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5.二年後。無理矢理耳攻め焦らし編 -1
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「なあ、俺たち付き合おっか。」
そう呟くように言ったのは南真一郎だった。自宅のソファに深く腰掛けて、左腕も肩から背もたれに載せて天井を見上げながら。
大和は少し離れた位置にあるダイニングテーブルでノートパソコンを広げていた。聴こえているのか聞いていないのか、聞こえないふりをしているのか。反応はない。
あれから。南が大和を無理矢理抱いてから、二年余りが経っていた。数週間、数ヶ月毎に会うのは南の自宅になった。未だ大和は行為に不服な様子だが、回数を重ねる中で割り切れてしまった。妹は未だ続く南の番組でレギュラーメンバーとして活躍している。
そして現在は行為を終えてそれぞれシャワーを浴びて寛いでいる。大和は今日仕事を定時で上がった為少し残った本業――サラリーマンの方の仕事を片付けているところだった。
「身体の相性も良いしさ、いっそ付き合わない?」
「うぜえ。」
一言目から五分程度が経って、南が言い直した。間髪入れずに拒否されてしまったが。
南自身、経験は多くも少なくもない。小学生でアイドル見習いになったお陰で相手には困らなかったが、その全てを相手したわけではない。相手選びは慎重になったし、そもそもそこまでして発散したい性欲もなかった。だから、セックスに二時間も掛けるなど大和相手が初めてだった。
「付き合ったらここ住めば良いじゃん。この家は気に入ってんだろ?」
「だから嫌だって。」
「部屋もいっこ空いてるしちょうど良いじゃん。あと他に俺と付き合うメリットなあ…………、妹との共演増やすのもな、あからさま過ぎるか。」
「絶対やめろ。」
「じゃあ養おうか?」
「いらねえ。」
大和はパソコンから目を離さない。キーボードを叩く音も止まらない。そんな姿を見て、南はため息を吐いた。
「なんか条件は?」
「…………。じゃあ、性交なしなら良い。」
「あ、ほんとに? じゃ、早速同棲する?」
「はっ?」
断られることを前提に出した大和の希望はあっさりと通された。アッサリ過ぎて大和は手を止め話を進める南を凝視したまま動けない。
「あっ、ちゅーは?」
「は? 嫌に決まってんだろ。」
「え――――……。まあ良いか。」
「良いのかよ」と思うも、揚げ足を取られそうで大和は何も言わなかった。セックスもキスもしないならば、それはただの友人ではないのかとも思ったが、南と大和では友人にはなり得ない。多少慣れて精神ダメージは最初に比べてかなり軽減されたものの、義務のように抱かれている。元々番組が終わるか、妹が降板すれば終わる関係だった。
しかし、伝えた条件は呑まれた。関係に終わりがなくなったが、義務のような行為はなくなる。
「わかったよ。」
実際、なんだかんだと大和はこの空間を気に入っていた。広々として洗練された、サラリーマンでは一生縁がないだろう住居で事が終わればくつろぐのが常となっていた。そして終電間際か始発で帰る。その間、行為の余韻は一切なくそれぞれが作業するなり休息をとるなりし、時折ポツポツと話す。
「じゃ、さっそくメシでも食う?」
「さっそくって……。……食うけど。」
「あ。あ――、もらった調理器使いたかったけど食材ねえ……。買い物デートでもする?」
「しねえ。」
「ピザでもとるか。」
南はどこかウキウキしている。そんな表現がしっくりくる。
大和は早まったかと思いながら、再びパソコンに向かった。
そう呟くように言ったのは南真一郎だった。自宅のソファに深く腰掛けて、左腕も肩から背もたれに載せて天井を見上げながら。
大和は少し離れた位置にあるダイニングテーブルでノートパソコンを広げていた。聴こえているのか聞いていないのか、聞こえないふりをしているのか。反応はない。
あれから。南が大和を無理矢理抱いてから、二年余りが経っていた。数週間、数ヶ月毎に会うのは南の自宅になった。未だ大和は行為に不服な様子だが、回数を重ねる中で割り切れてしまった。妹は未だ続く南の番組でレギュラーメンバーとして活躍している。
そして現在は行為を終えてそれぞれシャワーを浴びて寛いでいる。大和は今日仕事を定時で上がった為少し残った本業――サラリーマンの方の仕事を片付けているところだった。
「身体の相性も良いしさ、いっそ付き合わない?」
「うぜえ。」
一言目から五分程度が経って、南が言い直した。間髪入れずに拒否されてしまったが。
南自身、経験は多くも少なくもない。小学生でアイドル見習いになったお陰で相手には困らなかったが、その全てを相手したわけではない。相手選びは慎重になったし、そもそもそこまでして発散したい性欲もなかった。だから、セックスに二時間も掛けるなど大和相手が初めてだった。
「付き合ったらここ住めば良いじゃん。この家は気に入ってんだろ?」
「だから嫌だって。」
「部屋もいっこ空いてるしちょうど良いじゃん。あと他に俺と付き合うメリットなあ…………、妹との共演増やすのもな、あからさま過ぎるか。」
「絶対やめろ。」
「じゃあ養おうか?」
「いらねえ。」
大和はパソコンから目を離さない。キーボードを叩く音も止まらない。そんな姿を見て、南はため息を吐いた。
「なんか条件は?」
「…………。じゃあ、性交なしなら良い。」
「あ、ほんとに? じゃ、早速同棲する?」
「はっ?」
断られることを前提に出した大和の希望はあっさりと通された。アッサリ過ぎて大和は手を止め話を進める南を凝視したまま動けない。
「あっ、ちゅーは?」
「は? 嫌に決まってんだろ。」
「え――――……。まあ良いか。」
「良いのかよ」と思うも、揚げ足を取られそうで大和は何も言わなかった。セックスもキスもしないならば、それはただの友人ではないのかとも思ったが、南と大和では友人にはなり得ない。多少慣れて精神ダメージは最初に比べてかなり軽減されたものの、義務のように抱かれている。元々番組が終わるか、妹が降板すれば終わる関係だった。
しかし、伝えた条件は呑まれた。関係に終わりがなくなったが、義務のような行為はなくなる。
「わかったよ。」
実際、なんだかんだと大和はこの空間を気に入っていた。広々として洗練された、サラリーマンでは一生縁がないだろう住居で事が終わればくつろぐのが常となっていた。そして終電間際か始発で帰る。その間、行為の余韻は一切なくそれぞれが作業するなり休息をとるなりし、時折ポツポツと話す。
「じゃ、さっそくメシでも食う?」
「さっそくって……。……食うけど。」
「あ。あ――、もらった調理器使いたかったけど食材ねえ……。買い物デートでもする?」
「しねえ。」
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大和は早まったかと思いながら、再びパソコンに向かった。
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