『神遊び』

Haru,d

文字の大きさ
5 / 5

終【おかえり…ただいま】

しおりを挟む
【うた】
それから、うたは…
いつか、あの町へ帰ることを夢見て…一生懸命過ごしましたとさ。
・・・ふぅ。

【???】
おい、女。

【うた】
あら?すみません。先にいらっしゃったんですか。
私、目が見えないものでして、
長々とつまらない話をしてしまって、お恥ずかしい。

つい、、、懐かしくなってしまいました。

それでは、私はこれで。。。

【???】
待て。せっかく来たのだから、ゆっくりしていけ。
それに…久しぶりだろう?

【うた】
(はっ)・・・クスっ。
20年ぶりでございます、、、ヤマト様。

【ヤマト様】
そうか。

【うた】
あなた様にとっては一瞬かもしれませんが、
私にとっては…いえ、私もあっという間だったかもしれません。

すっかり、、、年をとってしまいました。

ヤマト様は、おかわりなく?

【ヤマト様】
あの男が来てからというもの、それは騒がしかった。
毎日のように、人が来ては、、、それはそれは耐え難かった。
とまぁ、余の話はいい。

こっちへ来てみろ。

【うた】
はい?

【ヤマト様】
目を閉じろ。

(手をかざす様な)
褒美だ。

【うた】
わたしが目を開けると、
少年のような少女のような姿をしたヤマト様が
ただただ、笑みを浮かべて、すぅっと消えていった。。。


【男の子】
いらっしゃ~い!
奥様、うちの店、見て行ってよ!
父ちゃんが国を回って手に入れた珍しいものばかりだよ!

【うた】
ご主人はいらっしゃいますか?

【男の子】
父ちゃん? 半兵衛父ちゃんなら、そこらへんに~、

【うた】
いえ、お留守ならいいんです。
あの、お父さまに言伝を頼んでもいいかしら?

【男の子】
おう! 奥様みたいな美人なら父ちゃんも大喜びだよ!
(ありがとう)(耳もとでこしょこしょ)
行っちまった。。変な言伝~。
あっ、父ちゃん。

【半兵衛(大人)】
どうした?半次郎。客か?

【半次郎】
さっき来た美人の客が父ちゃんに言伝。
(私はあなたを恨んだことは、一度もありません。どうかお気になさらず)

【半次郎】
だって。知り合い? まさか、昔、恋仲だったとか?

【半兵衛】
お、おい。。。その人はどっちにいった!?

【半次郎】
あっち~。髪結い床に行くとか言ってたよ。

【半兵衛】
そっ、そうか。。。そうか…!
良かった…生きてた…良かった…良かった…

【うた】
(ふぅ)(トン…トン…)
ごめんください。

【朝吉(大人)】
はい、いらっしゃい。
今日は暇だから、好きなとこ座ってください。

【うた】
(あっ、あさちゃん…だ。。あさちゃん…がいる…)

【朝吉】
んっ?どうかしたかい?お客さん?
俺の顔になにかついてます?

【うた】
あっ、あの。。

【朝吉】
いやぁ、お客さんみたいな美人に見られると照れますね。

【うた】
いっ、いえ、、、あっ…あの… いえ…なんでも、、ないです。

【朝吉】
(?変なお客さんだなぁ)
ここは、俺の代から女の人の髪結いも始めたんですよ。遠慮せずにどうぞ。
ガキの頃は後ろ髪を結うことしかできなかったんですけど、今は慣れたもんです。

【うた】
あの…私のこと…わかり…ますか?

【朝吉】
えっ? あっ、ああ。・・・・・・・え~と、、、
すみません、なにぶん仕事で大勢の女性をみていますので、、、
どこかでお会いしましたか? 

【うた】
(…そう…だよね)
…いえ…私の勘違いかもしれません。
ちょっと…昔の知り合いに似ていたので。
子どもの頃、この辺に住んでいたんです。
…つい最近まで、遠いところにいましたが、近くまできたので。。。

【朝吉】
(いや、、、まさかな。)
そうですか。わざわざありがとうございます。

じゃあ、髪の毛整えますので。

【うた】
はい。

【朝吉】
っつ…! あの、お客さん、、これ、どこで。

【うた】
…はい、昔。子どものころに貸してもらったんです。
練習用の安物だから。って、その人は言っていましたけど、
私は本当に嬉しかった。宝物ができたんです。

それに“約束”もしました。

一人前になったら髪を整えてくれるって。
私が一番最初のお客さんになるんです。
ふふっ。それも本当に嬉しかった。

一人になったときも、
その人が嬉しそうにハサミを使う姿を想像すると、胸がいっぱいになるんです。

もう、、、覚えてないかもしれないですね。ふふつ。

【朝吉】
ばか…やろう…
…わすれるわけ、、忘れるわけねぇだろ。
約束も、、、お前のことも!

うた…っ!


【うた】
覚えていて…くれたんですね。

【朝吉】
当たりまえだろ。。。
お前のことを忘れたことはなかった…
   
____     
あの時、、なにもできなくて、ごめん!
ずっと、ずっと、誤りたかったんだ!
助けに行きたかったんだ!
ごめん、ごめんな! うた! ごめんっ…!

【うた】
ううん、私は大丈夫。大丈夫だったから。
だから、泣かないで、あさちゃん。

良かった。昔のままの優しいあさちゃんだ。

あさちゃんって、泣いてるとき、そんな顔になるんだね、初めてみた。

【朝吉】
うた? お前、目、、、

【うた】
うん、神様がね、見えるようにしてくれた。
それに、、、こうして あさちゃんにも会わせてくれたんだよ。

【朝吉】
うた…
確かに目の事はそうかもしれない、

でも、今日、ここで会えたのは、、、
うた。お前がこれまで頑張ってきたからだ。

【うた】
そう…かな… そうだったら、、、いいな。
えへへ、、、とっても長かった…とっても大変だったんだよ…
とっても、寂しかった…わたし頑張ったよね。。。

【朝吉】
あぁ、よく戻ってきたな、

おかえり、、、うた。

【うた】
うん、ただいま。あさちゃん

“それから、私たちは、まるで子どものままごとのように髪を結った。”

____
じっとしてろよ、ほら。

ひゃぁ、くすぐったいよぉ、あさちゃん。

我慢しろ。

んっ、んっ、、んっ… ぷっ…あははっ、、

こ~らっ

私はこれまでの事をあさちゃんに話した。

あの後、峠を越えるところで盗賊に襲われ、
役人さんが逃がしてくれたこと。
逃げているときに、足を滑らせ怪我をしたこと。
動けなくなっている私を助けてくれた恩人のこと。
これまでその人のところでお世話になっていたこと。

そんな話をあさちゃんは 泣いているのか笑っているのか、
ただ、そうか。と、聞いてくれた。

【朝吉(大人)】
よし、できた。どうですか? お客さん?

【うた(大人)】
はぁ~。。。すごい… じゃない、、、
こほん、、いい出来ですね、ご主人。

【朝吉】
お褒めいただき、光栄です。

ふふっ、、ははっ、あははは。



【朝吉】
うた~、迎えにきたぞ~。

(ほら、朝吉が来たよ。行っておいで)

【うた】
・・・うん。お父さん、お母さん、行ってきます。
えへへ。あさちゃん。おはよう。

【朝吉】
もう、いいのか?

【うた】
うん。

【朝吉】
それにしても、、うた。
お前、とんでもないこといいだすよなぁ。

【うた】
だめだった?

【朝吉】
だめじゃねぇけど、、、


【半兵衛】
さぁ~、さぁ~!
今日はここ、下野の国。神のおわす神社「大神神社」で
髪結い床の朝吉と、うたの祝言が行われるよ~!

もとはと言えば、この二人、この私目とも縁がふかく、
そう、それは振り返れば昔のこと~

【朝吉】
相変わらず騒がしいな、半兵衛さんは。

【うた】
うふふ、いいじゃない、にぎやかで。
その方がきっと、あの方も喜ぶ。

【朝吉】
うた、これ、、、もらってくれるか?

【うた】
...綺麗。

【朝吉】
それ、もうボロボロだろ。
それに、、、その、、、ハサミのお礼だ。

【うた】
・・・はい。

【ヤマト様】
よかったな、うた。

【うた】
えっ?? ・・・  くすっ。


【朝吉】
あんまり、気に入らなかった?

【うた】
ううん、、とても嬉しい。。

わたしは、、、幸せものです。



【おわり】


しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

2021.08.23 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

解除

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました

小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」 二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。 第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。 それから二十年。 第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。 なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。 不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。 これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。 ※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。