどの仕事を淡々とこなす。
あとは部屋の掃除だけだ。
私は雑巾を床に置いて、走り出した。
その時…。
影崎殿「…」
影崎殿が私を睨む。
あの時、殺された時と同じ目だった。
あの時を思い出し、私は恐怖を感じた。
(…こわい、たすけてっ!)
心で叫んでも何もならないのは分かっている、が。
トラウマがある以上、叫んでも無駄と思っており、そもそも声がでない。
その間に影崎殿は腰にある刀の封印を解き、刃を鞘から出していく。
その刀には見覚えがあった。
志哉「これは自分の罪の重さが分かる正義の刀だ。この刃で罪の重さを分からせてやるっ!!」
蓮「いやぁぁぁぁーーーっ!!!」
それが私の起きる時間。
まぁ、巫女だししょうがないけど。
隣では遊鳥が可愛い寝顔で眠っている。
私は遊鳥を起こさないように、寝床から出た。
そして、台所に向かった。
(そう言えば、今日は朝一でお客が来るんだった)
昨日、幸村に朝食を一人分多めにしてくれと言われていた。
(どういうお客なんだろう)
私の知っている人じゃなければいいが。
朝食を作り終える頃には、もう既に五時。
アイツを起こす時間だ。
私は朝食を冷めないようにし、アイツの部屋へ向かった。
神奈「入るぞー」
障子を少し開け、中を見てみると、
熟睡中の幸村がいた。
(たまには早く起きてほしいものだ)
私は幸村の頭の横で座り、幸村の耳に口を近づける。
神奈「…ゆきむら」
幸村「っ!?」
幸村はがばっと起き上がる。
神奈「朝だから起こしに来た」
幸村「お、おう…」
私は幸村の部屋を出て、台所に戻る。
台所に戻ると、いつもどうり遊鳥と渚菜さんがいた。
たくさんの朝食は女中を合わせても足りないくらいだ。
だから遊鳥と渚菜さんに手伝って貰っている。
私は朝食をお皿に盛り、女中達に渡していく。
最後はお客さんと私の分だけだ。
台所を出て、皆が集まっている大広間に向かう。
神奈「失礼します」
大広間の障子を開ける。
そこで目にしたお客さんは、想像を絶する人であった。
私を殺した人間。
あの里の里長、すなわち私の父親だった。
私は知らない人の振りをして、影崎殿の前に朝食を置き、自分の席に座った。
隣に座っている遊鳥は影崎殿を見て少し怯えていた。
遊鳥「お姉、ちゃん…」
神奈「遊鳥、大丈夫だから…」
遊鳥「う、うん」
渚菜さんの方を覗き見ると、顔は普段通りだが、奥でぎりぎりと歯ぎしりをしているように思えた。
挨拶をし、皆朝食を食べ始める。
私は今回のお客の件で、あまり食欲がでなかった。
遊鳥は少し警戒しながらいつもどおりに食べ尽くす。
挨拶をし、皆一斉に自分の仕事に向かう。
私は皆の食器を集めていた。
背後から声をかけられる。
?「…連か?」
恐る恐る振り返ると、影崎殿がいた。
影崎殿「やはり連か!突然居なくなって心配したんだぞ、私の愛しい一人娘」
私は俯きながら答える。
神奈「影崎殿、お話があります。皿洗いが終わったら、お話させて下さい…」
影崎殿「ああ、いいとも」
私は台所で皿洗いをしながら考えていた。
(志哉は一人娘と言っていた。つまり遊鳥を自分の子供だと思っていないのか)
遊鳥は本当に私の妹だ。
家族揃って狂ってるのか?
正常なのは私と遊鳥だけ。
遊鳥を守れるのは私だけ。
遊鳥は絶対に傷つけさせない。
絶対に…。
志哉「話とはなんだ?連」
私は遊鳥を連れて影崎殿を庭に呼び出した。
遊鳥は相変わらず私の後ろに隠れている。
私も確かに逃げ出したい。
でも逃げる訳には行かない。
神奈「影崎殿、私は桜来良神奈と申します」
志哉「何言ってるんだ、お前は私の愛しい娘だろう?」
神奈「私は最初から桜来良神奈という名前です」
影崎殿は首を傾げる。
志哉「いや、俺の娘のはずだ、連」
志哉は、遊鳥に目を向ける。
志哉「後ろのは、子供か?」
神奈「いえ、私の妹です」
影崎殿は、ふんっと、鼻をならす。
志哉「そんな悪魔、家の子じゃない」
神奈「っ!!」
パンッ
志哉「っ!?」
神奈「すみません、つい…」
志哉「……チッ」
なんと悲運な事に、影崎殿のお世話役を昌幸様に頼まれた。
絶対に嫌だ。
あんな愚か者の世話をするなんて。
必ず何かしてくるはずだ。
でも逃げたら遊鳥が危険に晒されるし、何より幸村の隣に居られなくなる。
それどころか、ダメ巫女として噂が広がり、巫女の座を奪われてしまう可能性だってある。
私は仕方なく、志哉の世話役を引き受けた。
今は志哉の部屋へ向かっている真っ最中だ。
神奈「失礼します」
私はいつもどうりの声を発した。
…
返事は返ってこない。
私は障子を開けた。
影崎殿は、私を一瞬睨んだ後、仕事に目を向けた。
私はいつもどうり正座をして頭を下げる。
神奈「影崎殿のお世話をしに参りました」
影崎殿「…」
何も応えない。
着物を置き、寝床の準備、生活品を置くなどの仕事を淡々とこなす。
あとは部屋の掃除だけだ。
私は雑巾を床に置いて、走り出した。
その時…。
影崎殿「…」
影崎殿が私を睨む。
あの時、殺された時と同じ目だった。
あの時を思い出し、私は恐怖を感じた。
(…こわい、たすけてっ!)
心で叫んでも何もならないのは分かっている、が。
トラウマがある以上、叫んでも無駄と思っており、そもそも声がでない。
その間に影崎殿は腰にある刀の封印を解き、刃を鞘から出していく。
その刀には見覚えがあった。
志哉「これは自分の罪の重さが分かる正義の刀だ。この刃で罪の重さを分からせてやるっ!!」
蓮「いやぁぁぁぁーーーっ!!!」
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