攻略本片手に異世界へ 〜モブは、 神様の義祖母 〜

出汁の素

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間章 旅のまにまに

第2話 留学先のお姫様

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「ジェシカ。さっさと逃げるよ。早く馬車に。」
「はい。ハーバードお兄ちゃん。」

 私は、帝国から姿を消す為に、リーゼンハルト皇子の留学に護衛騎士として同行することにした。護衛騎士なら、兵役換算になる為、正騎士のノルマをこなす目的もある。目的地は、ベルーフ王国、リーゼンハルト様の婚約者であるマーリー姫がいる国だ。留学期間は2年間で、延長ありらしい。私も、初等部に入学する。マーリー様の妹のアンジェリカ様が同級生らしい。ハーバードお兄ちゃんも、リーゼンハルト皇子について行ってくれる事になった。
 そう決まった後の、日々がしんどかった。私の留学を阻止する為に条件がついたのだ。

 まず、帝国からは、3つ。1つ目は、テキスト作り、2つ目は、大尉への昇進試験、3つ目は、仮面舞踏会への出席。
 1つ目のテキスト作りは、私が中央学院のテストで書いた答案を見て、中央学院の基本テキストの刷新を注文された。全科目である。一生かかっても普通出来ないだろう。ムカついたので、攻略本を駆使して、テキストに、参考書を市民学校分から中央学院、騎士学院レベルまで、全てレベル対応のものを作った。内容や、レベルは私基準だが、使うかどうかはお任せだ。
 2つ目の大尉への昇進試験は、明らかに時間を消費させて、テキスト作りを遅らせる目的だ。課題は、朝練に参加して、10人抜きをすること。レベルが上がったので、一回で終わらせた。見学を含めて結構来てたが、みんなアングリだった。
 3つ目の仮面舞踏会もテキスト作りを遅らせる目的だが、時間を本当に取られた、セリーヌ正妃様に毎日呼び出され、稽古稽古稽古。当日は、リーディング皇子や、アーサー皇子の相手をして、しんどかった。
 それだけじゃなくて、商会の方もだ、道路工事の商会どうするか問題については、まず、舗装工事に対応した魔道具をまず作った。整地、舗装を一瞬で行い、魔力でも出来るが、スライムの魔石クラスで、1メートル四方を整地舗装する、超効率的な物だ。実機500台程と、利用方法、作り方それぞれのマニュアルと、関連論文2本を書いた。その上で、15日会に私出資で工事商会を作らせて、任せた。
 後、医学大全だが、全7巻を書いて、ベーコンズ宮廷薬師長と、共同研究所に持ち込んだ。共同研究所は、お兄ちゃんが理事として上手くオーナーからの資料で、共同研究所編で出版してくれる事になった。

 そんなこんなで、テキストと、参考書を10セット中央学院長宛に送るよう運送商会に依頼して、私は、馬車に飛び乗った。そうして、共同研究所で作った最速の馬車で8日かけて着いたのが、帝国北部、帝国から最も近い外国としても知られるベルーフ王国だ。到着2日目、私は見知らぬ教室にいた。

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「はーい、授業を始めるわよ。君たちも入学して直ぐだけど、外国から転校生が来たから紹介するわね。」
「ジェシカです。帝国から、この魔法の先進地と言われるベルーフ王国魔法学校に留学する事となりました。まだ、子供なので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。」(ニコッ)

 私は、リーゼンハルト様の護衛騎士として来たが、リーゼンハルト様からは、「リーディングを救ってくれたお礼に学生生活を楽しんでね。」て言われている。本当に出来た皇子だ。私が入ったクラスは、リーゼンハルト様の婚約者マーリー様の妹君、アンジェリカ様がいらっしゃいます。あの見るからに、1人だけドレスを着た栗毛ドリル様がアンジェリカ様だろう。昨日、非公式にお会いしたマーリー様からも、「アンジェリカと仲良くしてね」とか言われたので、仲良くしたいといけない。私は、昼休み前に、アンジェリカ様にご挨拶に行った。ちょこんと礼をした後、

「アンジェリカ様ですね。はじめまして、私はジェシカです。よろしくお願い申し上げます。」(ニコッ)

 そう言うと、アンジェリカ様は、一拍おき、深呼吸してから、

「平民の分際で気軽に声かけてくるんじゃないわよ。」

 と言って来た。おお、これは、小説でしか読んだことない、いじめっ子貴族の暴言。テンプレだよ。この世界でテンプレが無かったから、嬉しいよ。こういう時は、涙目で、

「申し訳ございません、」(ウルッ)

 かな、アンジェリカ様は、平然を装ってるけど、何か、震えてる。ミスったかな?

「わかればいいのよ。消えなさい。」
「はい。」(ペコリ)

 おお、そこまで言って貰えた。今後の立ち位置とか考えながら、頑張らないと。あっ、午後は研究室に行かないと、先生は知ってるから、お昼も研究室で食べよう。
 研究室に行くと、部屋中埃だらけだったので、とりあえず、綺麗に掃除して、棚と机を作って並べておいた。今日は、リーゼンハルト様も、お兄ちゃんも来ないので、持ってきた本とかを棚に並べていった。この部屋の主は一応お兄ちゃんで、属性魔法全般について研究している事になっているので、好き放題に本を並べてた。綺麗に並び終えたところで、窓の外は日が暮れて来たので帰る事にした。私が帰るのは、帝国大使公邸。私はトコトコ歩いて帰った。帝都と違い大陸の北部にあるベルーフ王国は、春とはいえ、まだ花は蕾のままで、肌寒く、外に出ている人は少ない。そんな中、王都でそれなりに治安が良いとはいえ、夕方に幼女が1人で歩いているのは、危険が伴う。

「お嬢さん、お茶ない?」

 ふと、私は、後ろから声をかけられた。普通ならキャー危ないと思うだろうが、、そんな訳はなく、

「その言い方はどうかと、リーマウスさん。」
「すみません。お嬢様。」
「で、どうされたのですか?」
「いや、とりあえず、真面目にお茶でも飲むながら。」
「はい、ではあそこで、」

 と言って、近くの喫茶店に入った。流石に王都らしく、まともな喫茶店で、メニューもそこそこだった。

「ベージリン紅茶を二つ」

 スタンダードな紅茶を2つ頼むと、窓辺の席に座った。

「そういえば、サハリンス輸送商会の役員就任おめでとうございます。」

 そう、リーマウスさんは、新しく作った輸送商会の、役員となり、ルーベック鍛治商会から、転籍した。

「ありがとうございます。」
「それで何しにこんなところに?」
「いやー。ルーベックさんに言われて、お嬢様とのパイプ役としてついて行け。」
「それだけ?」
「いやー。ついでに、お嬢様がいる間に、ベルーフ王国に支部を作って、王国内に輸送商会ネットワークを張り巡らせろと。」
「それはそれは。」

 少し泣きそうなリーマウスさんに同情して来た。肩書きは、サハリンス輸送商会上席支配人ベルーフ王国支部長。ネットワークを一から作るのは辛そうだから、攻略本をささっと整理して、人材リストを作ってあげる事にした。まあ、私の資産になるものだし。ルーベック師匠に一度送って、ルーベック師匠からオーナーアドバイスとして送って貰う。聞けば、輸送商会は、王都から、帝都への定期便を週3回走らせているので、1週間位で届く筈だ。リーマウスさんの愚痴を聞いてから、別れた。とりあえず、週二回は、色々運んで貰う為に大使公邸に来て貰う事になった。

 私が大使公邸に着いたのは、日が沈んでからだった。普通、幼女が日が沈んむまでウロウロしてたら心配するだろうが、大使公邸では、曲がりなりにも帝国大尉として扱われるので、誰も心配してくれない。お兄ちゃんは、おお帰ったか程度だった、も~う。

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 翌日、私は、昨日のことをすっかり忘れて、普通に登校した。今日から、リーゼンハルト様や、お兄ちゃんも登校するが、私は初等部なので、私だけ早い。朝から何時もの修行をリーゼンハルト様とお兄ちゃんと3人でやった後、シャワーは一応浴びてから登校している。
 登校すると、同級生の女の子達が近づいて来て、

「ジェシカちゃん、昨日どうしたの?傷ついちゃった?」

 私は、キョトンだった。傷つく?傷つく?うーん。あっ。アンジェリカ様に言われたこと?すっかり忘れてた。こういう時は、辛いふりかな?

「ありがとう。大丈夫。大丈夫だよ・・・。」(伏し目がち)

「無理しなくて良いんだよ。大丈夫なんて。」
「せっかくの留学初日だったのにね。」

「いや、ありがとう。元気になってきたよ。」(ウルウル)

 私の演技に、みんなアンチアンジェリカモードになってる。所詮6歳児。熟練の演技には騙される。ゲームの主人公ってこんな感じなのかな?

「昨日の午後は、私って留学生で、研究室に行かないといけないの。今日からもよ。」(ウルウル)

「えー大変だねー。」
「大丈夫?午後の授業で遅れそうなら、教えてあげるからね。」

「ありがとう。」(ウルウル)

 なんか一生分のウルウルを使った感じだけど、そのおかげで、私に声を掛けてくれたり、親切にしてくれる人が増えた。その分、アンジェリカ様とお付きの人達は私を睨みつけている。アンジェリカ様はすごく悪いこと考えてそうだし、怖ーい。

 1時限目、2限目を何事もなく過ごした、3時間目は、魔法学基礎

「えーっとこの問題は、転校生のジェシカさん実力を見せて貰おうかな?」
「はい、先生」

 問題は、ベルーフ文字で書かれている。帝国文字と使っている文字が異なるので、勉強したとはいえ、理解が完ぺきではない。嫌がらせかとも思ったが、ベルーフ王国は自国の文字を大事にしている国民が多いので、町中ベルーフ文字だったし、何も考えてないのかもしれない。前に出ながら問題を理解していった。火いや炎の魔法陣を記載しなさい?炎・・・。炎属性ってことで良いのかな?実力を見たいってことだし、文章が微妙なんだよな・・・。

「先生、炎の魔法陣って色々ありますが、どれを書けばいいですか・・・。」
「どれって、一番難しいものだ。」
「はい・・・。」

 炎の魔法陣で一番難しいのは、フェニックスフレイムかな?でも複雑だからな、真面目に書くと1時間くらいかかるから、魔法でちゃちゃーっとやっちゃおうかな。
 と私は、箱に入っているチョークをすべて取り、黒板に投げた。

「はっ?ジェシカさん?」

 先生が聞いてきた・・・。魔法の名門だけど、これは違反だったのかな。でもしょうがないから、危ないことはしないから。

「先生、安心して下さい。ただのコントロール魔法ですら・・・。」

 先生は固まっている。とりあえず、急いで書いちゃおうと、必死でチョークを動かしていると、・・・・・あっ、みんなが目が点になっていると思い、書きながら何かやらかしたか考えてみた。・・・・・・!

「あっ・・・。これは、国家機密なので・・・。」
「へっ?」

 そう、そういえばフェニックスフレイムは、王立図書館にも置いてないって書いてあった・・・。やばいやばい・・・。そう思って、魔法陣を瞬時に消して書き直した・・・。確か図書館の奥の本にフレイムバーストが載っていたはず・・・。速攻で書き直して、先生をみると、固まってた・・・。あれ?私は首をかしげてみると。

「あの、ジェシカさん?あなたは、この魔法陣は・・・・。」
「フレイムバーストの貴国の正規版の魔法陣だと思いますが・・・。」
「これは、我が国の国家機密扱いなんですが・・・。」
「すみません。すぐ消します・・・。」

 やばい、やばい、やばい、やばい、私は瞬間で黒板を消した・・・。小声で

「先生、国家機密を書いたらやっぱりまずいですか?」
「不味いんだけど・・・。留学生でしょう。」
「そうです、帝国の人です。」
「帝国の留学生は、流石に裁けないよ・・・。」
「よかったです。」
「それにしても、君はなんなんだ?」
「それは、ひ・み・つです。」
「秘密って?」
「女の子は、秘密を持つの生き物なんです。」
「わかった・・・。とりあえず、席に戻りなさい。」
「はい。」

 そう言って私は振り返り、席に戻った。その途中アンジェリカ様と目が合ったので、ニコッと笑顔を見せてみたら、怒った顔をした・・・。怖い。

 授業が終わってから、また私は研究室に向かった。今日はリーゼンハルト様とお兄ちゃんがいるはずだ、お弁当を持っていった。

「ジェシカ来たか。」
「ジェシカちゃん、いつの間に、部屋がこんなきれいになっているの?」

 ハーバードお兄ちゃんと、リーゼンハルト様が先に待っていた。

「やっと手続き終わったよ・・・。この国全部ベルーフ文字だから書類書くの辛かった・・。」
「私の分までやってくれて、ありがとう。」
「だって、リーゼンハルト様事務ダメじゃないですか・・・。」
「えっ・・・」

 お兄ちゃんにディスられ、リーゼンハルト様が固まっている。

「リーゼンハルト様は、大丈夫ですから・・・。」
「大丈夫って・・。それが一番つらいから・・・。」

 いつも自信一杯の顔が、ダメな感じにへこんでいる・・・。話かえないと・・・。

「そういえば、ここって研究室ですよね。」
「そーだよー。」

 顔に黒い線が入り暗くなっているレベルで、凹んでいる。

「だから、やっぱりこれを着ないと・・・。」

 そう言って、私は、白衣を取り出した。ナース用でなく、研究者用の白衣だ。

「なにこれ?」
「お兄ちゃん、これは白衣って言って、制服とかを汚さないための服です。」
「そうなの・・・。とりあえず着てみようか。」
「こっちお兄ちゃんで、こっちはリーゼンハルト様のです。お兄ちゃんの方が背が高いので、大きめにしてあります。」

 そうして受け取った白衣を、颯爽とカッコよく着てみせた。ほんと目の保養だわー。

「今日は、えーと、魔導具を作る為に魔力特性を測定します。」

 そう、魔力には魔力特性という指紋みたいなものがある。魔導具をその人専用にするには、その魔力特性のみに反応する様な仕組みを組み込む必要がある。今日は、この部屋の鍵にそんな仕組みを加えようとなり、測定する事になった。

「えー、お兄ちゃんお腹減っちゃだよ。」
「ジェシカちゃん、ご飯食べた後にしない?」
「うーん。じゃあ、ご飯食べようか・・・・。」

 そう言って、私はお兄ちゃんのビザにチョコンっと座った・・・。

「ジェシカ。」
「いいじゃない。減るもんじゃないし・・・。」

 私は、お弁当を広げパクパク食べ始めた。

「しょうがないな・・・。あっお肉美味しい。」
「卵焼き・・。甘いのに美味しいぞ。」
「上手過ぎないか・・・。」
「凄いでしょう・・・。」

 と、話ながら和気藹々と食べていた・・。イケメンに囲まれて幸せな時間だな~っと思いながら食べ終えた頃。ガタン。外から大きな音が聞こえた。

「何か?」

 そう言うと、リーゼンハルト様が窓際に覗きに行った・・・。

「気のせいか。」

 リーゼンハルト様は、シャー。と音を立てて、カーテンを閉めて戻ってきた。

「どうでしたか?」
「それより、リーゼンハルト様はお命が狙われてるかもしれないので、駆け寄るのやめて、くださいね。」
「ごめん。護衛騎士長さん。」

 そう。私は、今は、帝国軍リーゼンハルト皇子付き護衛騎士長で、部下が10人程いる。基本的に副隊長に任せきりだけどね。

「じゃあそろそろ始めますか?」

 魔力特性の測定は、何のことない、握手して、魔力を流して貰って、感じるのだ。

「とりあえず、お兄ちゃんからしてあげるね。」

 何で上からと、思いつつ、手を見ると、お弁当の油が付いていた。

「お兄ちゃんじゃいや。」

 お兄ちゃんは、キョトン顔で手を見て、気づいた様で、手を洗いに行った。

「それなら、私からかな」
「よろしくお願い申し上げます。皇子様」

 皇子の手は汚れていなかったので、握手しようとした時

「ダメー」

 と、叫び声が聞こえ、扉が開いて、アンジェリカ様が入ってきた。そしてそのまま意識を失った。

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