攻略本片手に異世界へ 〜モブは、 神様の義祖母 〜

出汁の素

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幼女編

最終話 いざ皇宮へ

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 私達はフランドル公爵家中屋敷に着いた。

 3人を寝かして置き、私だけおりて降りて玄関を叩くと、アリアさんが出てきた。

「ジェシカ様、どうされました。こんなに早いお戻り何かございましたか。」
「いえ、リバヤント草は確保しました。」
「えっ、お疲れ様でした。」
「3人は寝ているので、寝かせておいて下さい。離れの前の部屋空いてますか?」
「先月までお泊まりになられた部屋ですね。空いてますよ。」
「使っても。」
「どうぞご自由にお使いください。」

 そう言われると、私は、部屋に向かった。単純に、誰も入ってこない作業スペースさえあればいいので、この部屋で十分だ。

 部屋でやることは簡単、リバヤント草を薬研で潰し、その液を濾過し、瓶に入れる。その工程を、面倒くさいので、神聖魔法でやってしまうのだ。瓶は手元に大瓶10本程あるので、一気に作る。

 1.リバヤント草をマジックバックから出します。約100?にもなりました。
 2、リバヤント草を薬研で潰すことにする。神聖魔法でちゃちゃーっとやります。
 3.薬研で潰すしたリバヤント草の液体を濾過し、大瓶に入れる。神聖魔法でちゃちゃーっとやります。

 以上、約20秒で終わりです。(真面目にやると8人日/1瓶、鑑定板機能でも出来るけど、神聖魔法修行の為に封印中。)作業が終わったので、アレックス少年の部屋に向かった。そこには、ロバートさんと、ハリヤースさんがいた。いたというのは、ロバートさんは起きていたが、ハリヤースさんは、倒れていた。十中八九過労だろう。部屋の隅には、指定した量の薬瓶が置いてある。根性でやってくれたんだろう。私はその便を携え、また部屋に戻った。

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ロクソーリンの作り方

用意するもの
 レイモン汁 2瓶
 リバヤント汁 4瓶
 バリストス汁 4瓶

 1.バリストス汁を60度まで熱します。神聖魔法でちゃちゃーっとやります。
 2.バリストス汁にレイモン汁を混ぜ90度まで熱し3分たったら、0度に下げます。神聖魔法でちゃちゃーっとやります。
 3.リバヤント汁を混ぜると、ゼリー状になっていきますので、ゆっくり固めます。神聖魔法でちゃちゃーっとやります。
 4.ゼリーを乾燥させて粉にし、薬包紙で包みます。神聖魔法でちゃちゃーっとやります。
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 以上、約30秒で終わりです。(真面目にやると5人日/1瓶)作業が終わったので、アレックス少年の部屋に向かった。そこには、ベルベット様が起きて、アレックス少年の手を握っていた。

「ベルベット様、起きられましたか?」
「ジェシカさん。ごめんなさい。寝てしまっていて。どうですか?」
「一応できました。鑑定版で鑑定し、ロクソーリンと出ましたので、大丈夫です。」
「ありがとうございます。では、」

 と言って、薬をアルフレッド少年に飲ませようとしたが、粉薬なので、飲みやしない。ゴホゴホと吐き出してしまった。

「うー、アリアさんにお水を貰ってきて頂いて下さい。ロバートさん」

 そう。ロバートさんに頼み、水を持って来てもらい、水に溶かして飲ませたが、吐いてしまった。

「どうしましょうか・・・。」
「私にやらせて下さい。」

 その時、ベルベット様私のコップを奪って、アルフレッド少年の元に行った。スプーンで飲ませようとしてのやっぱり無理だった。少し涙目になった後で、ベルベット様は、薬を口に含み、アレックス少年に口づけした・・・。口移しで薬を飲ませてやろうとするベルベット様の覚悟であろう。ベルベット様は、1回、2回、3回とゆっくり、丁寧に口移しで薬を飲ませた。
 そして、4回目の口移しを行っている時に、アルフレッド少年は目を覚ました。

「うっ、うっ」
「きゃっ」

 ベルベット様は、アルフレッド少年が気付いた事で、自分のやったことを冷静にみて、顔を赤らめ、後ろに遠のいた。

「ベルベットちゃんか?」
「アルフレッド様」

 アルフレッド少年の弱った声に対して。ゆっくりと暖かく名前を呼び返した。二人がもじもじしだしたので、

「閣下、とりあえず、これとこれを飲み干してください。」

 そう言って、薬と、体力回復ポーションを飲み干して貰った。薬で症状を抑えられる以上、体力回復ポーションは有効なのである。

「ありがとう。何とかよくなってきたよ。」
「現状を説明してもよろしいですか?」
「あぁ、頼むよ。」

 そういわれて、私は現状説明を始めた。

「閣下が倒れて12日経ちます。皇子達もほぼ同じタイミングで倒れたそうです。」
「皇子達のご容体は?」
「未だ意識が戻っていないはずです。薬は閣下から使用しました。」
「そうか、ありがとう。」
「まずは、ベルベット様に、私はベルベット様の御心に打たれて、迷宮まで潜って薬草を探してきただけですから。」

 そう言うと、ベルベット様恥ずかしそうにしていた。

「ベルベットちゃんありがとう。」
「アルフレッド様、私の何倍も、何十倍もジェシカ様のおかけです。」
「ジェシカさん。本当にありがとう。この恩はいつか返させて貰うよ。」

 この言葉に、アルフレッド少年の心には私が入る隙間が無いことが露わになった。泣きそうだが、グンとこらえて。

「閣下。まずは、殿下達のお命を助けに向かいましょう。薬はこちらにあります。そこに倒れているハリヤースさんを叩き起こして、皇宮に向かいましょう。」

 と言ったその時。扉が開き

「俺たちもついていくぜ」

 と二人の皇子も出てきた。似合わないで方なので、

「お二人が今出るとややこしくなるので、馬車に戻った戻った」
「「ジェシカちゃーん(さーん)。」」

「なぜ、両皇子が・・・・。」

 と二人を馬車に戻して、ポカンとしているアルフレッド少年に事象を説明した。
 
 30分でアルフレッド少年の服を着替えさせる等色々準備をして、みんなで皇宮に向かった。

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 朝の通勤時間の直前で、道が混みだす前にすすーっと皇宮殿に向かった、何度が城門があったが、馬車の家紋により止められず、並ばずにに通過していった。そして、第一区画の大通りから、第零区画つまり皇宮を見ると、1区画を埋め尽くす巨大な城だった。帝国建国時には、この第零区画の周りに、市民が住んでいた。それが年々帝国の拡大と共に、区画を広げていき、現在の11×11の計121区画の構造になっている。第零区画だけは建国以来変わらない構造をしている。そんな、歴史ある、巨大な白亜の城の門にたどり着いた。

 城兵達は、帝国軍でも選りすぐりのメンバーであり、親衛騎士団が仕切っていた。

「とまれ。」

 その声に、馬車は止まった。止まってすぐにキャビンの扉が開けられた。

「おお、両皇子ではないですか、本日はご来訪のご予定はなかったはずですが。」
「弟を助けに来た。」

 騎士は、一瞬顔を歪めたが、リーゼンハルト様をじっと見て、

「お助けになれるのですか?」
「助ける方法が見つかった。」

 騎士は、驚くと同時に、多少怪しんでいる。

「なんと、皇子がその方法を?」
「いや、治せる薬と、治した結果を持ってきた。」
「結果とは?」
「フランドル子爵だ。知っておろう。」

 そう言うと、騎士は奥に座るアルフレッド少年を見た。

「フランドル子爵・・・。」
「本日完治させた。その薬も持ってきた。薬師もおる。」

 騎士は少し考えたのち。

「わかりました。どうぞお通り下さい。」

 そう言って、騎士は馬車から降りていった。

 門を過ぎて直ぐの所に、馬車留めがあり、馬車を降りると、大勢の騎士や、女官が並んでいた。隊長らしき騎士が前に出て、深く頭を下げると、

「リーゼンハルト皇子殿下、アーサー皇子殿下どちらへ?」
「この者達を連れて、リーディングの所に行こうと思うが。」
「フランドル子爵ならともかく、ほかの……フランドル子爵、倒れられたのでは?」

 と、隊長らしき騎士が変な声を上げている。

「ファーラウェー中佐。今日の朝までは倒れていたのですが、宮廷薬師殿に助けられたのですか?」
「いや、」

 と、アレックス少年が反論しようとした。絶対面倒くさくなるので、

「ファーラウェー中佐、私は、ジェシカ予備役少尉です。リーゼンハルト皇子殿下、アーサー皇子殿下が、ハリヤース宮廷薬師殿と協力して素材を揃え、調合し、フランドル子爵閣下をお救いになられました。ハリヤース宮廷薬師殿が薬をお持ちになられてます。どうか急ぎ殿下の元へ。」
「わかった。だが、お主が少尉と?」

 ファーラウェー中佐は、私が少尉というのに、引っかかった。

「ファーラウェー中佐、私の護衛騎士に何か?正騎士の資格を持つ、私の護衛騎士に。」
「アーサー皇子殿下の護衛騎士?」
「ほれ、あのリボンは私が渡したものだ。帝位継承権者としての我がアーサーレッドで染めたリボンを。」
「アーサー殿下、カッコつけてアーサーレッドって言いたかっただけでしょ。」
「わかる?」
「分かりますよ。それで、私にリボン?」
「そう、リボンの騎士かな?」

 リボンの騎士ってサファイヤかと、叫びたくなったが、

「あの。皇子。騎士を勝手に任命されては……」

 ファーラウェー中佐が、呆れていると、私は、ナイトカードを差し出して

「アーサー皇子殿下の護衛騎士か、どうかは別として、私は正騎士です。」
「そうか、君がテストで満点を叩き出した、噂の」
「噂さどうか分かりませんが、今はリーディング殿下のお命がかかっておりますので。」

「そうだな。お部屋に向かうがいい。ザミック中尉」
「はっ」
「先導して差し上げろ。」

 ザミック中尉と呼ばれた中堅の騎士さんは、私達を先導して、皇宮の奥まで連れて行ってくれた。一言もしゃべらず、威厳を保とうと、姿勢よく、ずっしりとした歩き方で進んでいく。
 私以外は慣れているが、私は物見遊山の様のきょろきょろ見てしまう。そんな中で振り返ると、アレックス少年の顔色が悪くなってきていた。宮殿と言っても改修はされているだろうが、元々お城である。内装は豪華でも、階段は多く、バリアフリーさは全くない。体力がない子供ならすぐにへばるだろう、ついさっきまで倒れていたアレックス少年には、負担は大きいであろう。

「フランドル子爵閣下大丈夫ですか。」
「大丈夫だ、それより、一刻も早くリーディング殿下を、」

 と歯を食いしばって歩いている。フランドル子爵をおいていくのも可能だが、それだと、リーディング皇子の間で揉めるのが明らかなので、置いていく訳にはいかない。

「閣下」

 主君思いの良いやつだよ・・・・。

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 気持ちペースを落として何とか、大事なくリーディング皇子の寝室についた。そこには、若い騎士が二人立っていた。

「ザミック中尉。」
「レイモス中尉、モーランド少尉。ファーラウェー中佐の命で、この方々をお連れした。」

 年上そうな騎士が、ザミック中尉に敬礼し、私達を見回した。

「はっ、ですが・・・・こっ、これはフランドル子爵閣下、ご体調は。」
「今日朝まで、死にそうだったが、薬で回復した・・・。治療法を持って来た、殿下を助けに・・・。」
「両皇子は・・・。」
「薬の材料を手に入れるのにご協力頂いたそうだ・・・。」
「そうですか・・・。どうぞお入りください。」

 そう言って中に入ると、大きなベットに寝ている少年と、豪華な服を着た、若い女性、周りには数人の薬師風の男たちと、数人の騎士が立っていた。

「殿下~」
 フランドル子爵は、ベットの少年に駆け寄っていった。それを見た女性が目を見開いている。

「アレックスちゃん、あなたは倒れたんじゃ・・・。」
「助けられました・・・。殿下も・・・・助かります・・・。」

 駆け出したアレックス少年は、女性に駆け寄り、何故か二人は抱き合って泣いている。

「セリーヌ正妃陛下。」
「あっ、これは、リーゼンハルトちゃんに、アーサーちゃん。」

 ちょちょ切れている涙を拭きながら、声をかけたリーゼンハルト様を見据えた。

「リーディングの治療に移っても?」
「はい。お願いします。」

 そう、正妃様が言った瞬間、男たちが立ちはだかった。

「セリーヌ正妃陛下、なりません。ここは宮廷薬師の領分です。」
「いかにも、リーゼンハルト殿下と言えども、何かあれば・・。」

 薬師と、騎士は、立ちはだかった。すると、後ろに隠れていた、ハリヤースさんが震えながら、前に出た。

「ベーコンズ筆頭薬師様。何か勘違いをさせてしまっていたら申し訳ございません。リーゼンハルト皇子殿下は、偶々お手伝い頂いただけで、フランドル子爵の治療はあくまで、宮廷薬師の私が行いました。私はご存知の通り、ベーコンズ筆頭薬師様と異なり、市井の出身。新設された共同研究所と、以前手配した学校の教科書、参考書の作者等の協力をえて、治療法を調べ、薬を手配し、治療しました。私が治療している以上、全ては、宮廷薬師の成果となりましょう。」

 ハリヤースさん、ナイスと思っていると、アーサー皇子が

「ハリヤースお前、成果は、ジェシカちゃんに」
「アーサー皇子殿下。」
「ジェシカちゃん。」

 と正義感を前面にに出そうとしたアーサー皇子殿下を抑えた。ここでは、ややこしくせずに、とっとと進めないと、治療が出来なくなる。

「ベーコンズ様少しお待ち下さい。」

 ハリヤースさんがそう言うと、リーゼンハルト様、アーサー様と私を集めてハリヤースさんが小声で説明した。

「皆様、今回は、ベーコンズ様に花を持たせていただけませんか?」
「何故?」

私が聞くと

「宮廷薬師団の長である宮廷薬師長は、前々皇帝陛下の時代から薬師長を務めております。それは、圧倒的な実力等では無く、歴代の筆頭宮廷薬師を次々と失脚させ、幹部をイエスマンで揃えてきたからです。その為、薬師達は政治に走り、本来の仕事を忘れた者が多く、腕も知識も無いのに上に上がっています。ベーコンズ様は、陛下の信頼を得て実力で筆頭まで登り詰め、私利私欲に走らない方です。何とか花を持たせて頂けないでしょうか。」
「私はそれで良いですわ。要は助かりさえすれば、良いですし、」
「良いだろう。ではその方向で、」
「いや、兄上、ジェシカちゃんの栄誉が」
「アーサー、そんなことでは、リーディングが持たんぞ、」
「アーサー様ありがとうございます。ですが、私には栄誉なんか入りません。ただ人が助かれば」
「わかった。ごめんな。」
 と、アーサー様は、自分の行為が恥ずかしかったのか、顔を赤らめていた。


「ベーコンズ様、話はつきました。」
「そうか、ハリヤース。治療の栄誉は宮廷薬師にあり、共同研究所などには、協力した栄誉と、薬代を渡せば良いと。」
「はっ。」

 宮廷薬師は納得し、下がったが騎士は、納得していないらしく、

「で、両殿下は。」
「私達は偶々リーディングが倒れたと聞いて、協力したいと思っていたところ、知り合いの冒険者に偶々、薬の素材収集の依頼が来たので、手伝ったまでのこと。」

 騎士はニヤリとし、

「そうか、両殿下には、偶々、お手伝い頂いて、偶々か。偶々。」
「偶然、偶然。」

 リーゼンハルトも、ニヤリと返した。とりあえず、リーディング様を助けるのを優先されたらしい。ここで交渉を始めたらはっ倒すしかなかったが、アレックス少年の為に、リーディング殿下を助けてあげないといけない。

「リーゼンハルトちゃんも、アーサーちゃんもリーディングの為にありがとう。」

 この人、素なのか・・・。せっかく貸し借りなし的な感じになったのに・・。と思い咄嗟に攻略本でセリーヌ正妃殿下について調べてみた。
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セリーヌ・ハイムサーディシュ

 帝国正妃にして、ハイムサーディシュ前公爵パーティマン・ハイムサーディシュの長女。別名天然人たらしと呼ばれる程、天然で、人を彼女の虜にしていく。
 ハイムサーディシュ公爵家でも、三本の指に入る程の魔術師で、属性魔法はもとより、精霊魔法も使いこなす。
 皇帝が、皇太子時代に一目惚れして、3年かけて口説き落としたと言われている。
 正妃として、2人の息子と1人の娘を持ち、第1皇子ルイ、第1皇姫ミレイ、第3皇子リーディングとなる。正妃として、全ての皇子、皇姫は、自分の子として育てており、第2皇子リーゼンハルト、第5皇子アーサーも自分の子のように接している。
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 公爵家も見てみようか。

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ハイムサーディシュ公爵家
アルカディア帝国建国神話に出てくる魔王討伐6英雄の一人、大魔導士ビーダー・ハイムサーディシュを始祖とする、魔法神ハイムサーディシュ様の名を姓に頂いた帝国屈指の魔の名家。
帝国北部ハイムサーディシュ地方を領有する大貴族であり、魔法先進国として知られ隣接するベルーフ王国の建国に大きく関わり、ベルーフ王国の名誉大公の地位も持っている。公都ハイムサーディシュの魔法学院は、ベルーフの魔法学院と並び、二大魔法学院と呼ばれる、魔法研究の最先端となっている。
代々公爵は、大魔導師の名を継ぐ者がなっており、ゲームでも大魔導師の継承者となる、ロマリア・ハイムサーディシュ公太子が登場した、遊び人系イケメンで、3大人気キャラの一人だった。
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「2人の育て方間違って無かったわ。出て行った時は何か失敗したかと悩んだけど。ハンナちゃんもあの世で素直で良い子に育った子達を。」

 とまた泣き出した。なんか違和感があるけど、まずは、作業と、

「では、ハリヤースさん、はじめます。」

 ハリヤースさんがみんなに話しかけた。

「皆さん、このジェシカさんは、共同研究所の上席研究員で、特殊な鑑定板を使います。簡単に言えば症状が分かります。」
「おお、そんなことが。」

 宮廷薬師さん達が響めいている。

「はい。因みに、彼女は、アーサー皇子殿下の護衛騎士なので、宮廷薬師として取り込めませんので、諦めて下さい。私は諦めました。」

 アーサー様の護衛騎士は、決まりなの?マジか。と思いつつ、鑑定板で見ると、やはりザリーマストのアレルギーだった。

「やはり、ザリーマストのアレルギーでした。これは、帝国南部全域に群生するザリーマストの花の根のエキスを抽出して煮詰めて作る栄養補給薬として知られるザリーマスト薬のアレルギーです。通常は、無害でしはが、1年単位で、花が咲いた後の根から抽出した物を継続的に摂取する事で、突然免疫反応が高まり、意識を奪い、死に至ることがあります。アレルギーが発症する迄の期間は、年齢による差があるが個人差は少ないらしいです。黄色い花が咲く前の根を用いれば発症することは無いので、故意にやられたんでしょうね。」

 私が流れるように語ると、みんなポカンとしていた。そんな中、一人天然な正妃様が

「ジェシカちゃん、幼女だよね。」
「そうですが、正妃陛下。」
「その知識と、話し方。」
「知識は、本からです。話し方は、いつも大人の人と一緒に居たので自然と・・・ですかね。」
「本?宮廷薬師もしらないのに?」

 そう言われて私はゴソゴソと、マジックバックから本を出した。アルフレッド少年が寝ている時に用意したものだ。

「これが、、新刊の医学大全第1巻です。」
「医学大全?」
「新しい本で、来月刊行予定です。」

 そう言うとベーコンズ筆頭薬師が受け取り、パラパラめくっていった。

「不治の病と言われていた物や、難病が、治癒方法まで載っている。それでいて、暗殺等に使え物は、不記載している。これは千金の価値があるそ。」
「薬師の学校のテキストになりますので、うちの商会で外販もしますので、よろしくお願いいたします。」
「あぁ、全員分買ってやる・・・。これを、この知識、世界が変わるぞ、でどこでこの知識を。」
「うちの実家は商会なので、色々な本を集めたり、聞いたりして集めたものです。このアレルギーについては、誰か記録に残ってませんが、南方の薬師が知ってたらしいです。ほら、下に南方匿名薬師と。」
「あぁ・・・。レバッカ中級薬師、南方に調べに行かせろ、犯人となりうるものを探すのだ。」
「はっ。」
「で、この本は、」
「先にお渡しします。」

 と、ベーコンズ筆頭薬師は、目の前の知識の泉の虜となり、上手く誤魔化した・・・。

「で、治療薬は、あれで良いでしょう。後は、薬師様達にお任せします。」

 と言い。私は、フランドル子爵と共に、他のご学友達が倒れる部屋を回り、鑑定をし、確認して回った。全員同じ症状だったので、問題なく完治するだろう。全員見終わったって、廊下に出た時、安心して疲れがどっと出て私はクラっと倒れかけた。

「ジェシカ・・・。」

 そう、倒れかけた私を抱きとめてくれたのは、アレックス少年・・・・・ではなく、アーサー様だった・・・。えっ・・・。違わない?そうして後ろを見ると、ベルベット様も登廷されたらしく、綺麗な真っ赤なドレス姿でアレックス少年とイチャついていた。・・・・マジか。

「ジェシカちゃん。大丈夫?」
「むーりー。やー。」
「そうだよねー。僕達より寝てなくて疲れているよね。一応、休憩できる部屋を確保したら、ひと眠りするといいよ。夕方にこの件を整理するミーティングがあるから、そこに出て貰わないといけないし・・・。」
「えっ私も・・・。」
「正妃陛下が「ジェシカちゃ~んも連れてこないと、ダメだからね・・・。」と言ってたから。」

 何気に、アーサー様のモノマネが上手くて笑ってしまった。

「久しぶりの笑顔を見れてうれしいよ・・・。あの人怒らせると怖いから、僕も兄も一緒だから安心してね。」
「わかった。」

 と言って、流石に疲れすぎて寝てしまった。


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「ジェシカちゃん、ジェシカちゃん」

 その声で目を開けると、そこは知らない天井・・・天蓋だった。超豪華な部屋に、天蓋のあるベット、お姫様の様だというか、お姫様用の部屋らしかった。

「ジェシカちゃん起きたかな・・・。」
「正妃陛下?」
「そうよ・・・。ちょっとおめかしするからね・・・・。メイド隊よろしくね。」

 と言うと、正妃様は出て行って、大量のドレスと、メイドさん達がどっと入ってきた。ドレスはどれも良い生地で、劣化防止の付与がされている一級品だった。顔には、ベールをかけられている。私はメイド隊になされるがまま黙々とおめかしをされた。

「これでよしっと・・・。どうぞ。」

 一人のメイド隊長みたいな人が言うと、アーサー様が入ってきた。

「私の騎士さんが、お姫様になったかな?」
「アーサー皇子殿下、これは?」

 私の疑問に、アーサー様は

「今からミーティングだからね・・・。僕に任せてくれれば何とかするから。」

 そう笑みを浮かべ、そう言って、私の手を引いて宮廷内を移動した。

「何処に行くのですか?」
「もうすぐだ・・・。」

 そう言うと、大きな扉があり、門番が立っていた。

「はじまっているか?」

 アーサー様の久しぶりに聞く真面目な声に

「はっ、どうぞお入りください。」

 そう門番が言うと、大きな扉を開けた。そこには、所謂謁見の間があり、多くの文官、武官が立ち、段の上に、髭を生やした30代後半の威風堂々としたおじさまと、正姫様がいらっしゃった。

「アーサーか、後ろは・・・」

 正妃陛下がこそこそおじさまに耳打ちすると

「小さい護衛騎士さんか・・・。ガハハハ。まぁ、リーゼンハルトの所まで来い。」

 やばい・・・絶対やばい・・・。来ちゃいけないところに来ちゃった・・・。そう、皆さんお気づきの通り、多分ここは、世界の頂点にある帝国の中枢の中の中枢、最高権力者たる皇帝陛下の謁見の間。そして目の前には、絶対皇帝陛下だ。多分立っている人達はみんな、帝国最高幹部達。何故、武官の列ぽいところの末席あたりに、大佐がいるんだ。みんな将軍か?壁際には、レールガンを背負っている者もいる。親衛騎士達が、護衛に付いているか。

 私達が、リーゼンハルト皇子のところまで歩いて、頭を下げると。

「頭を上げよ。下げんで良い。」
「はっ。」

 っと、アーサー様が言った。基本陽気な子だが、今日は真面目だ。流石皇帝陛下。

「では、今議論したあらましを説明しがてら整理しようか。リーザース。」
「はっ、陛下。」

 と、50にかかった位の、白髪の文官風のおじさまが答えた。アーサー様が小声で、

「宰相だ。」

 と教えてくれた。宰相が、ゆっくりとした声で説明を始めた。

「ことの始まりは、主犯が、宮廷薬師と、料理人を抱き込み、この暗殺計画を始めた事にあります。犯人達は、帝国南部全域に群生するザリーマストの花が咲いた後に、その根を集めエキスを長期的に服用する事でおこるアレルギーにより、暗殺をする計画を立案しました。この計画はリーディング殿下を対象とし、リーディング殿下及びリーディング殿下と共に生活するご学友の方々を巻き込んで、進められました。先日リーディング殿下は発病し、それを知った実行犯達は自害しました。原因不明の病とされましたが、宮廷薬師長主導により、治療に成功し、計画を頓挫させた。尚、実行犯達は自害した為、主犯は分かっておりません。」
「そんなとこか。アーサーも、治療薬の原料調達に活躍したそうだな。」

 陛下は、ゆっくりした声でアーサー様に声をかけた。

「はっ。」

 アーサー様は、少し自慢げな顔で答えた。

「でだ。実際はどうなんだ?アーサー。」
「陛下。私が申し上げました通り。」

 陛下の言に、一同騒然として、宰相様は狼狽えた。陛下が宰相様の言葉を信じでいないのか、何か問題があったのか、それぞれが思考を巡らしている。そんな中で、宰相様が咄嗟に出した声に対し、陛下はギッっと睨んだ。

「リーザース。儂はアーサーに聞いている。口を出すな。アーサー、そちが見聞きし、考えた事を偽りなく申してみよ。」

 宰相様は、頭を下げて一歩下がり、アーサー様は深呼吸して、はっきりした声で話始めた。

「あっ、はっ、私は、この件を知ったのは、中央学院のリーゼンハルト兄上と一緒に、兄上の友達。このジェシカの兄上の所に入り浸ってた時です。ジェシカの指示で、冒険者の大迷宮に潜る為に、フランドル子爵の部下の騎士がジェシカの兄上を呼びに来ました。その際に、フランドル子爵が、倒れ助ける為の薬を作る原料を取りに来て欲しい。リーディング兄上も同じ症状だから、フランドル子爵にきけば、リーディング兄上も助けられるかも知れない旨を聞きました。」

 アーサー様が、そこまで話したときに、陛下が一言疑問を投げかけた

「ほう。そちが、何故、中央学院におる。」

 そう、私も疑問だった・・・。何で中央学院にいるの?

「兄上と、兄上の友人である、魔導師に、魔法をキャンセルする魔法を習う為です。」

 そうなんだ・・・。お兄ちゃんから習ってたのか・・・・。それで仲良しになったのね。

「ほう。キャンセルは、昨年発表されたばかりで、初級魔法までしか対応が出来ないと聞いていたが、ジイ違うか?」
「陛下、先月、殆ど全ての魔法のキャンセルの魔法陣が、学術誌に載りました。筆者は「迷宮前の商人」がその魔導師のペンネームです。アーサー様が習っている魔導師は、多分中央学院一年首席にして、魔導博士の称号を受けた者です。」

 えっ、お兄ちゃんってそんな有名人なの・・・。魔導博士の称号って確かゲームでは超ハードは称号だった気がするけど・・。すごーいお兄ちゃん。でもほめると図に乗るから、放置放置っと。

「そうか、それで中央学院にいたのだな。で何故、その魔導師の妹であるその娘が、迷宮探索するのだ。」

 えっ、私の事も・・・。

「彼女は、神具として、鑑定板を持っており、薬草を探せる者です。」
「そうか。うむ。そうか。リーゼンハルトとそちの功は高くみんとな・・・。」

 そう言って、薬師の服を着た肥太ったお爺さんを見据えた。あっ、そうか・・・。今回の件で、宮廷薬師達は功を高めようとしているのを潰しに行っているのね・・・。多分。

「陛下。両殿下にはたまたまお助け頂いただけで、功は全て宮廷薬師に。」
「そうだな。宮廷薬師長。犯人も宮廷薬師だったな。さて、何故、リーディングが治る前に、フランドルの息子が治った。」

 さっきのお爺さんこと宮廷薬師長は、陛下と議論を始めた。

「はっ、リーディング様を実験台にする訳にはいかないので、と報告を受けております。」
「そうか、では、リーディングの命は大事だが、アーサーやリーゼンハルトはどうでもいいか?」
「いや、そんなことは。」

 宮廷薬師長が狼狽えだすと、陛下の話すスピードは速くなり、

「宮廷薬師長の主導なら、何故、その娘が薬草を探すのだ。宮廷薬師団は、親衛騎士団に付いている。ならば、親衛騎士がやるべきでは。」

 宮廷薬師長が言葉に詰まると、筆頭宮廷薬師のベーコンズが答えた。

「アーサー殿下が仰った通り、鑑定板がありますので。」
「そうか、そうか。それで薬草は、危険度に応じて報酬は払うのだな。皇子達の分も含めて親衛騎士団の予算からな。」
「はっ、そうですな。我々が雇ったので。」

 宮廷薬師長が、復活し、余裕綽綽に答えた。

「モーティマ。」
「はっ。」

 とっさに、アーサー様が

「財務卿だ。」

 と、教えてくれた。

「騎士団が冒険者を雇って、迷宮を探索させた場合、報酬はどうなる?」
「階層に合わせた手当に、危険手当として、倒したモンスターが迷宮外にいて、討伐させた場合の討伐賞与の2割をパーティの人数で割った額を人に払う事になっています。」
「父上、取り決めで報酬の全ては、この娘に渡すこととしてます、ので」

 リーゼンハルト様の言に陛下は、

「そちは、それで満足か?」
「そんなに頂けるなら十分です。」

 私が答えると、アーサー様が口を出した。

「いえ、陛下、それは高すぎます。」
「アーサー殿下、親衛騎士団の予算でお支払いしますので、安心して下さい。もし、心配なら、私のポケットマネーで支払いましょうか。」
「宮廷薬師長様それでよろしいのですか。」

 アーサー様の言葉は、全てわかってなので、余分な言葉だが、帝室として気持ちはわかった。それならそれで良かったが、宮廷薬師様がカッコ付けで口を出してきた。筆頭宮廷薬師のベーコンズ様は、察して、後ろに下がっている。

「はい。」
「では、助けたのは宮廷薬師長主導、リーゼンハルト達はリーディングを助ける為に冒険者達に協力と言うことだな。」

 陛下と、宮廷薬師長との間で、栄誉と、コスト負担の仕切りがなされた。陛下が少し笑みを浮かべているのは、全てわかっているんだろう。

「で、アーサー、冒険譚を聞かせてくれないか?迷宮の。」
「はい。」

 アーサーは、迷宮での話を克明に話した。ドラゴン6体、オーク1000匹、インビジブルドラゴン12体、他600体位を討伐した話をわかりやすく話した。宮廷薬師長以外の武官、文官達は目が点になった。宮廷薬師長だけは、すごいねー位の顔だ。

「わかった。わかった。」

 陛下は、少し考えだすと、

「陛下、流石に幾らになるか。」
「そうだな。だが、これで、宮廷薬師長を追い落とせる。」
「ですが、市民にこれだけの資金を、」

 と、コソコソ宰相様が陛下に相談を始めた。

「陛下。」
「何だ、娘。」
「流石に、私がそれだけの資金を扱いきれません。」
「いらぬと?」
「いえ。私は、騎士である前に鍛治師です。良い剣を打つ為には、良い素材が必要であり、その為には、素材が上手く届くようにして頂きたく存じます。その資金は、帝都から主要都市への街道整備の資金にして頂ければと存じます。」
「そうか。でもそれには資金が足りぬぞ。」

そう言うと、リーゼンハルト様が入ってきた

「父上、街道整備は、帝国の事業や、各ご領主様の事業としてそれぞれやられてます。この資金を使って、帝国内の主要街道を帝国の事業にして効率的な事業にして頂ければと存じます。」
「どういうことだ。」
「帝国本領と、各ご領主様の領地の街道は、道の幅や舗装が全く異なります。その為、物資の輸送に難があるところが多いと聞いております。今回の資金を使って、帝国本領と同じ形で街道を作れば、領主様方も助かり、帝国や物資の流れは活発にのではないでしょうか。」
「そうか。ハーゼンどう思う。」
「貴族議会としては、コスト負担なく道を作って頂け、領民に仕事が落ちるのであれば文句の一つくらいで留まるでしょう。」

少しボケーとしていた、宮廷薬師長は、なにか分かった様に慌て出した。

「あ、あの。何故そんな莫大な金額が掛かる話を?」
「あぁ。1000億以上の規模の話だな。」
「1000億?」
「そちには分からぬか。まず、オーク討伐は50万からだが、オークキングとかがいるから、1000体で30億以上だろう。ドラゴンは、1体20億以上はかかるから、最低120億、インビジブルドラゴンは、地上では絶滅しているが、クラス的には1体400億以上、それで4800億。まあ、その2割で1000億以上にはなる。そちなら何とか負担できよう」
「1000億?」

 それで、宮廷薬師長は、倒れてしまった。ベーコンズ様は思わず。

「如何しましょう。」
「端に寝かしとけ。」
「はっ」

 と陛下の命で端に運び、ベーコンズ様は、親衛騎士と一緒に介抱を始めた。

「陛下。この娘の属する研究所では、低コストで道を舗装していく技術開発始めていると聞いています、開発がすみましたら、導入頂き工事を始めるイメージでしょうか。」

 そう言うと、リーゼンハルト様は私にウィンクをした、貸を返したよ的な顔だが、そんな技術作ってないから作らないと・・・。ある種無茶振りだよこの人

「うむ。」
「要は金は国の為に使うし、領民に仕事は下ろすから、業者を選ぶ権利を褒美に与えよとと言うことか。仔細は検討した上で答えるが、そのように取り図ろう。」

 リーザース様が仰ると、続けて、陛下が

「これで、後は犯人探しか。」
「ベーコンズ、介抱中か?」
「はっ、陛下。」

 ベーコンズ様が走ってきた。

「ベーコンズ、どう思う。」
「陛下、私では犯人はわかりませんが、このアレルギーは宮廷薬師でも知るものはいなかったもの。恐らく南部の土着の薬師に近い者かと。」
「そうか、ハーデス、南部のそちはどう思う?」

 またも、アーサー様が
「南部を仕切る、リゾナンド公爵だ」

 白髪交じりの浅黒い騎士風のおじさまだ、バキバキだろうな・・・。

「いえ、南部の事はよく存じてるつもりでしたが、私ですら全く知りませんでした。」
「そうか・・・。」

「アーサー様。ごにょごにょ」
 私は、アーサー様に私の思う所を伝えるとアーサー様は、うなづいてくれた。

「父上」
「なんじゃ、アーサー」
「私に、一つ疑問がございます。」
「疑問とは?」

 陛下の目がギロッとアーサー様を向いた。

「フランドル子爵は週に2回皇宮には居なかったと聞いています。」
「如何にもご学友は皆、週5日皇宮で過ごし、2日実家に戻っているはずだな。」
「では、何故リーディング兄上のみ先に発症しなかったのでしょうか?」
「ん?」

陛下は目を見開いた。

「そうか、アーサー、そちは、これはリーディングの命を狙ったものではなく、リーディングの命を狙われた様に見せるものか・・・。」

 そう、私がずっとモヤモヤしていた。リーディング様はゲームの中でも生きているのに、アルフレッド少年はこの時死んでいた。つまりこの事件はゲームの前に生じており、誰かが治しているんだ。でも治すための知識は宮廷薬師には無いという・・・。だが、リバヤント草を騎士団が発注しているのだ。多分、犯人はフランドル子爵が亡くなった後で、自らの功績としてリーディング様を助けるんだろう。功績として・・。そうすれば、犯人は絞られる・・。陛下もそう思っているんだろう。陛下の口元が少し上がった

「そうか・・・。ベーコンズ、バカダットをすぐに起こせ。」
「はっ」

ベーコンズ様も気づいたか、気付け薬を出して、宮廷薬師長をおこした・・。宮廷薬師長ってバカダットっていう名前なのね・・・。
フラフラのバカダット様を親衛騎士様が支えて、前に歩いてきた。陛下が睨みつけて

「バカダット、お主がリーディングを狙ったのか・・・。」
「いえ、何故私が・・・・。」
「立場上やれるのは主しかおらないんだ。」
「それは私を嵌める為に、」
「そちは功罪あるが、流石がにやり過ぎたな、」
「陛下。」

 バカダット様はうなだれ、膝をついた、すると、不気味に笑い出した、

「へ、へへ、へへへへ、ギャーハハハ。もう終わった。せっかく下級騎士の家の出で、泥水を啜り、なんでもやって今の地位を築き守ってきたのに、ギャーハハハ。もう私は終わりだ~。そうならば、」

 そう言って、隣の近衛騎士が腰に刺してるレールガン を奪った。

「何を。」

 奪われた騎士は、訓練されてないらしく咄嗟のことで、反応できなかった。バカダット様はレールガン を構え

「お前のせいだ~」

 と、私に向けてレールガン を連射した。

ドンドンドン

 そのレールガンは私に届かず、アーサー様が盾になって防いで吹き飛んだ。

「取り押さえろ。」

 陛下の怒鳴り声で、バカダット様は、将軍達に取り押さえボコられていた。

 私の目の前で、倒れているアーサー様に私は駆け寄った。

「アーサー様、」

 レールガンが当たったアーサー様の胸元を見るとらそこには大きな傷が、・・・・

ない

「いてて。」

 とてつもなく痛がっているアーサー様だが、無傷だった

「アーサー様、何故、レールガンは、」

 というと、左手を上げて、割れている指輪ん見せた。

「てへへ。」
「全く~」
「守ってやるって言う、約束は守ったぞ。えへ。泣くなよ」

 アーサー様は、泣いている私に笑顔を見せてくれた。今日のアーサー様は少しカッコよかった。

 その後、バカダット様は、余罪を含めて多くの罪が出てきたが、獄中で何者かに暗殺された。毒殺だったらしい。私は、陛下の謁見の後すぐ家に帰された。リーゼンハルト様の左肺らしい。リーゼンハルト様とアーサー様は、皇宮に戻ることになった。陛下の知らないところで、近衛騎士団の一部が勝手に皇子達を陛下の指示の様に見せて追い出したらしく、犯人達は騎士団を追放され、主犯は死罪になったらしい。本当に、その程度の意思でこの事件が起きたか分からないが、今や闇の中である。

 その後私はというと、

「はーい、授業を始めるわよ。君たちも入学して直ぐだけど、外国から転校生が来たから紹介するわね。」
「ジェシカです。帝国から、この魔法の先進地と言われるベルーフ王国魔法学校に留学する事となりました。まだ、子供なので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。」(ニコッ)

 と言うことで、リーゼンハルト皇子の護衛騎士として、リーゼンハルト皇子の婚約者がいらっしゃるベルーフ王国に留学する事となりました。帝国で、色々やり過ぎたので、ほとぼりを冷ますのが目的ですけどね。今度こそは、楽しい恋を見つけなきゃです。
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