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4.休憩話 -5
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「……ん…………。」
コーヒーの香りで大和は目を開けた。
ゆっくりと起き上がり、匂いの元――キッチンに目を向けると南が立っていた。
「コーヒー飲む?」
「ああ…………。もう良いのかよ。」
「むしろ体調良くなった。今なら何でもできそうなくらい。」
「体力オバケか。」
起きて、タオルケットを畳んでダイニングテーブルに座る。その大和の前にカップを置き、隣の席に南も座った。
「何食べたい? この時間開いてる店がそもそも少ないんだけど、……牛丼屋か、朝定食……? あ、パン屋良くね?」
「ああ。」
これから取り寄せるのか。南はスマートフォンを眺めながら、時折大和に向けて意思を確認する。注文を終える頃には南の腕が大和の肩に回っていた。
「おい、もう良いだろ。ちか――」
近い。そう言おうとした大和の口は塞がれた。
舌を差し入れ軽く触れ合って、口腔内を柔らかく触れてからそれは離れていく。
「伝染った?」
「……今のとこ、別に。」
「もっかい良い?」
「は?」
「セックスの代わり。」
「…………はあ……、元気過ぎだろ……。」
南とは反対方向へ顔を向けて息を吐いた大和の頬を手のひらで包み、再び南が口付ける。
「は、ちょ…………、っ、ん、」
「ちゅ、ふん、……、はあ、」
両頬を包んでいた手はうなじに回り、何度か離れて触れてを繰り返す。
「な、が……、ふっ……う、」
「もう、ちょっとっ……っん、ちゅうぅ、」
南が大和の唇を吸い、最後は大和が少し強く南の肩を押したことで長めの触れ合いが終わった。
「……やるよりはマシだけど、しつこい。」
「なんか止まんなくてさ、ごめん。」
その後は新品の歯ブラシを出して二人並んで歯を磨き、体温を測っていたら朝食が届いた。二杯目のコーヒーと共に今は向かい合ってパンを頬張る。
「そろそろ。もう行く。」
「ん。あ、これ。昨日の分も含めてタクシー代。」
「ああ。……じゃ、遠慮なく。」
用意していたのか。南がキッチンを隔てるカウンターの上から一万円札を二枚取り大和に渡す。少し間を開けて大和はそのままスーツの内ポケットにそれを折りたたんで入れた。「それと」とそのまま玄関まで歩いて行こうとするも声が掛かり大和が振り向いた。
「今度からはここで、うちにきてよ。これ。合鍵渡しとくから。」
「は? 家はともかくそんなん要らねえよ。」
「今回みたいのがあるかも知れないし、帰り時間言うのも面倒だし。」
「失くさないようにするこっちの労力無視かよ。」
「失くしたら言って。鍵換えてまた渡すし。」
「はあ……?」
大和はかたくなに拒否をしたが、最後は鍵を胸ポケットへ強引に入れられた。
「そんなホイホイ鍵渡して、バッティングしたらどうするんだよ。」
「するわけないじゃん。この家事務所の人間以外で連れてきたの、お前だけだし。」
「は?」
少し制止して、大和は顔をしかめた。そして何も言わずに踵を返す。
「じゃあ次勝手に入っとくから。」
「連絡しなくても来てくれても良いけどな。」
「来ねえよ。」
そしてそのまま靴を履き、振り返りもせずに扉を開け、出ていった。その後ろ姿を南は体調のこともあり清々しい気持ちで見ていた。
いつもならば、ふらふらと帰ってきてそのまま布団に潜る。寝起きも最悪で、熱も引きずっているだろう。それが今回は驚くほどに熱が引いていき、一眠りすれば勝手に早起きして快調だった。
「あー、風呂入ろ。」
両手を頭上に突き上げて伸びをし、南はそのまま浴室に向かった。
コーヒーの香りで大和は目を開けた。
ゆっくりと起き上がり、匂いの元――キッチンに目を向けると南が立っていた。
「コーヒー飲む?」
「ああ…………。もう良いのかよ。」
「むしろ体調良くなった。今なら何でもできそうなくらい。」
「体力オバケか。」
起きて、タオルケットを畳んでダイニングテーブルに座る。その大和の前にカップを置き、隣の席に南も座った。
「何食べたい? この時間開いてる店がそもそも少ないんだけど、……牛丼屋か、朝定食……? あ、パン屋良くね?」
「ああ。」
これから取り寄せるのか。南はスマートフォンを眺めながら、時折大和に向けて意思を確認する。注文を終える頃には南の腕が大和の肩に回っていた。
「おい、もう良いだろ。ちか――」
近い。そう言おうとした大和の口は塞がれた。
舌を差し入れ軽く触れ合って、口腔内を柔らかく触れてからそれは離れていく。
「伝染った?」
「……今のとこ、別に。」
「もっかい良い?」
「は?」
「セックスの代わり。」
「…………はあ……、元気過ぎだろ……。」
南とは反対方向へ顔を向けて息を吐いた大和の頬を手のひらで包み、再び南が口付ける。
「は、ちょ…………、っ、ん、」
「ちゅ、ふん、……、はあ、」
両頬を包んでいた手はうなじに回り、何度か離れて触れてを繰り返す。
「な、が……、ふっ……う、」
「もう、ちょっとっ……っん、ちゅうぅ、」
南が大和の唇を吸い、最後は大和が少し強く南の肩を押したことで長めの触れ合いが終わった。
「……やるよりはマシだけど、しつこい。」
「なんか止まんなくてさ、ごめん。」
その後は新品の歯ブラシを出して二人並んで歯を磨き、体温を測っていたら朝食が届いた。二杯目のコーヒーと共に今は向かい合ってパンを頬張る。
「そろそろ。もう行く。」
「ん。あ、これ。昨日の分も含めてタクシー代。」
「ああ。……じゃ、遠慮なく。」
用意していたのか。南がキッチンを隔てるカウンターの上から一万円札を二枚取り大和に渡す。少し間を開けて大和はそのままスーツの内ポケットにそれを折りたたんで入れた。「それと」とそのまま玄関まで歩いて行こうとするも声が掛かり大和が振り向いた。
「今度からはここで、うちにきてよ。これ。合鍵渡しとくから。」
「は? 家はともかくそんなん要らねえよ。」
「今回みたいのがあるかも知れないし、帰り時間言うのも面倒だし。」
「失くさないようにするこっちの労力無視かよ。」
「失くしたら言って。鍵換えてまた渡すし。」
「はあ……?」
大和はかたくなに拒否をしたが、最後は鍵を胸ポケットへ強引に入れられた。
「そんなホイホイ鍵渡して、バッティングしたらどうするんだよ。」
「するわけないじゃん。この家事務所の人間以外で連れてきたの、お前だけだし。」
「は?」
少し制止して、大和は顔をしかめた。そして何も言わずに踵を返す。
「じゃあ次勝手に入っとくから。」
「連絡しなくても来てくれても良いけどな。」
「来ねえよ。」
そしてそのまま靴を履き、振り返りもせずに扉を開け、出ていった。その後ろ姿を南は体調のこともあり清々しい気持ちで見ていた。
いつもならば、ふらふらと帰ってきてそのまま布団に潜る。寝起きも最悪で、熱も引きずっているだろう。それが今回は驚くほどに熱が引いていき、一眠りすれば勝手に早起きして快調だった。
「あー、風呂入ろ。」
両手を頭上に突き上げて伸びをし、南はそのまま浴室に向かった。
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