妹はブラコン気味

ゆゆゆ

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4.休憩話 -4

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「ちゃんと布団で寝ろよ。」
「あ……。ん~……」

 大和がリビングに戻ると、南がダイニングテーブルに突っ伏していた。

「あ、寝る前に念の為薬飲めよ。せっかく買ってきてやったんだから。」
「あ――……。たしかに、こんな兄ちゃんなら好きんなるな~……。」
「は? ……ほら、水。」
「水まで。」

 南がゆっくりと姿勢を起こし、キッチンのカウンター越しにグラスを受け取って大和が持ってきた薬を飲む。大和はそのまま使った鍋や食器類をシンクで洗い出した。

「明日仕事、何時だ?」
「え――……? 確か、午後から。」
「なんだ、ちょっとは休めるな。」
「そっちは明日……、妹の付き添い……?」
「昼過ぎの現場は挨拶に行こうと思ってるけど」

 食器類に加えて惣菜の容器も洗い終えて大和が水を止める。

「じゃあ朝飯たかるから。適当な時間に起こすわ。ソファ借りるから。」
「あ、……うん。」

 床に落ちたタオルケットを拾って、大和はソファに横になる。ソファの背でその頭が見えなくなってから、南も寝室に向かった。

 南はゆっくりと歩きながら、スッキリとしてきた頭で考える。
「ベッド広いから、一緒に寝れる」とは、言いかけて言葉になることはなかった。
 体調は随分と良くなった。この分ならば明日には回復するだろう。
 稀に体調を崩す。今回のようなドラマや映画撮影の後や、コンサートツアーを終えた後。毎回ではないが、イレギュラーで長丁場の仕事後が多い。
 誰にも言ったことはない。大抵は数日症状を無視すれば治るからだ。誰かに言ってしまえばそこから広がる。このご時世、体調不良なら休む選択肢ができた。以前よりも休みやすくはなった。熱が出ているなら、休ませられるだろう。
 端役なら気にしなかった。しかしもうその他大勢のタレントではない。バラエティ番組なら別のタレントが充てがわれるのだろう。しかしグループの撮影や収録ならばそうはいかない。
 他のメンバーの体調不良が原因でスケジュールを組み直されるのは気にならない。仕方がない。だが自分は原因になりたくはない。下らないプライドなのか。気を遣われるのが嫌なのか、体調を考慮して仕事をセーブされたくないのか。その全てが当て嵌まるのか。
 それを、さらけ出してしまった。大和に。
 ホテルに顔を出したら、そのまま放っとかれるだろうと思っていた。事実、あからさまな心配はされなかった。しかし家にまで付き添い、まさか食事まで用意してくれるとは想像もしていなかった。
 この家に上げたのも、事務所スタッフを除けば初めての人物だ。家には来ないでくれ、なんて言える状況ではなかった。いやむしろ来訪を喜んでいた。
 居心地が良いと、感じていた。大和といると。
 初めに最悪な面を晒してしまったからか。大和もぞんざいに扱ってくる。それが良かった。
 体調の悪い自分を晒して、――試したかったのかも知れない。どんな反応をされるのか。結果は

「はあ……。やばいかも。」

 早く次回の約束を取り付けたい。食事でも何でも良いから――、いや、触れたい。と、思ってしまった。
 だいぶ良くなったとはいえ億劫で、脱いだ服を床に放ってベッド上に脱ぎ捨てられていた寝間着を着る。ティッシュ箱を枕元に置いて布団をかぶり、その手は股間に伸びた。
 大和と再会してから、自慰はよほど溜まった時にしかしていない。余程溜まった時――それが今だった。
 心配をしていたわけではないのかも知れない。しかし当たり前のように熱を確認して世話を焼かれた。他の誰でもない、大和に。そんな妙に満たされた、むず痒い気持ちで擦ればすぐにゆるく勃ち上がった。それを何度か扱く内に意識が沈んでいった。
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