ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜

出汁の素

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第二章 アクア

第7話 グランドマイスター

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 翌日から2日間書類との格闘や、会議に明け暮れ何とか目処がついた夕方、一息ついて、窓から外を見ると、30人からのドワーフ、エルフ達が玄関から訪れてきた。

「アレックスくん、お客さんよ~。」
「はい。」
 白き薔薇団の受付のお姉さんこと、ザビーさんに呼ばれて大応接に行くと、ロードベル様や、サハリン様達年季の入った職人さん達30人程集まっていた。

「アレックス、お主がご要望のグランドマスタークラスの職人を29人程連れてきたぞ。一応、この街のグランドマイスター全員じゃ。」
「小僧、弟子も入れたら、1,000人以上確保可能じゃ、とりあえずの金は借金が返せれば良いから、何とかなる。それより、小僧に聞きたいことがあって、儂等を満足させて貰えれば全員参加するだろうし、それによって決めさせて貰う。」
 と、半分笑いながら、僕を試す様に言った。

「ロードベル様、サハリン様、皆さんありがとうございます。至らない部分は何でも仰って下さい。そもそも、皆さんを拘束する契約を結ぶ気はないですし。」
「小僧どういうことだ?普通、商人は専属契約を結んで死ぬほど働かすものだろう?」
「ごめんなさい。常識が無くて、僕は、とりあえずロードベル様と、サハリン様の工房を見て、よくないと思ったんです。」
「小僧、儂達が良くないと、」
 サハリン様が睨んで、ロードベル様は、難しい顔をしていた。

「よくないのは、例えば名工には、名工らしくして欲しいです。それは驕って欲しいのではなく、鍛治師達の目標、夢になる位の生活や、仕事環境で、生活を考えずに自由に作品を作る環境で、業物を生み出していって欲しいんです。そんな環境を整備出来るなら、お手伝いしたいんです。」
「で、儂が入ったら何をしたらいい?」
「グランドマイスターの皆様には、後進の指導を仕事にして頂き、空いた時間には自由に作品をお作り頂くか、ご家族と過ごされてもいいですし、研究に勤しまれても良いと思っています。基本的に、利益の大半は職人の方々にお渡しする予定です。まだ固まってませんが、学校を開設するので、初めは教材作りで通常以上にお手間をおかけするかも知れませ。その点はよろしくお願い申し上げます。」
 ロードベル様以外がポカンとしていた。老齢の白髪のエルフらしい、手を震わせてお爺さんが手を挙げた。

「儂は、ハーレスという魔導具師じゃ、お主が言っているのは、門外不出の技術を公開せよと。」
「ハーレス様、不勉強で申し訳ございませんが、その技術は、ハーレス様とお弟子様方だけの技術ですか?」
「はん?魔導具師リーモンド派伝統の技術だ。他の都市とは交流はないが、多分、帝国で3000いや、4000人位かのう。」
 そう言うと、離れた所に座ってた、老齢のブロンドのエルフらしいお婆さんが、笑いながら。

「ハーレス、お前らのリーモンド派は、4000か?うちは5000じゃ」
「レイバース、お前もセイレーンから出たこと無いのに何でわかるんだ。」
「何じゃと、お主、うちの派は、5年前に最新の魔導馬車を開発してるんだ。」
「お前のとこには技術来てないくせに、」
 そうすると、後ろに座っていた、壮年の緑髪のエルフが怒鳴った。

「あの技術はうちの技術を盗んで作った癖に」
「何じゃとエトロフェ、そんなの知るか、それより、12年前の携帯コンロは、うちの技術を盗んで、」
「お前達、もとはと言えば、お前らの基礎技術は270年前の分派の時にだなぁ」
 と3人で言い合っている中を、ロードベル様が呆れた顔で

「アレックス、呆れたか?職人はな、大抵は所謂亜人で、冒険者か、職人以外まともな職に着けん様に差別されてきたんじゃ。それで、職人も技術を盗まれ、職を奪われんように、技術を秘匿してきた、その結果こんな状況じゃ。」
「そうなんですか?で、今職人って儲からないし、辛いからなりたいヒューマンなんていないですよね。それ以上に、エルフさんやドワーフさんの様に長生きでも、特性が高いわけでもないので、争って勝ちようがないです。ヒューマンが作りましたという差別的な購入がない限り。だから、亜人差別のの酷い国の技術は高くないんです。」
 喧嘩していた3人は、喧嘩をやめて僕を見ていた。僕が話を一旦止めた時、すかさずスレインが冷淡に話し出した。

「最近、帝国でも亜人差別が強まっているのは、商人のせいですが、大手商会は、他国との貿易が多く差別意識が高い国を見て、そうしても良いんだと染まってきてるんでしょうね。帝国の基盤を損なう行為だと気づいておらず。帝国政府も、最近の亜人差別は危ぶんでいますが、シルフ公や、ノーム公はそれぞれ、エルフ、ドワーフ以外の亜人を差別してますし、イフリート公はヒューマン至上主義者なので、強権な政策で抑え込みにいけないでいるんです。」
「じゃあさ、研究所作って、ドワーフさんや、エルフさん達の価値を高めて力をつければ、差別を抑えに行けるの?」
「そうですね、少なくても、アクア、と言うよりセイレーンの基幹産業を担えば、セイレーンでの地位は上がります。また、研究所で作ったものは、商会が商人ギルドで特許申請することで、研究結果の商品を売る場合に数割の技術料を貰えます。工房を持つ商会に限られますけどね。単に工房が作ったら専属契約を結ばされて、秘匿させられて飼い殺されるんですけど。実は、その流れで技術を秘匿する文化が生まれたんですけどね。」
「「「「「へー?」」」」」
 職人さん達がビックリした。

「セイレーン城が出来た頃だから、約500年前に特許制度出来たんだけど、その頃そんなことがあったって、帝都の学校の図書館にあったギルド史の本に書いてあったよ。多分昔商人に騙されたんだね。」
「「「なんですと」」」
 3人の魔導具師のグランドマイスター達は怒りをあらわにした。

「昔も今も商人って無茶苦茶な人多かったんだね。」
「だと思いますよ、大半の大手商会主は金に魅せられてますから。いやですね。」
「スレインさん、あなたも一昨日から商会主ですけどね。」
「私は健全にやりますから。アレックスさん勉強しなさ過ぎです。」
「と言っても、僕まだ13だよ。」
「歳は関係ありません。この後は私が説明します。研究所と、学校と大工房を作ります。学校には、職人養成と、技術習得、試験の3機能を持たせ、職人養成には、地方都市の商人学校レベルの基礎教育も行います。仮に卒業後に工房を出ても、商人にうまくやられない為です。その先生も既に確保しております。プレース商会を来年引退予定の行商人さんを早期引退させて、先生になって貰えるように調整済みです。皆様には先生役と、指導者育成、テキスト作りをお願いします。学校の上位機関として研究所を置きます。ロードベル様には研究所所長と、学校長になって頂きます。皆様には、研究所の主任研究員として、研究室をお渡しします。上席研究員は皆さんでそれぞれ選んで頂きます。一般研究員は、工房全職人から毎年研究テーマ、計画を提出頂き、プレゼンを聞いた後選定してもらいます。研究員の方々は、ベース報酬の他に研究室での開発、基礎研究の実績を元に、お出しします。特許収益位ついては、7割研究所運営費に、3割は研究所もしくは大工房に勤めている間は研究者に分配します。大工房では、最低ノルマを熟せは基礎給与をお渡しします。クオリティ、数をそれ以上に作成した場合には、ボーナスをお出しします。資材の調達、販売は基本的に商人を雇って行います。販売部門とは、週次でミーティングをし、生産調整をお願いしますが、原則一日8時間程度をイメージしています。はぁはぁ。」
 みんな、真剣な顔でスレインの話を聞いていた。 僕は一回も噛んでないことに驚いていた。

「要は儂らは、教材が出来るまでは、教材作りはあるが、それ以外は好きに研究していいと、職人達は制作に没頭して8時間働けば、後は修行なり、家族サービスなりしていれば生活に困らない程度の給与は出す。と。」
「そんな感じです。」
「そうか、詳細は話そうと思うが、基本妾は了解です。」
「儂も了解だ、」
 そう言えって、20人以上が了解してくれた。

「あの、俺は家具師何だが、客と俺たちが合わずにどうする?」
「幾つか、定型の商品を作って、それを販売するんです。」
「定型、毎回図面引かずに?現地にも行かずに?売れんのかい?」
「同じ型で、同じ図面で大量に作れば1つ1つは安く作れます。特注は大工さんから図面を貰って作るか、現地に行くかですが、現地に行く場合当然高価になります。庶民はそんなのよりは十分な機能を持った安い物を欲しがるでしょうし、安く作れる分、見栄えに手間を掛ければ、今までの価格で1段も2段も豪華なものが作れます。クオリティの統一化と、在庫リスクがありますが、クオリティは、営業をしない分の検品をしっかりやって頂いて、在庫リスクは商会で責任を取ります。」
「わかった、仕事の半分以上営業や素材調達だったから助かる、若者達の修行のために営業をやらせる事は出来るか?」
「当然、ご相談しながら店舗に販売のサポートとしていて頂ければ助かります。」 
 家具師のお爺さんドワーフは難しそうな顔からニカっと笑って。

「実に面白い、俺は、リードローだよろしくな。研究所では、魔導具師や鍛治師に道具の開発もお願いできるのか?」
「それは、当然そうなっていくと思いますし、共同で商品開発もしていくと思います。馬車に魔導具を設置して魔導馬車にするのではなく、魔導馬車を前提として魔導具と、家具師と、鍛治師が協力して作成していく感じで、全ての商品を一から考え直して貰ったら面白いと思っています。」
 次に白髪の壮年のドワーフが、弱気な声で聞いてきた。

「わしゃ大工だがどうすれば良いんか。」
「まずは、アクアを大幅に弄るのでそこにご協力ください。原則として家の部品を工場で作り、現地でそれを組み上げて行く工法を考えています。大きなマジックバックの開発に成功すれば、工場で作っておいて現地で出しても良いかもしれませんが。」
「そうか、輸送はどうするんか?」
「商会の方で準備する予定です魔導馬車の作成を含めて色々ご協力をお願いしますが。」
「分かった。わしも乗ろう。わしはルーモンじゃよろしく。ハーレス、お前んとこで、そんなデケェマジックバック作れるか?」
「うーん、エトロフェの技術と組み合わせられれば、でも実験に相当数のマジックゲートが必要ですが。そんなの。」
 僕はマジックゲート(中)を30だした。

「とりあえず、これでご検討頂けますか?他の開発もお願いしますので、もっと用意する予定ですが。」
「はっ、マジックゲートしかも中をこんなに。わかりましたよ。この老ぼれ実現させましょう。良いなエトロフェ。」
「分かった楽しそうだな。」
「私も忘れるでないわ、協力するぞえ」
 喧嘩していた魔導具師達は、端に寄って検討を始めた。

「アレックス、お主は世界を変えるかもしれんのう?」
「ロードベル様、変えるのは私ではなく、皆さんです。私はただの小僧ですから。」
「そうか、ワハハハハ」
 グランドマイスター達は皆んな笑顔になり、参加を決めてくれた。この日から、帝国が大きく変わり始めていく。
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