26 / 69
○2章 手汗魔王と天才少女
-10『残念な美少女はお好きですか』
しおりを挟む
天使の少女、パーシェル。
彼女はつまり、ボクを監視するために天使族の長老から使わされたらしい。
実際、ボクは『森の魔王』と恐れ呼ばれるほどの力がある。
凶暴な魔獣ですら一瞬で倒せるほどだ。そんな大きな力を持った人間が下界に混じれば、動向が気になるのは不思議というほどではない。
ましてや世界の平和を調停、維持することが存在意義といわれる天使族ともなれば殊更だろう。
「……世界に対する謀反の可能性があるから、って。おじ……長老様に」
なるほど、と話を聞いてボクは納得した。
もしかすると先の外套の男達と関係があるかと構えていたが、思ってもいない自体に拍子抜けした気分だ。けれどパーシェルは悪い子ではないようだし、何事もなくてよかった。
監視虫なんていうものまで使って監視されていたと聞かされたときは、少し気味が悪いとは思ったけれど。
「監視虫で、監視中。えへへ……」
照れ顔でこっそりリリオがそう呟いたのをボクは聞き逃さなかった。三角の耳を垂れさせ、頬を紅潮させてにんまり笑む。
――可愛いなあ。親父くさいけど。
パーシェルの素性は判明した。
しかしそれでも、まだエイミは少し怪訝そうだった。
「謀反で一大事かもしれないって言うわりに、天使族の連中はどうしてこんな子を寄越したのよ」
こんな子、とはもちろん、悪い意味でだろう。
たしかに、とボクも思わず心の中で賛同してしまう。失礼ながら。
「失礼ですね。パーシェルは天使学校を主席で卒業した超エリートなんですよ!」
天使学校……なんだかすごそうだ。
そんなところの主席となると、見かけによらず、実はすごい実力や知識を持っているのだろうか。もしくは魔法などの才能が長けているとか。
「エイミ、この子、もしかして凄い子なんじゃ」
「そうなんです。パーシェルは凄いんですよ」
ボクに言われ、えへん、とパーシェルは調子に乗って胸を張った。
鼻息を強く噴き出し、たわわな胸元の二つの実が勢いよくゆれる。
なんだか、本当にちゃんとした天使に見える。
「まあ、生徒はパーシェル一人だけだったんですけど」
……前言撤回だ。
「少子化なんですよ! 『この際、血がちょっとくらい薄くなっても良いから、ついでに下界で優良な血を見つけて子孫を繁栄させてこい』って、『ユー、やっちゃいなよ』って軽く言われちゃったくらいに!」
「そ、そうなんだ」
天使にもいろいろ事情があるんだなあ、とイヤな生々しさに苦笑してしまう。
「とにかく、パーシェルは怪しいものではないんです」
「怪しくないのはわかったよ」
変だけど。
「でもボクは別に、力を使って悪さをしようってわけじゃないんだ。ちょっと頼まれごとをされて、ついていってるだけなんだよ」
「ほう。それで、頼まれごととは?」
「秘密よ」とエイミが割って入る。
「もしや謀反ですか!」と何故か目を輝かせるようにして言うパーシェルに、エイミは呆れ顔で首を振った。
「そんなわけにでしょ。それよりも、わたしたちはもう行くわよ」
「どうして。あ、まさか今から謀ほ……」
「違うわよ」
エイミが頭を抱えて溜め息を漏らす。
「ボクたち、これから行くところがあるんだ」とボクは付け足す。
「やはり謀反では!」
「違うよ」
「ですがそれが真実という確証も……」
「じゃあ一緒に来て、近くで監視しながら確かめてみれば良いんじゃないかな」
ぽかんと少しの間があったが、やがて、
「……なるほど!」とパーシェスは胸の前で手を打つ。
「天才ですね!」
飛びぬけた明るい声でそう言う彼女に、ボクも頭が痛くなりそうな気分だった。
残念美人。
ただその一言に尽きる。
こうして、残念系美少女天使のパーシェルが新しく仲間に加わった。
彼女はつまり、ボクを監視するために天使族の長老から使わされたらしい。
実際、ボクは『森の魔王』と恐れ呼ばれるほどの力がある。
凶暴な魔獣ですら一瞬で倒せるほどだ。そんな大きな力を持った人間が下界に混じれば、動向が気になるのは不思議というほどではない。
ましてや世界の平和を調停、維持することが存在意義といわれる天使族ともなれば殊更だろう。
「……世界に対する謀反の可能性があるから、って。おじ……長老様に」
なるほど、と話を聞いてボクは納得した。
もしかすると先の外套の男達と関係があるかと構えていたが、思ってもいない自体に拍子抜けした気分だ。けれどパーシェルは悪い子ではないようだし、何事もなくてよかった。
監視虫なんていうものまで使って監視されていたと聞かされたときは、少し気味が悪いとは思ったけれど。
「監視虫で、監視中。えへへ……」
照れ顔でこっそりリリオがそう呟いたのをボクは聞き逃さなかった。三角の耳を垂れさせ、頬を紅潮させてにんまり笑む。
――可愛いなあ。親父くさいけど。
パーシェルの素性は判明した。
しかしそれでも、まだエイミは少し怪訝そうだった。
「謀反で一大事かもしれないって言うわりに、天使族の連中はどうしてこんな子を寄越したのよ」
こんな子、とはもちろん、悪い意味でだろう。
たしかに、とボクも思わず心の中で賛同してしまう。失礼ながら。
「失礼ですね。パーシェルは天使学校を主席で卒業した超エリートなんですよ!」
天使学校……なんだかすごそうだ。
そんなところの主席となると、見かけによらず、実はすごい実力や知識を持っているのだろうか。もしくは魔法などの才能が長けているとか。
「エイミ、この子、もしかして凄い子なんじゃ」
「そうなんです。パーシェルは凄いんですよ」
ボクに言われ、えへん、とパーシェルは調子に乗って胸を張った。
鼻息を強く噴き出し、たわわな胸元の二つの実が勢いよくゆれる。
なんだか、本当にちゃんとした天使に見える。
「まあ、生徒はパーシェル一人だけだったんですけど」
……前言撤回だ。
「少子化なんですよ! 『この際、血がちょっとくらい薄くなっても良いから、ついでに下界で優良な血を見つけて子孫を繁栄させてこい』って、『ユー、やっちゃいなよ』って軽く言われちゃったくらいに!」
「そ、そうなんだ」
天使にもいろいろ事情があるんだなあ、とイヤな生々しさに苦笑してしまう。
「とにかく、パーシェルは怪しいものではないんです」
「怪しくないのはわかったよ」
変だけど。
「でもボクは別に、力を使って悪さをしようってわけじゃないんだ。ちょっと頼まれごとをされて、ついていってるだけなんだよ」
「ほう。それで、頼まれごととは?」
「秘密よ」とエイミが割って入る。
「もしや謀反ですか!」と何故か目を輝かせるようにして言うパーシェルに、エイミは呆れ顔で首を振った。
「そんなわけにでしょ。それよりも、わたしたちはもう行くわよ」
「どうして。あ、まさか今から謀ほ……」
「違うわよ」
エイミが頭を抱えて溜め息を漏らす。
「ボクたち、これから行くところがあるんだ」とボクは付け足す。
「やはり謀反では!」
「違うよ」
「ですがそれが真実という確証も……」
「じゃあ一緒に来て、近くで監視しながら確かめてみれば良いんじゃないかな」
ぽかんと少しの間があったが、やがて、
「……なるほど!」とパーシェスは胸の前で手を打つ。
「天才ですね!」
飛びぬけた明るい声でそう言う彼女に、ボクも頭が痛くなりそうな気分だった。
残念美人。
ただその一言に尽きる。
こうして、残念系美少女天使のパーシェルが新しく仲間に加わった。
0
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる