97 / 128
1年目の春~夏の件
苦難の果てにアスレチックDを突破する件
しおりを挟む護人の慌てた問い掛けが上から響いてくる中、香多奈の頭の中では忙しく正解探しが渦巻いていた。何しろ、異世界生物とは毎日コミュニケーションを取っているが、鬼との対応は初めて。
どう話し掛けたら良いのか、果たしてこちらの言葉が通じるのか不明である。特に恐怖が無いのは、一緒に落ちてくれたミケが全く慌てていないから。
ついでに妖精ちゃんも、ゆっくりと少女の肩に舞い降りて来てくれた。それから、アレは鬼族だナと今更ながらの解説をしてくれる。
特殊な能力を持っている異界の戦闘種族だけど、特に慌てる必要も無いっぽい。何故なら、相手は子供の鬼みたいだから。
恐らくは遊びたい盛りなのだろうと、大威張りの妖精ちゃんの推測である。そう思ってみたら、机の上のアイテムもお店ごっこの商品なのだろう。
これは幾らと試しに話を振ってみたら、何かと交換で良いよと思わぬ食い付き具合。それならと鬼のコインを取り出してみたら、それはここでは使えないよと突き返されてしまった。
仕方が無いので、姉の紗良が持たせてくれてたお握りを見せると。それ美味しそう! と、今までに無い興奮した反応振り。
それならと2つのお握りと、ついでにコロ助用のジャーキーをお金代わりに差し出す香多奈。ご機嫌な小鬼は、それじゃあお返しにと机の上のアイテムを全部くれた。
それには香多奈もニッコリ、早速お握りを食べ始めている小鬼にお礼を述べる。それから頭の上の叔父さんに、今から上がって行くねと大声で返事をする。
ミケもこの空間に飽きたのか、先に滑り台を登り始めている。妖精ちゃんは、貰ったアイテムは『帰還の魔方陣』だナと早速の鑑定をしてくれた。
それが4枚、効果はダンジョンを一瞬で脱出してしまえる魔法陣のお札らしい。それが本当なら、物凄い魔法アイテムである。
普通なら間違っても、お握りとジャーキーで交換して貰える代物では無い筈。改めてお礼をと思って振り返ると、小鬼は既にその場から消え去っていた。
「香多奈、心配したぞ……無事だったかい、どこか怪我してないか?」
「大丈夫だよ、叔父さん……転がって落っこちただけだから、怪我はしてないし。それより下で、何か良さそうなアイテム拾って来たっ!」
「香多奈、アンタ転んでもただでは起きないのね……ほら、こっちも良さげな宝箱を回収して来てあげたよっ。
彫刻付きの箱だから、きっと中身も豪華かもね?」
こちらも無事に戻って来た姫香は、姿を消した末妹を皆と一緒に心配していた模様。そしてケロッとした顔で這い上がって来た香多奈に、一同は安堵の表情。
それから、フロア中央の安全地帯で騒ぎながらの品評会が始まった。中には薬品が2種と鬼のコインが3枚、薬品の1つは恐らく全回復のエリクサーだろう。
もう1つは、変な匂いがする以外は用途不明の薬品だった。粘りもあるので、服用するようなモノでは無いのかも知れない。
それから木製品が2つ、木彫りの鬼面と大小揃った木彫りの独楽だった。どちらも漆塗りの立派なもので、独楽はサイズ違いで5つ入っていた。
何の警戒も無く、鬼の面を被った香多奈は驚きの声を発する。どうも魔法の品だったらしく、チョー強くなった気がすると燥いで姉に報告する。
或いは、本当にステアップ系の魔法が掛かっているのかも。ただまぁ、戦闘中にこんなお面をずっと装着するなんて論外な気もする。
取り敢えずこれも回収して、改めて移動に集中する来栖家チーム。こうして8層フロアも何とか突破して、9層へとワープ移動を果たす。
最初の襲撃に備えていたが、案の定空と陸から団体が襲い掛かって来た。しかも今回は遠隔攻撃の支援付き、大リスが見事なフォームで硬い木の実を投げつけて来る。
護人も大盾を構えて、この遠隔攻撃に対抗する。ゴブリンなどと戦った際に、弓矢攻撃などで散々苦労した経験もあるので慣れたモノだ。
そんな感じで対応はお手のモノ、そして『隠密』で近付いたツグミが一気に接近戦で始末して行く。接近戦も、姫香やコロ助が中心で近付く敵を片付けて行く。
丸太の渡し棒を伝って来るのは、ウッドゴーレムに混じって初見の大猿が数体。手には大振りのハンマーを持ち、いかにも手強そう。
ソイツの相手を嬉々として行っているのは、誰あろうレイジーだった。瞬く間に1匹目の大猿を屠り、2匹目の攻撃を丸太棒の底に入り込んで躱す。
アクロバティックなその動きは、『歩脚術』の賜物である。明らかに狼狽えている敵に向け、フリーになった姫香が果敢にアタックを掛けて仕留めている。
その頃には、既に周囲の敵影は数える程にまで減っている。
空中を飛んでいた敵も、全て片付け終わって見晴らしは良くなっていた。改めてフロアを見渡すが、アスレチックコースに特段の変化は無い様子。
程々に障害物は増えているが、コースを見極めれば10分程度で踏破出来そう。先行していた姫香とハスキー軍団も、敵の群れを全て駆逐して任務完了と雄叫びを上げている。
そして姫香は、単独隠された宝箱を探しに……行こうとして、今回はゲートの旗の下の大きな木箱を見付けてガッツポーズ。
まるで踏破のご褒美仕様に、慌てて回収する必要はなさげ。そんな訳で、姫香は後衛組に頑張ってと声援を飛ばすのみ。
末妹にも一応は、今度はいなくならないでよねと釘刺しの一言を忘れずに。自身は一足先に、エリアの踏破地点で家族に声援を送る係に。
そんな彼女の励ましもあって、他の面々も10分後には姫香と合流を果たせた。恐らく次で最終層と聞いて、紗良もようやく安堵の表情。
そして香多奈に急かされての、大きな木箱を開封する姫香。最初に目に付いたのは、綺麗な白木の椅子が4脚だった。
細身で芸術性は高そうだが、普段使いの実用性は乏しいかも? それらは全部同じタイプだが、細部は少しずつ違っている。
それから子供が遊ぶのに良さそうな積み木セットに、けん玉が4個ほど。けん玉は広島の廿日市市が発祥らしいが、広島県民的には特に誇らしい話題でもない。
まだ西城秀樹や浜田省吾が広島出身だよと言われた方が、誇らしい気持ちになるってモノ。ちなみに護人も、浜省のCDは結構手元に持っている。
他には何かの苗が3株と木の実が4個、それからMP回復ポーションが800mlほど。半分が探索とは関係ない品だったけど、香多奈は椅子の1つに座って幸せそう。
姫香もけん玉で遊びながら、次の青空市で子供が来たらプレゼントしようと楽しげ。さっきの独楽もいいよねと、このダンジョンの回収品には文句は無い様子。
この椅子も、ひょっとしたら高値で売れる可能性も。そんな大物も回収出来てしまう、魔法の鞄2種は本当に素晴らしい。
コレ便利だしもっと欲しいよねと、香多奈は贅沢な事を呟いている。それよりチーム『日馬割』的には、実は既に最深層に到達していると言う衝撃の事実。
そしてそれを更新する、お次は恐らく最終の10層目エリアである。
もちろん不意打ちにも充分に注意を払いつつの、チーム全員でのワープ移動。帰りの時間を気にしなくて良いってのは、精神的には楽ではある。
実はダンジョンにインして、既に3時間以上が経過している。5層の終わりなどの区切りで、結構長めの休憩を取っているとは言え。そろそろ疲れて来たし、お腹も空いて来た。
10層の探索も、なるべくサッと済ませたいが、ボス級もいるだろうし侮れる階層では決してない。それを見越して、チーム全員で気合いを入れつつ、MP回復もキッチリこなしての突入である。
そして出迎えたのは、9層と同じく空からと丸太を渡っての敵の群れの襲撃。あらかじめ木の実を食べての強化も行なっていた前衛陣は、張り切って敵の群れに立ち向かい始める。
ハスキー軍団も同じく、そして今回はミケもスキルを開封しての対処を始める。そしてあっという間に撃ち落とされて行く、殺人モモンガと大キツツキの群れ。
香多奈も応援を飛ばしながら、ミケに撃ち落とす敵の指示を飛ばしている。その隣で怪我人が出ないか案じている、紗良がエリアの異変を最初に感じ取った。
何と普通は安全な筈の、スタートの木板の舞台なのだが。歯車のギミックのお陰で、外壁伝いに巨大な丸太の壁が接近中と言う!
下手にこの場に居座れば、数分後には近付いた丸太で落とし穴に纏めて落とされてしまう。とんだ極悪仕様である、そして覗き込んだフロアの底にはやはりびっしりと竹槍が。
大猿の群れに押されていた前衛陣も、遅ればせながらこの異変に気付いた。そしてとにかく道を切り開こうと、果敢に大猿の群れに立ち向かう。
ちなみにこのフロアの中央には、一際大きな巨大猿の姿が。
そいつはハンマーと曲刀の二刀流らしく、しきりに咆哮を放ってこちらを威嚇している。その脇を固めているのは、3体の3メートル級のウッドゴーレム。
手にはこれまた巨大なハンマー、体には蔦が何重にも絡まっている。その中央の舞台に辿り着くには、蔦のロープ移動や段差の木株移動が待ち受けている。
せめて最初の丸太の橋を過ぎないと、歯車のギミックで落とし穴に強制的に落とされてしまう。慌てた香多奈は、取得した爆破石で前衛陣の戦闘をお手伝い。
大猿はともかく、ウッドゴーレムは爆風に派手にすっ飛んで行く。そして落とし穴に落下して、穴だらけでお亡くなりになる木人形。
それにレイジーの魔炎ブレスが加わり、敵の数は更に減って行く。そして護人から、ここまで進んで来てとの指示が紗良と香多奈に下された。
丸太のギミックは、既にスタートの木板の端まで届いている。時間はあと僅か、ここで慌てないでどこで慌てるのって話である。
そんな訳で、香多奈に手を引かれて細い丸太に進み出る紗良は割と必死。そうして、慌てたせいで足を滑らせ途端にピンチに。
丸太にしがみ付いて耐えるが、力持ちの前衛は戦線維持で戻って来れない。代わりに戻って来たのは、『影縛り』を操るツグミだった。
そのスキルで紗良が落ちるのをフォローしつつ、敵が来ないように警戒の目を光らせている。これなら当分は、落下の心配はしなくて済みそう。
その間に前衛陣は、更にグイっと戦線を押し上げていた。何しろ中盤の木株エリアは、下手をしたらボス連中の攻撃に一方的に晒される場所なのだ。
そこに居座るより、一気に中央の舞台に乗り込んだ方が被害が少なくて済む。幸い香多奈のヤンチャ投擲攻撃で、そこまでのルートは綺麗に切り開かれていた。
それを利用して、姫香を先頭にレイジーと護人もボス連中に張り付いて行く。
巨大猿は、来栖家の得意の速攻で相手取るには手強い敵には違い無かった。しかも護衛のウッドゴーレムは、3メートル級で強力な武器持ちである。
レイジーが『魔炎』の目晦ましから、ゴーレム相手に接近戦での破壊を敢行中。物凄いパワーだが、それは『身体強化』を掛けた姫香も負けていない。
巨大猿の二刀流を躱しながら、姫香は果敢に大ボスを責め立てている。その隣では、護人とレイジーがゴーレムを相手取っていた。
ウッドゴーレムに巻き付いている蔦は、例の別パーツの敵扱いだった模様。それを護人もレイジーも全く気にせず、パワーと勢いに乗せた攻撃で破壊へと導いて行く。
そこにコロ助も乱入、1体に圧し掛かって動きを封じていたと思ったら。巨大猿の尻尾が絡んで来て、巨大化していたコロ助を放り投げてしまった!
それを見た姫香と護人は、慌ててそれをフォローする。姫香はその長い尻尾を、強化鍬で思い切り根元から切断した。
絶叫を上げる巨大猿だが、反撃の一撃が叩き込まれた場所に姫香は既にいない。一方の護人は、放物線を描くコロ助が落とし穴に落ちないように素早く回り込む。
そして薔薇のマントと《奥の手》の両手使用で、何とかふんわりキャッチに成功。それには後方の香多奈から、絶叫に似た喝采が飛んで来た。
その頃には、ツグミに助けられた紗良と香多奈は、安全な木株地帯の端っこに避難終了。最後の出動を、ミケにお願いしていた所だった。
身体の小さいミケは、下手に戦闘地帯に投入すると簡単に敵に潰されかねない。だから投入時期を本当に考えないと、事故に巻き込まれる恐れが大きいのだ。
だけど今なら大丈夫、完全に視界も拓けたし的となる敵はあんなに大きい。そのダンジョンボスの最期は、言うならば割と悲惨だった。
ミケの《刹刃》で、突然顔面を中心に切り傷だらけにされたと思ったら。無防備になった所に、姫香の一撃が急所の首筋に大きくヒット。
そのまま悲鳴も上げず、巨大猿は大木が倒れるように沈んで行った。ドロップ品を落として、これにて大ボス戦は終了の運びに。
長かった探索にも、ようやく終止符が打たれるのだった。
――最深層を更新した来栖家チームは、みんな本当に良く頑張った。
1
あなたにおすすめの小説
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる