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あしき×わろし

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13 あどけなき魔女

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「やーだ」

 ロレッタはにべもなくそう言った。
 まー、そう言うだろうな──とは思っていた。

「基本料が一万五千いちごーに技術料が二万五千にーごーで四万デル。これでも格安ってわかってる?」
「わかってる」
「わかってない。超一流の魔術士を、たった四万デルで三日もこき使う贅沢がわかってない。それをなーに? もっと安くしろ?」

 超一流──という表現に多少の引っかかりがあっても、流しておかないと話が先に進まない。
 それにプロとして超一流であるかはさておき、ロレッタ・リー・ルイスが八年も飛び級して王立魔術研究院に在籍している才媛であることは、まぎれもない事実だった。
 ただ、俺たち労働者階級ワーキングクラスの仕事場では、モノを言うのは学歴ばかりではないのだ。

「考えてもみなって」

 俺は周囲に気を配りながら言った。
 店内には三、四人くらいずつの客が三組、丸い回転テーブルを囲んでいる。
 聞かれても何のことか分からないだろうが、業務内容を話題にしている以上、情報漏洩には注意を払わねば。

「これをシンシアんとこオールダムが受注したとするよ? そしたらロレッタに仕事がまわってくるか?」
「まわってくる」
「こないよ。サラメンダがもってく」
「ふん、あのネクラ女」

 オールダムと契約しているサラメンダは、確かに地味な印象の女性ではあった。
 もっとも職業差別ヘイトとの誤解を怖れずに言えば、魔術士は(少なくとも表面上は)おとなしいタイプが多い。
 魔術士の資格試験で面接官と喧嘩して、攻撃魔術つきの大乱闘をおっぱじめるロレッタのほうが例外なのだ。

「確かにサラメンダはロレッタほど派手な学歴は持ってないよ。けどな、彼女はもう多くの現場を踏んだプロなんだぜ」

 実績を積んで頭角をあらわしたプロと、学歴は立派だが半年も謹慎くらった挙げ句、すっかり面接官に目をつけられた問題児フダツキ──

 発注元がどちらを信用するかなんて考えるまでもない。
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