6 / 18
第1章
5 . 第二の人生
しおりを挟むサマンサが、ガクッとなったように感じた。
「あっ、すみません。驚いたもので... これからお決めになるのですよね?」
「んっ?あっ、そうなんだよ!そうそう。」
まさかの失態だ。伯爵時代の用意周到さのかけらもない。それほど、赤ん坊に魅了されてしまっていた。
「名前の候補はあるのですか?」
「いや、実はな... うん。考えていなかった。」
「なんて可愛らしい名前!ぴったりですね.....ってええええええっ! てっきり候補がありすぎて悩んでいるかと思ってたのに...」
サマンサは敬語も忘れ、素になってしまった。
「赤ん坊の引取先だけ考えていたのでな。できれば考えるのを手伝ってくれないか?」
オーウェンは名付けのセンスがないと、亡くなった妻から言われたことがある。どんな名前を考えたかは妻によって闇に葬られた。
だから、サマンサに助けてもらうことにした。
「ちなみに、サマンサの赤ん坊の名前は?」
「ジェナミ。ジェナミ・フォレスターです。何事にもへこたれない強い子に育って欲しいと願ってつけたのですが...夜泣きの威力はどの子にも負けません。そちらの方に願った訳ではないのですがね...」
サマンサは苦笑いする。
「そうか、そういう決め方があったのか‼︎」
「あの、そういう決め方とは?」
「ごほんっ。いや、何でもない。気にしないでくれ。」
いったいオーウェンはどんな名前の付け方をしてたのか気になりますが、そっとしておきます。
「サマンサの赤ん坊が心の強さなら、この子は賢さを身につけてもらおう。いつか二人が大きくなったときに良い友達になってくれると嬉しいからな。」
サマンサは心の強さに、賢さを持ってくるのは不思議に思ったが、そんな事より友達という言葉に感動する。
「オーウェン様!我が子を同等に扱ってくださるなんて...恐れ多いことです。従者ではなく、友達と!」
サマンサは目を輝かせる。そして続けてこう言った。
「賢さですよね。賢さをといえば、知恵です!それならばソフィアというのはいかがですか?響きもよろしいですし!」
「ソフィア!いい名前だ。そうしよう!」
オーウェンは、赤ん坊を腕に抱いてソフィア、ソフィアと連呼する。
「うん、本当にいい名前だ!俺が決めなくて良かった。サマンサ、感謝する。」
「いえいえ!私の考えを取り入れて下さって嬉しい限りです!」
オーウェンの腕の中のソフィアは、相変わらず きゃっきゃと咲っている。なんと愛くるしい。なんと可愛らしい。まるで天使のようだ。
オーウェンの第二の人生が既に始まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に
犬上義彦
恋愛
『御更木蒼也(みさらぎそうや)』
三十歳:身長百八十五センチ
御更木グループの御曹司
創薬ベンチャー「ミサラギメディカル」CEO(最高経営責任者)
祖母がスイス人のクオーター
祖父:御更木幸之助:御更木グループの統括者九十歳
『赤倉悠輝(あかくらゆうき)』
三十歳:身長百七十五センチ。
料理動画「即興バズレシピ」の配信者
御更木蒼也の幼なじみで何かと頼りになる良き相棒だが……
『咲山翠(さきやまみどり)』
二十七歳:身長百六十センチ。
蒼也の許嫁
父:咲山優一郎:国立理化学大学薬学部教授
『須垣陸(すがきりく)』
三十四歳:百億円の資金を動かすネット投資家
**************************
幼稚園教諭の咲山翠は
御更木グループの御曹司と
幼い頃に知り合い、
彼の祖父に気に入られて許嫁となる
だが、大人になった彼は
ベンチャー企業の経営で忙しく
すれ違いが続いていた
ある日、蒼也が迎えに来て、
余命宣告された祖父のために
すぐに偽装結婚をしてくれと頼まれる
お世話になったおじいさまのためにと了承して
形式的に夫婦になっただけなのに
なぜか蒼也の愛は深く甘くなる一方で
ところが、蒼也の会社が株取引のトラブルに巻き込まれ、
絶体絶命のピンチに
みたいなお話しです
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる