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4話「祭囃子」
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【半兵衛】
はぁ、はぁ、はぁ。 ごくり。
お待たせした!
神様、昨夜の続きをお見せしたい!
・・・あぁ、くそ。面倒じゃな。
(神様、昨夜の続きをお見せに参りました。どうかお姿をお見せください)
【語り部】
半兵衛がお祈りを始めると仏様が光り、
そこにはまた、人のようなヤマトの姿がありました。
【ヤマト】
おお、来たか。てっきりもう来ないかと思ったぞ。
…それで? 続きは思いついたのか?
【半兵衛】
…はっ、はい! 今回は私が旅をして聞いた、ここ下野の伝説について
お話したく存じます!では、さっそく。。。
まずは、大ムカデと大蛇によってできて平原の話でございます!
大昔、日光男体の神と、赤城の神が、湖を自分の縄張りにしようと、
大蛇と大ムカデに姿を変え、激しい戦いをしたそうな、、、
【語り部】
半兵衛は、それから勢いよく話をしはじめました。
噂好きや、口達者が幸いして、スラスラと話を続けます。
大ムカデと大蛇の話の次は、平安の世の 弓の達人。「那須与一」
那須与一が蜘蛛の巣にかかった蜂を助け、蜂から授かった矢で
波に浮かぶ扇を射抜いたという。
止まらぬ口から出たのは、なんと、尾が9本もあった美しい白狐の話。
あらゆるところで悪さをしたキツネは退治されたのち、石に姿を変えたこと。
石になっても、毒をだして旅人を邪魔することから、
殺生石と名がつけられ、今でも北の土地にあるという、
【半兵衛】
最後は “幽霊神社 ”
あの廃神社には幽霊が出る”
この話は、とある村の外れにある廃れた神社の話だ。
ある夜。雨風をしのぐために、
その神社に訪れた旅人が変な声を聴いたという。それはそれは恐ろしい声だった。と、
噂が噂を呼び、幽霊の正体は昔の宮司だ、とか、
落ち武者の魂が集まっている、とか
なかには、四ツ目の鬼がいて人を騙して食う。とかそんな怪談話が出来上がった。
その話の舞台が、ここってわけだ!
・・・
どうだ!? 話は聞かせてやったぞ!俺の願いを叶えてくれ!
俺の願いは親父みたいな旅商人でなく、店をもって金持ちになることだ!
町を歩くのは、もううんざりだ。親父のような負け犬になりたくはない!
!俺の願いを叶えてくれ!
【ヤマト】
…ほんとうによく喋るやつだな。話は うた より面白かった。
【半兵衛】
では!願いを!願いを叶えてくれ! 早く! さあ! 願いを!神様!
【ヤマト】
だまれ。
【半兵衛】
はっ?
【ヤマト】
貴様の願いは聞かん。先ほどなんと言ったか?
父のような負け犬? 貴様のその達者な口。それは誰から譲りうけたものだ?
貴様がすらすらと話した土地の神話は、どうやって手に入れたものだ?
そして、その底知れぬ傲慢さ。まったく厭わしい。
久しぶりに人と戯れてみた結果がこれか。興が冷めた。
話はこれで終わりだ。
【半兵衛】
えっ? ちょっと、ねえ、ちょっと!
【語り部】
ヤマトは そのまま姿を消してしまいました。
【半兵衛】
ちょっと、まって。。。おい、神様? どこいったんだよ?
おい!願いをかなえてくれるんじゃなかったのか?・・・くそっ!くそっ!
・・・神頼みがだめなら、俺のやり方で利用させてもらう。
【語り部】
半兵衛は神社を後にすると、数日の間、姿を見せませんでした。
そして、ある日。。。
【うた】
ヤマト様にお礼言うの遅くなっちゃった。怒ってるかな?
・・・あれ?なんだか賑やか。。。
【語り部】
そこには、見たことがないような人の並びがありました。
奥の神社から鳥居まで、ずらっと人が溢れています。
鳥居の前に目をやると、そこには。
【半兵衛】
さぁ~、さぁ~、寄った寄った~!
ここがかの有名な、なんでも願い事を叶えてくれる神社だよ~!
さぁ、一度見てってみな~!
おっと、ここを通るには、20文いただくよ。まいど!
【朝吉】
あいつ、あの時の怪しいやつ。
【うた】
あさちゃん。
【朝吉】
なんだか賑やかだから来てみれば、何やってんだあいつ。(さぁ?)
【半兵衛】
おぉ~、おぬしらはいつぞやの。元気だったか?
俺か? 俺は、ほれ!見ての通り。大繁盛じゃ!
【うた】
あの~、ここでなにを?
【半兵衛】
見てわからんか。この神社を使って商売だよ、商売。
人間というのは、欲が深いの~。
願いを叶えてくれる神様がいる。と、町々に噂して回ったら、とたんにこれじゃ!
まぁ、俺も人の事は言えんが。これも”神頼み”ってことじゃの~。笑
おぬしらも入りたいのか? そしたら、一番最後に並べ。20文じゃぞ。
【うた】
わたし、そんなお金もってません。
【朝吉】
てめぇ、勝手に仕切りやがって、ふざけてんじゃねえぞ。
【半兵衛】
なにか文句あるか?
【語り部】
朝吉の後ろから、大男が二人姿を現すと半兵衛の隣に並びました。
【朝吉】
てめぇ、、、
【うた】
あさちゃん、もういいよ! ねっ、もういこう?
【朝吉】
だってよ!
うた、ここはお前が。。。
それをこいつは、
【うた】
ううん、大丈夫だから。
【半兵衛】
20文持って、出直してこ~い。ははっ
【語り部】
それからというもの、人の波はとどまることなく、連日連夜に至るまで
それはそれは大勢の人が訪れました。
あるものは、楽器を奏で、またあるものは、詩を歌い、
またあるものは、境内の八島で神楽を舞いました。
もちろん、うたはあれ以来、一度も幽霊神社に足を運べませんでした。
しかし、大勢の人が訪れても、願いがかなった。神様の声を聞いたというものは
一人も現われません。「半兵衛は嘘をついている」という声が聞こえるたびに
「楽しませ方が足りん」と、煽り文句をいい、
そのたびに我こそはと、また、神社に足を運ぶものが増えるのです。
【語り部】
珍しい生き物をみせてみたり、あるいは、婚姻を見せてみたり、
誰が呼んだのか、
ときに、相撲をとってみせたり、千両役者によるお芝居もありました。
それでも、、、ヤマト様は一度も姿をみせることはありませんでした。
のちにこれは、
誰が一番先に神様に逢えるか、という催しものにかわり。
ならず者も混ざって、さながら賭博会場。
その様はまるで、人の心をうつしたようで
皆が願いを叶えてくれと、欲。そのものでした。
やがて、この”祭り話”は、江戸の都まで届き、、、
終わりが訪れます。
【役人】
幕府からの使いで参った。今からこの土地は幕府が管理する。
【語り部】
役人がそういうと、次から次へと男たちが現われ、あっという間に
神社を囲んでしまいました。
【半兵衛】
おいおいおい、、なんだお前たちは!いきなり現れて何のつもりだ!
【役人】
(ぺらっ)幕府からの命だ。これからこの神社は修繕され幕府のものになる。
従わないのであれば、ここで捕らえる。
【半兵衛】
そんな。。。
【語り部】
半兵衛はなすすべもなく、幽霊神社から追い出されてしまいました。
そして役人が半兵衛が話していたことは、全て“でたらめ”だというと、
怒った町人たちは半兵衛を町から追い出してしまいました。
【朝吉】
大変なことになってるな。
【うた】
うん、あの人、ちょっとかわいそう。
【朝吉】
いいんだよ、あんなやつ。バチがあたったんだ。
でも、仕切るやつが変わっただけで、入れねぇんだよなぁ。
あいつらもあの神社で神頼みしてんのかな? ばからしい。
【うた】
しっ。あさちゃん、聞こえるよ。
【朝吉】
聞こえるようにいってんだよ。
【語り部】
そして、、、役人たちが見張り始めて何日かした、ある夜。
【役人】
見つけたぞ。
【半兵衛】
なっ、なんだ、俺を捕まえにきたのか?
おれは何も悪いことはしていない!
あいつらが勝手に信じて金を払ったんだ!
【役人】
そんなことはどうでもいい。聞きたいことがある。
「願いが叶う」という話、あの町で聞いて回ったが
お前以外にその話を知っているものがいない。だが
いつの間にかあの噂が流れ始めたそうだ。
なぜおまえは、その噂を流したんだろうな。
金持ちになりたいなら願いを叶えてもらえばいい。
お前はあの神社で”何か”に、願いを叶えてもらえなかった。ちがうか?
【半兵衛】
な、なんのことかわからねぇな。
俺はただ、金儲けがしたくて噂を流しただけだ。
【役人】
では、なぜ、あの神社だったんだ?
もともとは誰も近寄らなかったそうじゃないか。
ただ一人を除いて、は。
お前はその一人に出会って、あの噂を聞いた。
いや、その時は噂ではなく、事実だったかもしれない。
願いを叶えてもらう方法が具体的過ぎる。
本題だ。あの娘の願いは叶ったのか?
【半兵衛】
さ、、、さぁ。。。知らねえな。娘? だれのことだか。
【役人】
(袋に入った、金を投げる)
お前が一生かかっても手にすることがないくらいは入っているかもな。
【半兵衛】
うっ。(ごくり)
【役人】
お前は何も悪いことはしていない、ただあったことを私に話した。それだけだ。
このまま誰にも信じてもらえず、薄汚い負け犬のように死にたくないだろう。
【半兵衛】
おれは、、、負け犬に、、、なりたくない。
(すまん、娘、、、すまん。。。)
(雨音)
【役人】
この家の娘を連れていく。
【母】
なんですか?あなたたち、、、
【役人】
幕府からの命だ。従わなければ、罪に問われる。
娘を出せ。
【母】
突然現れた見ず知らずの人に、娘をだせなんて言われて、
はいそうですか。っていう親はいないよ!かえってちょうだい!
【役人】
やれ。
【母】
ちょっと、なに..するんだい!やめておくれ!
うた!うた!逃げて!逃げなさい! あぁ、だれか!
【うた】
おかあさん!! やだ、ちょっと!離してください!ねえ!やめてください!
やめて!離して! きゃああぁ!
【朝吉】
うた!奥様!
【うた】
あさちゃん!
【朝吉】
・・・てめぇら、神社の。。うたと奥様を離せ! うたをどこに連れて行く気だ!
【役人】
幕府からの命だ。この娘は、あの神社と重要な繋がりがあることがわかった。
時がきたらこの町に戻すことは約束しよう。何年後かはわからんが。
【朝吉】
なにわけのわからねぇこと言ってんだ!
うたはただ、あの神社にお参りに行ってただけじゃねぇか!
それとは何の関係もないだろ!うたを返せ!
【役人】
本当に何も聞いていないのか。
だが、お前が知る必要はない、連れていけ。
【朝吉】
あぁ?何のことかは知らねぇが、どうやってもうたを返さねぇっていうんなら
力ずくで、、、
【役人】
溜息(スチャ(刃物音))
【うた】
あさちゃん!! …だめっ!!
【朝吉】
っっ!!
【うた】
あさちゃん、ダメだよ… だめっ…
私は…大丈夫だよ…ねっ。帰してくれるって言ってるし、だから…
【朝吉】
…でもよっ! うた! そんなのいつになるかわかんねぇじゃねぇか。
ほんとに帰してくれるかもわかんねぇんだぞ!
それに、、、お前、目が不自由だし、俺がいねぇと、、、
あと、おれ、もうすぐ誕生日だからよ、髪…切ってやるって約束したじゃねーか。
な、だから、そんな奴らからは離れて、戻ってこい。
【うた】
約束…そうだね…
【朝吉】
だろ…いま助けてやるからな!
【語り部】
うたは、ただ小さく首を振りました。
【うた】
あさちゃんまで、私の前からいなくならないで…
お願い…
あさちゃん、、、ごめんね…
【朝吉】
うた…
【役人】
話は終わりだな。連れていけ。
【朝吉】
うた。。うた。。。うたーーーーーーーーーー!
ぜったい、ぜったいにかえって来いよ~!
てめぇらも、うたに何かあったらただじゃおかねぇからな!
うた…オレ、一人前になって、お前のことずっと待ってるからなーーーー!
【語り部】
うたは、うなずくだけでした。
【うた】
(あさちゃん、あさちゃん…!
ごめん、ごめんね。 あさちゃん…約束、いつまで待ってくれるかな。
約束、いつまで覚えててくれるかな?
約束、、、覚えててもいいかなぁ、、、)
はぁ、はぁ、はぁ。 ごくり。
お待たせした!
神様、昨夜の続きをお見せしたい!
・・・あぁ、くそ。面倒じゃな。
(神様、昨夜の続きをお見せに参りました。どうかお姿をお見せください)
【語り部】
半兵衛がお祈りを始めると仏様が光り、
そこにはまた、人のようなヤマトの姿がありました。
【ヤマト】
おお、来たか。てっきりもう来ないかと思ったぞ。
…それで? 続きは思いついたのか?
【半兵衛】
…はっ、はい! 今回は私が旅をして聞いた、ここ下野の伝説について
お話したく存じます!では、さっそく。。。
まずは、大ムカデと大蛇によってできて平原の話でございます!
大昔、日光男体の神と、赤城の神が、湖を自分の縄張りにしようと、
大蛇と大ムカデに姿を変え、激しい戦いをしたそうな、、、
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噂好きや、口達者が幸いして、スラスラと話を続けます。
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那須与一が蜘蛛の巣にかかった蜂を助け、蜂から授かった矢で
波に浮かぶ扇を射抜いたという。
止まらぬ口から出たのは、なんと、尾が9本もあった美しい白狐の話。
あらゆるところで悪さをしたキツネは退治されたのち、石に姿を変えたこと。
石になっても、毒をだして旅人を邪魔することから、
殺生石と名がつけられ、今でも北の土地にあるという、
【半兵衛】
最後は “幽霊神社 ”
あの廃神社には幽霊が出る”
この話は、とある村の外れにある廃れた神社の話だ。
ある夜。雨風をしのぐために、
その神社に訪れた旅人が変な声を聴いたという。それはそれは恐ろしい声だった。と、
噂が噂を呼び、幽霊の正体は昔の宮司だ、とか、
落ち武者の魂が集まっている、とか
なかには、四ツ目の鬼がいて人を騙して食う。とかそんな怪談話が出来上がった。
その話の舞台が、ここってわけだ!
・・・
どうだ!? 話は聞かせてやったぞ!俺の願いを叶えてくれ!
俺の願いは親父みたいな旅商人でなく、店をもって金持ちになることだ!
町を歩くのは、もううんざりだ。親父のような負け犬になりたくはない!
!俺の願いを叶えてくれ!
【ヤマト】
…ほんとうによく喋るやつだな。話は うた より面白かった。
【半兵衛】
では!願いを!願いを叶えてくれ! 早く! さあ! 願いを!神様!
【ヤマト】
だまれ。
【半兵衛】
はっ?
【ヤマト】
貴様の願いは聞かん。先ほどなんと言ったか?
父のような負け犬? 貴様のその達者な口。それは誰から譲りうけたものだ?
貴様がすらすらと話した土地の神話は、どうやって手に入れたものだ?
そして、その底知れぬ傲慢さ。まったく厭わしい。
久しぶりに人と戯れてみた結果がこれか。興が冷めた。
話はこれで終わりだ。
【半兵衛】
えっ? ちょっと、ねえ、ちょっと!
【語り部】
ヤマトは そのまま姿を消してしまいました。
【半兵衛】
ちょっと、まって。。。おい、神様? どこいったんだよ?
おい!願いをかなえてくれるんじゃなかったのか?・・・くそっ!くそっ!
・・・神頼みがだめなら、俺のやり方で利用させてもらう。
【語り部】
半兵衛は神社を後にすると、数日の間、姿を見せませんでした。
そして、ある日。。。
【うた】
ヤマト様にお礼言うの遅くなっちゃった。怒ってるかな?
・・・あれ?なんだか賑やか。。。
【語り部】
そこには、見たことがないような人の並びがありました。
奥の神社から鳥居まで、ずらっと人が溢れています。
鳥居の前に目をやると、そこには。
【半兵衛】
さぁ~、さぁ~、寄った寄った~!
ここがかの有名な、なんでも願い事を叶えてくれる神社だよ~!
さぁ、一度見てってみな~!
おっと、ここを通るには、20文いただくよ。まいど!
【朝吉】
あいつ、あの時の怪しいやつ。
【うた】
あさちゃん。
【朝吉】
なんだか賑やかだから来てみれば、何やってんだあいつ。(さぁ?)
【半兵衛】
おぉ~、おぬしらはいつぞやの。元気だったか?
俺か? 俺は、ほれ!見ての通り。大繁盛じゃ!
【うた】
あの~、ここでなにを?
【半兵衛】
見てわからんか。この神社を使って商売だよ、商売。
人間というのは、欲が深いの~。
願いを叶えてくれる神様がいる。と、町々に噂して回ったら、とたんにこれじゃ!
まぁ、俺も人の事は言えんが。これも”神頼み”ってことじゃの~。笑
おぬしらも入りたいのか? そしたら、一番最後に並べ。20文じゃぞ。
【うた】
わたし、そんなお金もってません。
【朝吉】
てめぇ、勝手に仕切りやがって、ふざけてんじゃねえぞ。
【半兵衛】
なにか文句あるか?
【語り部】
朝吉の後ろから、大男が二人姿を現すと半兵衛の隣に並びました。
【朝吉】
てめぇ、、、
【うた】
あさちゃん、もういいよ! ねっ、もういこう?
【朝吉】
だってよ!
うた、ここはお前が。。。
それをこいつは、
【うた】
ううん、大丈夫だから。
【半兵衛】
20文持って、出直してこ~い。ははっ
【語り部】
それからというもの、人の波はとどまることなく、連日連夜に至るまで
それはそれは大勢の人が訪れました。
あるものは、楽器を奏で、またあるものは、詩を歌い、
またあるものは、境内の八島で神楽を舞いました。
もちろん、うたはあれ以来、一度も幽霊神社に足を運べませんでした。
しかし、大勢の人が訪れても、願いがかなった。神様の声を聞いたというものは
一人も現われません。「半兵衛は嘘をついている」という声が聞こえるたびに
「楽しませ方が足りん」と、煽り文句をいい、
そのたびに我こそはと、また、神社に足を運ぶものが増えるのです。
【語り部】
珍しい生き物をみせてみたり、あるいは、婚姻を見せてみたり、
誰が呼んだのか、
ときに、相撲をとってみせたり、千両役者によるお芝居もありました。
それでも、、、ヤマト様は一度も姿をみせることはありませんでした。
のちにこれは、
誰が一番先に神様に逢えるか、という催しものにかわり。
ならず者も混ざって、さながら賭博会場。
その様はまるで、人の心をうつしたようで
皆が願いを叶えてくれと、欲。そのものでした。
やがて、この”祭り話”は、江戸の都まで届き、、、
終わりが訪れます。
【役人】
幕府からの使いで参った。今からこの土地は幕府が管理する。
【語り部】
役人がそういうと、次から次へと男たちが現われ、あっという間に
神社を囲んでしまいました。
【半兵衛】
おいおいおい、、なんだお前たちは!いきなり現れて何のつもりだ!
【役人】
(ぺらっ)幕府からの命だ。これからこの神社は修繕され幕府のものになる。
従わないのであれば、ここで捕らえる。
【半兵衛】
そんな。。。
【語り部】
半兵衛はなすすべもなく、幽霊神社から追い出されてしまいました。
そして役人が半兵衛が話していたことは、全て“でたらめ”だというと、
怒った町人たちは半兵衛を町から追い出してしまいました。
【朝吉】
大変なことになってるな。
【うた】
うん、あの人、ちょっとかわいそう。
【朝吉】
いいんだよ、あんなやつ。バチがあたったんだ。
でも、仕切るやつが変わっただけで、入れねぇんだよなぁ。
あいつらもあの神社で神頼みしてんのかな? ばからしい。
【うた】
しっ。あさちゃん、聞こえるよ。
【朝吉】
聞こえるようにいってんだよ。
【語り部】
そして、、、役人たちが見張り始めて何日かした、ある夜。
【役人】
見つけたぞ。
【半兵衛】
なっ、なんだ、俺を捕まえにきたのか?
おれは何も悪いことはしていない!
あいつらが勝手に信じて金を払ったんだ!
【役人】
そんなことはどうでもいい。聞きたいことがある。
「願いが叶う」という話、あの町で聞いて回ったが
お前以外にその話を知っているものがいない。だが
いつの間にかあの噂が流れ始めたそうだ。
なぜおまえは、その噂を流したんだろうな。
金持ちになりたいなら願いを叶えてもらえばいい。
お前はあの神社で”何か”に、願いを叶えてもらえなかった。ちがうか?
【半兵衛】
な、なんのことかわからねぇな。
俺はただ、金儲けがしたくて噂を流しただけだ。
【役人】
では、なぜ、あの神社だったんだ?
もともとは誰も近寄らなかったそうじゃないか。
ただ一人を除いて、は。
お前はその一人に出会って、あの噂を聞いた。
いや、その時は噂ではなく、事実だったかもしれない。
願いを叶えてもらう方法が具体的過ぎる。
本題だ。あの娘の願いは叶ったのか?
【半兵衛】
さ、、、さぁ。。。知らねえな。娘? だれのことだか。
【役人】
(袋に入った、金を投げる)
お前が一生かかっても手にすることがないくらいは入っているかもな。
【半兵衛】
うっ。(ごくり)
【役人】
お前は何も悪いことはしていない、ただあったことを私に話した。それだけだ。
このまま誰にも信じてもらえず、薄汚い負け犬のように死にたくないだろう。
【半兵衛】
おれは、、、負け犬に、、、なりたくない。
(すまん、娘、、、すまん。。。)
(雨音)
【役人】
この家の娘を連れていく。
【母】
なんですか?あなたたち、、、
【役人】
幕府からの命だ。従わなければ、罪に問われる。
娘を出せ。
【母】
突然現れた見ず知らずの人に、娘をだせなんて言われて、
はいそうですか。っていう親はいないよ!かえってちょうだい!
【役人】
やれ。
【母】
ちょっと、なに..するんだい!やめておくれ!
うた!うた!逃げて!逃げなさい! あぁ、だれか!
【うた】
おかあさん!! やだ、ちょっと!離してください!ねえ!やめてください!
やめて!離して! きゃああぁ!
【朝吉】
うた!奥様!
【うた】
あさちゃん!
【朝吉】
・・・てめぇら、神社の。。うたと奥様を離せ! うたをどこに連れて行く気だ!
【役人】
幕府からの命だ。この娘は、あの神社と重要な繋がりがあることがわかった。
時がきたらこの町に戻すことは約束しよう。何年後かはわからんが。
【朝吉】
なにわけのわからねぇこと言ってんだ!
うたはただ、あの神社にお参りに行ってただけじゃねぇか!
それとは何の関係もないだろ!うたを返せ!
【役人】
本当に何も聞いていないのか。
だが、お前が知る必要はない、連れていけ。
【朝吉】
あぁ?何のことかは知らねぇが、どうやってもうたを返さねぇっていうんなら
力ずくで、、、
【役人】
溜息(スチャ(刃物音))
【うた】
あさちゃん!! …だめっ!!
【朝吉】
っっ!!
【うた】
あさちゃん、ダメだよ… だめっ…
私は…大丈夫だよ…ねっ。帰してくれるって言ってるし、だから…
【朝吉】
…でもよっ! うた! そんなのいつになるかわかんねぇじゃねぇか。
ほんとに帰してくれるかもわかんねぇんだぞ!
それに、、、お前、目が不自由だし、俺がいねぇと、、、
あと、おれ、もうすぐ誕生日だからよ、髪…切ってやるって約束したじゃねーか。
な、だから、そんな奴らからは離れて、戻ってこい。
【うた】
約束…そうだね…
【朝吉】
だろ…いま助けてやるからな!
【語り部】
うたは、ただ小さく首を振りました。
【うた】
あさちゃんまで、私の前からいなくならないで…
お願い…
あさちゃん、、、ごめんね…
【朝吉】
うた…
【役人】
話は終わりだな。連れていけ。
【朝吉】
うた。。うた。。。うたーーーーーーーーーー!
ぜったい、ぜったいにかえって来いよ~!
てめぇらも、うたに何かあったらただじゃおかねぇからな!
うた…オレ、一人前になって、お前のことずっと待ってるからなーーーー!
【語り部】
うたは、うなずくだけでした。
【うた】
(あさちゃん、あさちゃん…!
ごめん、ごめんね。 あさちゃん…約束、いつまで待ってくれるかな。
約束、いつまで覚えててくれるかな?
約束、、、覚えててもいいかなぁ、、、)
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第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
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