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4.休憩話 -3
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「じゃあちゃんとベッド行って寝とけよ。終電間に合うか……ここ何駅だよ。」
「朝飯奢るし、泊まってけよ。」
「は? いらねえよ。」
「俺がこのまま野垂れ死んだらどうする? 容疑者A。」
「は? んなわけ……、…………うざ。悪化してたらもうマネにチクるから。」
「治るよ。」
大和は立ち上がって地図アプリを開いていた状態のまま、後頭部をかき混ぜ諦めて腕を降ろした。そして台所を片付けようと踵を返そうとして――
「うわ!」
「んっ……」
スマートフォンを持っていた左手首を掴まれて、ソファに押し付けられた。本日二度目だが、先程と違い今は南が上に圧しかかっている。そして、南が大和の口に自らの口を合わせた。
「なんっ、おまえ、……っ、ぁ、」
「はあっ、ふ、んちゅっ……、…………」
大和の顎を南の手が掴んでおり口を閉じることができず、南の舌が暴れ回る。大和が南を退かそうと目の前の身体に手を掛けるが、その手に力は入らなかった。
「……っ、あ、はあっ……、ゃ、め、……ん……っ」
「ふ、ふふっ、ちゅうっ、……は、……」
口を閉じないように顎を掴んでいた南の手が、次は大和の左耳に触れる。耳朶をなぞって、耳穴に指を挿し込んで耳介を擽る。右耳は既に弄られてびくびくと震えている。
そんな触れ合いは数分続き、大和が咳き込んだことであっさりと終わった。
「ゲホッ、はあっ……、は…………、おまえ、しつこすぎ……。」
「逆に俺は、こんなにやらせてくれんだって、びっくりしてんだけど。」
「許可なんか出してねえ。」
「だってさ、前みたいに思い切り殴られなかったし。」
大和の抵抗はあった。しかし無理な態勢だったため脚は使えなかった。手は
「耳攻め、気に入った? 耳スリスリするだけで力入んなくなるくらいだもんな。痛ッ!」
大和が南の頭をはたく。
手も、使い物にはならなかった。耳に触れられてゾクゾクと身体が反応してその感覚をやり過ごす。わけがわからずに口も閉じることができず、やりたい放題に舌を吸われ、口内を舐められ唾液を吸い取られた。
南が床に座り、大和はソファで項垂れて先ほどとは位置が逆転した。
「また痣作ってやろうか……。」
「ちょ、マジあれは勘弁。メイク時間押すし、まず毎回言い訳言うのがめちゃくちゃめんどいんだよ。」
「最高じゃねえか。……はあ、これ伝染ったら慰謝料請求するか……。」
「疲労からだしウイルスないし大丈夫じゃね。」
「なんかどんどん元気になっていくな……さっきまで死にそうだったのに。」
二人が前回会ってから、三ヶ月余りが空いていた。その間は南がドラマの撮影に入っていた時期だった。それは二日前にクランクアップを迎えた。その現場で受け取った花束を下ろして、南が最初にしたのが大和への連絡だった。
「マジな話、なんで? キス良かった?」
「うがいしに行くわ。洗面所どこ。」
「ちょ、……でも嫌悪感はなかったんだろ。」
「あるに決まって、」
立ち上がって廊下へ向かう大和の腕を掴み、振り向きざまに南は再び口づけた。それは一瞬で、唇が触れたのみで離れた。
「……俳優ハイか? もっとドラマしろよ。」
「今回恋愛ドラマじゃねえよ。前はお前の妹に嫌がらせついでだったけど、俺は、嫌じゃねえわ。」
「趣味悪ィな……。流行りのBLドラマでも出ろよ。」
「勘弁。」
南の苦笑いを見て、大和が廊下へ出て行った。
二人共わかっていた。ここで今関係を切ったところで、妹の番組レギュラーが外されることはないだろうと。MCと言えども一出演者の気分によって大きな問題もないのにキャスティングをコロコロと変えられるものではない。ここで突き放して、関係を切っても良い。
「はあ……。」
洗面所を見付け出して何度かうがいをした大和は、やたら広い洗面台に両手をついて項垂れた。
セックスは、回数を重ねる毎に不本意ながらよくなっている。よく――――気持ち良くなっていっている。もしも最初のような行為が未だに続いていたならば、妹の外堀を埋めてからもっと早い段階で南とはきっぱりと縁を切っているだろう。
南は最初は明らかに脅してきた。そして辱めるのを楽しんでいた。
しかし今はそうではない。あまりに気安い。旧友と勘違いしているのではないかと感じることもある。そしてそれにつられてしまっている。つられて、それが苦ではない。
友達も同僚もいる。会社は副業が許可されている。ただ言いづらくて妹のことは誰にも伝えていない。昔の同級生たちから妹が復帰して少し連絡があったくらいだ。今『業界のことを話せる知人』は、南だけだ。それが気安さ――楽さの一因なのか。
「朝飯奢るし、泊まってけよ。」
「は? いらねえよ。」
「俺がこのまま野垂れ死んだらどうする? 容疑者A。」
「は? んなわけ……、…………うざ。悪化してたらもうマネにチクるから。」
「治るよ。」
大和は立ち上がって地図アプリを開いていた状態のまま、後頭部をかき混ぜ諦めて腕を降ろした。そして台所を片付けようと踵を返そうとして――
「うわ!」
「んっ……」
スマートフォンを持っていた左手首を掴まれて、ソファに押し付けられた。本日二度目だが、先程と違い今は南が上に圧しかかっている。そして、南が大和の口に自らの口を合わせた。
「なんっ、おまえ、……っ、ぁ、」
「はあっ、ふ、んちゅっ……、…………」
大和の顎を南の手が掴んでおり口を閉じることができず、南の舌が暴れ回る。大和が南を退かそうと目の前の身体に手を掛けるが、その手に力は入らなかった。
「……っ、あ、はあっ……、ゃ、め、……ん……っ」
「ふ、ふふっ、ちゅうっ、……は、……」
口を閉じないように顎を掴んでいた南の手が、次は大和の左耳に触れる。耳朶をなぞって、耳穴に指を挿し込んで耳介を擽る。右耳は既に弄られてびくびくと震えている。
そんな触れ合いは数分続き、大和が咳き込んだことであっさりと終わった。
「ゲホッ、はあっ……、は…………、おまえ、しつこすぎ……。」
「逆に俺は、こんなにやらせてくれんだって、びっくりしてんだけど。」
「許可なんか出してねえ。」
「だってさ、前みたいに思い切り殴られなかったし。」
大和の抵抗はあった。しかし無理な態勢だったため脚は使えなかった。手は
「耳攻め、気に入った? 耳スリスリするだけで力入んなくなるくらいだもんな。痛ッ!」
大和が南の頭をはたく。
手も、使い物にはならなかった。耳に触れられてゾクゾクと身体が反応してその感覚をやり過ごす。わけがわからずに口も閉じることができず、やりたい放題に舌を吸われ、口内を舐められ唾液を吸い取られた。
南が床に座り、大和はソファで項垂れて先ほどとは位置が逆転した。
「また痣作ってやろうか……。」
「ちょ、マジあれは勘弁。メイク時間押すし、まず毎回言い訳言うのがめちゃくちゃめんどいんだよ。」
「最高じゃねえか。……はあ、これ伝染ったら慰謝料請求するか……。」
「疲労からだしウイルスないし大丈夫じゃね。」
「なんかどんどん元気になっていくな……さっきまで死にそうだったのに。」
二人が前回会ってから、三ヶ月余りが空いていた。その間は南がドラマの撮影に入っていた時期だった。それは二日前にクランクアップを迎えた。その現場で受け取った花束を下ろして、南が最初にしたのが大和への連絡だった。
「マジな話、なんで? キス良かった?」
「うがいしに行くわ。洗面所どこ。」
「ちょ、……でも嫌悪感はなかったんだろ。」
「あるに決まって、」
立ち上がって廊下へ向かう大和の腕を掴み、振り向きざまに南は再び口づけた。それは一瞬で、唇が触れたのみで離れた。
「……俳優ハイか? もっとドラマしろよ。」
「今回恋愛ドラマじゃねえよ。前はお前の妹に嫌がらせついでだったけど、俺は、嫌じゃねえわ。」
「趣味悪ィな……。流行りのBLドラマでも出ろよ。」
「勘弁。」
南の苦笑いを見て、大和が廊下へ出て行った。
二人共わかっていた。ここで今関係を切ったところで、妹の番組レギュラーが外されることはないだろうと。MCと言えども一出演者の気分によって大きな問題もないのにキャスティングをコロコロと変えられるものではない。ここで突き放して、関係を切っても良い。
「はあ……。」
洗面所を見付け出して何度かうがいをした大和は、やたら広い洗面台に両手をついて項垂れた。
セックスは、回数を重ねる毎に不本意ながらよくなっている。よく――――気持ち良くなっていっている。もしも最初のような行為が未だに続いていたならば、妹の外堀を埋めてからもっと早い段階で南とはきっぱりと縁を切っているだろう。
南は最初は明らかに脅してきた。そして辱めるのを楽しんでいた。
しかし今はそうではない。あまりに気安い。旧友と勘違いしているのではないかと感じることもある。そしてそれにつられてしまっている。つられて、それが苦ではない。
友達も同僚もいる。会社は副業が許可されている。ただ言いづらくて妹のことは誰にも伝えていない。昔の同級生たちから妹が復帰して少し連絡があったくらいだ。今『業界のことを話せる知人』は、南だけだ。それが気安さ――楽さの一因なのか。
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