聖典の勇者 〜安宿に泊まったらバァさんついて来たってよ〜

ウメキチ

文字の大きさ
19 / 20

空を飛ぶだってよ

しおりを挟む
   よし、みんなライラに乗っていくぞー! と言いたいところだが…  明らかに半分 しか乗れないよな。
   仕方ない、半分は残って貰うとするか。

「ピエッ!  ピピピエッピエッ!! 」
  ピエ吉がマナブの周りを何か伝えたいのか飛び回っていた。
「なんだよピエ吉?  今忙しんだよ、後にしろよ」

「ピエッ!!  ピピピエッ!!  ピエピエピーーーーーーーーーー!!!! 」

   突然ピエ吉が響き渡る程大きく鳴き声を上げた。
   枯れた木々が騒がしく音を立てている。

  マナブは余りのうるささに一瞬驚きお尻を地面につけてしまっていた。
「五月蝿いな!!  なんだよピエ吉!! 
なんて鳴き声してやがる、耳がキーンキーンだよ
おい!  ピエ吉聞いてんのか!  ………  えっ? 」

   立ち上がろうと顔を上げたマナブが目にしたのは巨大なホワイトドラゴンであった。

「わっ!!  ドドドっドラゴン!!! 」


「ピエッ!! ピエピエピー!  」

「はっ、ピエ吉なのか?  えっ?  」

「マナブ様!! シャーレは見てました!  間違いなくピエ吉です!  すっごーーーい!!ピエ吉すごーい!   」

   なんか知らんかピエ吉は巨大化も出来るのか?  ここの生き物はやたら巨大化するな……シャーレといい、ピエ吉といいライラといい。  
   他に設定無かったのかよ。
   まーシャーレも喜んでるけど、お前も大分大きくなれるじゃねーか。

等々ツッコミたくて仕方ないマナブであったがあまりにも面倒なので、そっと現状を受け入れる事にした。


「我が主!  リザードキングは成体であれば全長100まで巨大化出来ると聞いた事がありますぞ!  」

   なんだそのとんでも生物。
「ところでピエ吉、みんなのってもいいのか?」
「ピエッ!!  」
   よくわからんが、いいって事だな。

「よし!残りのみんなはピエ吉に乗ってくれ!
俺はライラに乗る、さっさと終わらせてまた宴会の続きだ!!  」

「うおおぉーーーー!!  」



マナブとその一行はライラとピエ吉に乗り亜人族の集落を飛び立った。



   うへぇーーすげーな、こんな高い所剥き出しで飛ぶのはじめてだな。
   この死海の森はどれだけ広いんだ…… 地平線の先まで枯れ果てた木々が連なっている、しかしこんなに広大な大陸なのに、生命の音が全く聞こえない。
   これもかつての闘いの名残だっていうからどれだけ魔王は凄まじいのか、本当に俺に倒せるのか?  いやそれ以前に大体俺は本当の勇者なのか? 
   
   んー今はそれもどうでもいいか…  マルスが戻ればわかるだろうし、それに今はこんな俺についてきてくれる仲間達がいるしな。
   このファンタジーちっくな今を全力で楽しむか…


「おぃエセ勇者!  お前は何故こんな利益のない闘いをするにー?  」
「あ?  んーこいつら困ってるみたいだしな、まー気まぐれだよ
それにばーちゃんと約束したからな、じーちゃんとばーちゃんに顔向け出来る人間にならねーといけないしな」
「ふーん、変な奴にー 」

「ライラ、俺は勇者として認めてもらってないよな?
なんで手伝ってくれるんだ?  」

「マルスに頼まれたからにー、それとお前なんかアホそうだから危なっかしいにー」

「なんだお前いい奴じゃん」
「五月蝿いにー! 落とすにーよ!  」
「照れんなってーこのこのーー

うぉーーーー!!!」
ライラは背中の一部を凹ませ、勢いよくマナブだけを吹き飛ばした。

  「うぉーーーー!  死ぬ死ぬ死ぬーーーー!!!あーーーーーー!!!  」

ストンっ


「ん?ふわふわしてる」

「ピエッ!  」

「ピエ吉が助けてくれたのか!  助かった、ハァハァ…マジで死ぬかと……  」

   あのクソガキマジで落としやがった、あまりおちょくるのはやめとこう……  本気で殺されかねない。

  マナブはライラを怒らせるのはやめとこうと心に誓ったのであった。


しばらくした頃、周りの景色が大分変わり始めていた、より大きな枯れ木がポツンポツンと枯れ木の間から伸びている、湖、いやドロの池が所々に広がっている。

 「アビル、あとどれくらいで着んだ?  」

「あのジーフが落ちる頃には着きますぞ、我が主」

  ジーフ… あーあの太陽みたいな奴か、変な形をしてるな、あまり気にしなかったがジーフと言うのだな、一応覚えて覚えておくが、しかしやっぱ遠いな、飛んでるとは言え俺らが乗ってるし、スピードを上げると危険だしな。
  ちょっとまてよ大体この世界の一日とは何時間なんだ?  この世界に来てから大分経ったがあまり暗くなってないよな、勝手に一日24時間設定にしてたけど。
  俺たちが飛び立ってからここまでの時間は多分俺の体内時計で2時間くらいだな。

「あのさーアビル、俺らが飛び立ってからからの間をあと何回すれば一日が終わるんだ?  」

「はい!我が主!! そうですねーあと30回ほどですぞ」
   30回てことは…60時間程…  約3日じゃねーか!!
そらリザードマンも休みなしなら3人くらい死ぬわな…。

「で、アビルあと何回で着く予定だ?  」

「は!  10回程ですぞ我が主!  」

おぉっ……20時間ですか。


「よーしみんな休憩だ!!  降りるぞ!! 」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...