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間章 旅のまにまに
第4話 大海の英雄(の孫)
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「やっべーな。」
目の前に、海の最強猛獣と言われる、シーサーペントが見える、その先には、一隻のクルーザー。マストには帝国の紋章が掲げられている。シーサーペントには、戦艦数隻で当たって何とか追っ払えるレベルで、今俺が率いている艦隊では微妙な感じだ。シーサーペントを倒して英雄になった爺ちゃんみたいになりたいけど、まだ俺には無理だ。だが、あの帝国のクルーザーには、第2皇子リーゼンハルト殿下が乗船されているはず、死んでも守らないと、帝国と戦争になりかねない。そうならなくても、途方も無い金額を慰謝料として請求されかねない。
「急いで助けに行くぞ、倒す必要ない・・・。引きつけてから逃げろ。」
そう叫ぶと、艦隊に指示がいきわたり、船員たちが素早く移動している。だが、距離が距離である、シーサーペントが倒す気であればクルーザなんぞ一撃で粉砕するだろう。その瞬間が訪れるにはそれ程時間はかからなかった。シーサーペントが頭を大きく上げ、そのまま勢いよくクルーザーに叩きつけた・・・・。様に見えた・・・。
「あれ・・・。」
クルーザーは破壊されなかった。それだけではなく。シーサーペントがクルーザーに頭を下げて、それから帰っていった。
「まじ?」
最悪の事態は防げたが、信じされない状況だった。
「とりあえず、様子を見に行く。」
そう言うと、帝国のクルーザーの元に向かった。近寄ると、クルーザーは傷だらけで、よく沈没しなかったと思えるほどだった。甲板には、10人程と人が立ち、手を振っている。真ん中は、皇子だろう。高貴なオーラ全開だ、その隣には、学者っぽいお兄ちゃんと、騎士の鎧を着た少女が立っていた。
「は?少女?しかも鎧って、それに」
そう、その隣には、紐で縛られた騎士が並んでいた。そこには見た顔が何人かいる。宿敵ライザー王国の宿将レールガ、私掠艦隊提督ビネガーズ、隣国バリア諸島連合国連合艦隊提督ハッシュモード等等だ、我が国が帝国と同盟を結んだのをやっかんでた人達だ。
「船をつける、イカリを下ろして、橋をかけよ。」
そう言うと、船員達は、指示に従いイカリを下ろして、橋をかけた。帝国クルーザーもイカリを下ろしてくれた。俺は初の単独外交任務で内心ヒヤヒヤしていたが、橋を渡った。
「リーゼンハルト皇子殿下と、拝察する。私は、シードラ王国第二王子ハッパー。お迎えにあがりました。」
真ん中の青年は、笑顔を浮かべて
「ハッパー殿下、如何にも私はリーゼンハルトではす。お迎えありがとうございました。」
「リーゼンハルト殿下、つかぬことお聞きしますが、ここに、隣国の名将達が紐で縛られたおりますが、」
「あっ、これですか、これは我が帝国に仇なし、私に艦隊で襲いかかってきた者達です。確か、」
「戦艦21、クルーザー61、デストロイヤー216です。」
「そう、そんな感じで襲って来たので、殲滅して、大将だけこの船に乗せて捕まえてきました。他の兵士達は、縛って、兵器を取り除いたデストロイヤー3艇に押し込んで、引っ張って来てます。」
「とりあえず、損害賠償の交渉をしようかと思いますが、貴国が占領しに行きますか?」
「はぁ。」
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
ほぼ艦隊全部を失った国々、つまり、ライザー王国等4カ国は、ほぼ戦うことなく直ぐに我が国の傘下に入った。実質帝国軍一隻にやられたので、帝国領として半分を割譲し、半分は我が国の領土とした。それにしても、各国の名将達をたった一隻で殲滅した帝国には、絶対逆らっては行けないと実感した。そんな一隻で壊滅させた彼らは、1年間我が国に滞在する。第二皇子にして、次期ベルーフ王となる予定のリーゼンハルト殿下が、外交と、同盟国との親交の為だが、側近がおかしい。
首席補佐官ハーバード准教授。19歳の青年だが、世界最高学府と呼ばれる帝国中央学院の准教授だそうだ。出来るイケメン風だが、仕事できる感は薄い。いつも妹をいじっている感じだ。
その妹、護衛騎士長ジェシカ少佐。8歳の少女だが、最近2階級特進して少佐になったそうだ。今回の戦果で、史上最年少での中佐への昇進が決定したらしい。見た目ただの可愛い少女だが、迷宮をハーバード准教授と探検したり、何か商会を立ち上げたらしい。我が国の王立学院初等部の三年生として学校にも通ってる様だ。同級生の弟曰く、「先生より詳しいから学校来る必要なくねー。でも、あいつ学院内で大人気でさ、中等部まで親交があるみだいよ。」だそうだ。
俺は基本的に、学院高等部に通い、公務は偶にしか無い。要は結構暇だ。彼らが来て1ヶ月後のある日、俺がブラブラ学院内を歩いていると、目の前にジェシカ中佐が歩いてきた。
「あっ。ジェシカ殿ではないですか?」
「ハッパー様、ご機嫌よう。」
俺はふと、こんな事を言ってしまった。
「ジェシカ殿、剣を教えてくれないか?」
「はぁ。良いですよ。」
「ありがとう。」
「では、いつが良いですか?」
「今からでも。」
と言って、一緒に武道場行った。武道場に行くと、彼女は、
「剣を持って構えて下さい。」
と、無造作に言い、俺は剣を抜き構えた。
「わかりました。少し剣を貸してください。」
俺が帝国からの貿易商人から買った宝石入りの自慢の剣だ、彼女は、見たかったんだろう。
ボキ。
「は?」
彼女は無造作に剣を折った。そして、折れ目を俺に見せた。
「これは、鋳造剣、しかも三流品ですわ。王子なら最低でも鍛造。一級品位持って下さい。二分程待ってて下さい。」
俺はショックだった。俺が一級品だと思ってたのを、三級品と蔑まれてしまったんだ。剣を折られたのはビビったが、2分で何をしてくるんだろう、楽しみに待っていると、一本の剣を持ってきた。
「どうぞ、構えてみて下さい。」
あれ?凄くしっくりくる。気分軽くなっているが、振るとスムーズにいき、自然に剣が流れていく。
「良いみたいですね。やりますか?」
そう言うと、彼女はそこらに置いてあった木剣を持った。
「どうぞ。」
彼女は構えてすらいない。舐めてるのか?
「いくぞ」
俺が真剣で斬りつけると、半身で交わし、木剣で剣を抑えた。
「大振りでは、こう抑えられて」
木剣で、剣を床にめり込ませられ、
「こう」
木剣を首筋に当てられた。
「修行させる気があるなら朝4時に大使公邸にいららして下さい。」
そう言うと、彼女はそそくさと、帰って行った。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
翌日朝4時。俺が大使公邸に行くと、日がまだあけていない時間から、異様な光景が広がっていた。我が国の騎士団、併合した国の騎士団の重鎮達や、学院の騎士志望の若者達等500規模の者達が、準備運動をしている。当然だがジェシカさんと同級生の弟もいた。
「では、はじめます。」
そう、ハーバード准教授が言うとみんな瞑想を始めた。
「兄者、邪魔になるから、やり方を教えるから、端にくるんじゃ。」
弟に瞑想を教わり、素振りを教わりながら、訓練は進んでいく。内容は、基礎的だが、実にハードな内容で、少しでも気を抜くと、何故かチョークが飛んでくる。後で聞いたが、ファンネルという魔導具らしい。
素振りが終わると、ジェシカさんが寄ってきて、木剣を投げてきた。
「修行ではこれを使ってください。真剣だと死人が出ますので、」
と、もらった剣は、俺の剣と同じバランスだった。なんなんだ、帝国の技術は、と感心したが、その後は地獄だった。15分間全員での乱組手。色々な所から狙われるし、魔法も飛び交う。ジェシカさんと、ハーバード准教授の周りは、死屍累々で怪我人の山だが、2人はギリギリを斬り合っている。俺では、100%ついていけない。
「兄者、何してるんです。」
「いや、」
「ジェシカちゃんや、ハーバードさんを狙わなくて何の為に来てるんですか?」
「おっおう。」
そう言って、2人で斬り込んで行ったが、5秒と持たず、打ちのめされた。痛みを堪えて何度も何度も斬り込んでいくが、バタバタやられていく。
「やめー。」
そう言って、傷だらけの人達は、本気で意識を手放しで行った。
「ウォー」
死ぬ様な痛みと共に、俺は目覚めた。不思議な事に、外傷は無くなっており、痛みも消えていた。
「あれ?」
「兄者、知らないか。これは、魔の治療薬と呼ばれる薬で、治癒能力を高め、傷を治してくれる。」
「えっ、そんなものがあれば、世界か変わるのでは?」
「そうだけど、治癒能力を高めて無理矢理治すから、打撲程度なら死ぬくらいの痛みで良いけど、大怪我なら、痛みで死んじゃうよ。」
「そうなのか?」
「しかも材料が、迷宮の奥にあるものばかりで、高位治癒魔導師に治癒を依頼した方が安く済む位らしいよ。」
「そんなコスト、誰が?」
「帝国が、武人は剣で語り合うから、交流の為に負担してくれてるらしいよ。どんだけ金があるんだって感じだよ。」
「帝国の皇子様だからな。」
そう話していると、
「はい、最後に、今日初めて参加した、ハッパー王子に、魔法を全力でぶつけましょう。王子は逃げて下さいね。」
「は?」
ハーバード准教授が変な事を言った。マジか?逃げないと、と思った瞬間、ジェシカさんが隣に来ていた。
「全く、お兄ちゃんは。」
「えっ、」
「王子、この指輪をつけて下さい。この庭では、魔法を吸収しますから。」
「はい。」
俺はついていけず、首を縦に振り、指輪をつけた。
「当たり過ぎると、壊れますから、気を付けた下さいね。」
「三、二、一、開始。」
そう言うと、俺に向けて、魔法が大量に飛んできた。俺は一生懸命に逃げた。何度も当たったが、怪我一つせず、
「やめ~」
と言って、魔法が止んだ瞬間に、指輪は割れた。マジセーフ。と言うか、分かってたのか?ハーバード准教授恐るべし。因みにリーゼンハルト殿下は、周りからの攻撃を平然とかわしながら、時間を測っていた。兄貴も見たが、リーゼンハルト殿下に斬り込んで、速攻で打ちのめされていた。
それから、俺は兄貴や弟と一緒に、毎日修行に行った。雪が降る頃には1000人を超え、長くいる者達は、過去のしがらみを超えて、戦友の様になっていた。
「明後日、修行後に実戦に出ます。行ける方は、明日受付を作るので申し出て下さい。また、明後日は、フル装備を持ってきて下さい。」
えっ、実戦?怖いけど出たい。そう思って、俺は翌日申請し、フル装備を持って大使公邸に来た。
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普通に修行でボコボコにされたあと、フル装備に着込むと500人以上のフル装備の者たちがいた。
「はい、皆さん玄関に貼り出している表に従い馬車に乗って下さい、そのメンバーがパーティとなります。」
そう言われて、玄関に行くと、張り紙があり、50台以上の馬車が並んでいた。その馬車も、帝国製馬車で、国内に広まり始めた最新モデルだ。
パーティは、ジェシカさん、弟、侯爵子、帝国領に編入され、リーゼンハルト殿下の領土となる地域の旧王家(帝国伯爵家)の子弟2人、我が国に編入された領土の旧王家(現伯爵家)の子、我が国に編入された領土の旧公爵家(現伯爵家)の子、我が国の最大の商会の子、帝国領に編入され、リーゼンハルト殿下の領土となる地域の冒険者ギルド統括マスターの子だ。修行に来た人達の中でも、特にVIPクラス子弟を選んでいる。
馬車に乗り込むなり商会の子が同級生の弟と話出した。
「一度乗ってみたかったんだ。うちの商会でも手に入らなかったし、こんな台数あるなんて、流石リーゼン商会。」
「リーゼン商会か、帝国資本で、人は殆ど領内や新帝国領の人を雇ったんだろ。」
「そうです。ピンポイントで人を採用していって、しかも優秀な人ばかり、人材豊富で、資金力もあり、帝国との繋がりも強く、最新技術で、低コストで開発を請負ったり、悪徳商会を一気加勢に潰してまくる、でも市場は安値攻勢を掛けずに荒らさず、地元の人をちゃんと使う。リーゼンハルト殿下の名声はうなぎ登りにする目的で作った商会でしょうね。私も次男だし、雇って欲しいな。」
「おいおい。」
そのやりとりを聞いて、ジェシカさんが、口を挟んできた。
「大人になったら雇ってやるから、勉強ちゃんとしなさいね。」
「ジェシカさん、雇う権限あるの?」
「あっ、あれ私がオーナーだから、」
「へ?」
へ?と、皆んなが固まった。リーゼン商会は、リーゼンハルト殿下が資本を出し、運営していると思っていたら、ジェシカさんがオーナーだと、あれだけの商会を建てるだけの資金力を持つ9歳の子って、何もんだ。と悩んでいるとジェシカさんが説明を始めた。
「今から行くのは、海門の迷宮。皆さんには、迷宮アタックをしてもらいます。一応、海門の迷宮の地図を作っておいたので、配ります。パーティのリーダーは、ハッパー殿下にお願いします。何かあればサポートしますので。後、最終階行って、階層主を倒したら、戻ってきて下さい。迷宮を壊さない様に。」
と言って、地図を配り始めた。30階層あり、全階層の地図が詳細に書いてある。海門の迷宮は、我が国の最大の迷宮で、クリアした者はいない筈だ。
「この迷宮って、クリアした人は、いないんじゃ?」
「あっ、この国と、新帝国領の迷宮はあと4つ位行けてないが、他はクリアして、マッピングも終わらしました。海門の迷宮が1番安全なので、レベリングの場所にしました。」
「レベリング?」
「レベル上げのことです。皆さんは、全員レベル0なので、頑張って上げながら降りていって貰います。私たちが旅立つまでに、このパーティーでクリアを目指して下さい。」
そう言って、馬車は、海門の迷宮に着いた。パーティによって迷宮か違うらしく、この迷宮に来た馬車は10台だった。それから、週2で迷宮に潜った。ひたすら安全なルートを進んで、敵を倒しレベルを上げ進んで行く。出自が違うもの達と、役割分担をしっかりして、次々と進んで行くことで、連帯感が高まり、身分や出自関係なく、仲間になって行った。ジェシカさんだけは、迷宮内を走り回り、10パーティのサポートをしていた。彼女は、どっやって他のパーティの状況を把握してるから分からないが、帝国の最新技術だろう。他の迷宮に行った人に聞くと、俺たちの迷宮が1番深いらしい。
「兄ちゃん、留めを!」
「わかった。」
俺たちはなんとか、最下層の階層主を1番に倒した。
「やっと、やっと、」
皆んな涙ぐんで、抱き合って、喜びをんかち合った。
「おめでとうございます。」
「ジェシカさんありがとう。」
「皆さんには、これを差し上げます。」
と言って、9本の剣をどこからともなく差し出した。
「これは?」
「皆さんに合わせた剣です。一応魔法剣なので、魔力を這わせて使って下さい。皆さんとは、来週お別れなので、お別れの品になります。来週、パーティを公邸でやりますので来て下さいね。」(にこっ)
そう言って、俺たちは剣を貰って帰った。後で調べたところ、Sランクの国宝級の品だった。マジ帝国すげー。
お別れ会の日まで、朝の修行は続いた。公邸でのパーティは、人がごった返して、ジェシカさんに会えなかったが、父への挨拶にいらした時に少しだけ話すことができた。俺だけでなく、我が国、新帝国領の民、騎士、貴族達は、リーゼンハルト殿下と共に、ジェシカさんに深い恩義を抱いている。リーゼンハルト殿下やジェシカさんを害する者がいたら、国を挙げて復讐をしに行くだろう。
「兄ちゃん、いつかシーサーペントを倒そうね。」
「あぁ、じゃあ、皆の者、出港だ。」
「「「「「「「「おおー。」」」」」」」」
後にシードラ最大の英雄と言われ、世界最強艦隊と言われるシードラ王国艦隊大提督ハッパーの提督としての初の船出であった。
目の前に、海の最強猛獣と言われる、シーサーペントが見える、その先には、一隻のクルーザー。マストには帝国の紋章が掲げられている。シーサーペントには、戦艦数隻で当たって何とか追っ払えるレベルで、今俺が率いている艦隊では微妙な感じだ。シーサーペントを倒して英雄になった爺ちゃんみたいになりたいけど、まだ俺には無理だ。だが、あの帝国のクルーザーには、第2皇子リーゼンハルト殿下が乗船されているはず、死んでも守らないと、帝国と戦争になりかねない。そうならなくても、途方も無い金額を慰謝料として請求されかねない。
「急いで助けに行くぞ、倒す必要ない・・・。引きつけてから逃げろ。」
そう叫ぶと、艦隊に指示がいきわたり、船員たちが素早く移動している。だが、距離が距離である、シーサーペントが倒す気であればクルーザなんぞ一撃で粉砕するだろう。その瞬間が訪れるにはそれ程時間はかからなかった。シーサーペントが頭を大きく上げ、そのまま勢いよくクルーザーに叩きつけた・・・・。様に見えた・・・。
「あれ・・・。」
クルーザーは破壊されなかった。それだけではなく。シーサーペントがクルーザーに頭を下げて、それから帰っていった。
「まじ?」
最悪の事態は防げたが、信じされない状況だった。
「とりあえず、様子を見に行く。」
そう言うと、帝国のクルーザーの元に向かった。近寄ると、クルーザーは傷だらけで、よく沈没しなかったと思えるほどだった。甲板には、10人程と人が立ち、手を振っている。真ん中は、皇子だろう。高貴なオーラ全開だ、その隣には、学者っぽいお兄ちゃんと、騎士の鎧を着た少女が立っていた。
「は?少女?しかも鎧って、それに」
そう、その隣には、紐で縛られた騎士が並んでいた。そこには見た顔が何人かいる。宿敵ライザー王国の宿将レールガ、私掠艦隊提督ビネガーズ、隣国バリア諸島連合国連合艦隊提督ハッシュモード等等だ、我が国が帝国と同盟を結んだのをやっかんでた人達だ。
「船をつける、イカリを下ろして、橋をかけよ。」
そう言うと、船員達は、指示に従いイカリを下ろして、橋をかけた。帝国クルーザーもイカリを下ろしてくれた。俺は初の単独外交任務で内心ヒヤヒヤしていたが、橋を渡った。
「リーゼンハルト皇子殿下と、拝察する。私は、シードラ王国第二王子ハッパー。お迎えにあがりました。」
真ん中の青年は、笑顔を浮かべて
「ハッパー殿下、如何にも私はリーゼンハルトではす。お迎えありがとうございました。」
「リーゼンハルト殿下、つかぬことお聞きしますが、ここに、隣国の名将達が紐で縛られたおりますが、」
「あっ、これですか、これは我が帝国に仇なし、私に艦隊で襲いかかってきた者達です。確か、」
「戦艦21、クルーザー61、デストロイヤー216です。」
「そう、そんな感じで襲って来たので、殲滅して、大将だけこの船に乗せて捕まえてきました。他の兵士達は、縛って、兵器を取り除いたデストロイヤー3艇に押し込んで、引っ張って来てます。」
「とりあえず、損害賠償の交渉をしようかと思いますが、貴国が占領しに行きますか?」
「はぁ。」
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ほぼ艦隊全部を失った国々、つまり、ライザー王国等4カ国は、ほぼ戦うことなく直ぐに我が国の傘下に入った。実質帝国軍一隻にやられたので、帝国領として半分を割譲し、半分は我が国の領土とした。それにしても、各国の名将達をたった一隻で殲滅した帝国には、絶対逆らっては行けないと実感した。そんな一隻で壊滅させた彼らは、1年間我が国に滞在する。第二皇子にして、次期ベルーフ王となる予定のリーゼンハルト殿下が、外交と、同盟国との親交の為だが、側近がおかしい。
首席補佐官ハーバード准教授。19歳の青年だが、世界最高学府と呼ばれる帝国中央学院の准教授だそうだ。出来るイケメン風だが、仕事できる感は薄い。いつも妹をいじっている感じだ。
その妹、護衛騎士長ジェシカ少佐。8歳の少女だが、最近2階級特進して少佐になったそうだ。今回の戦果で、史上最年少での中佐への昇進が決定したらしい。見た目ただの可愛い少女だが、迷宮をハーバード准教授と探検したり、何か商会を立ち上げたらしい。我が国の王立学院初等部の三年生として学校にも通ってる様だ。同級生の弟曰く、「先生より詳しいから学校来る必要なくねー。でも、あいつ学院内で大人気でさ、中等部まで親交があるみだいよ。」だそうだ。
俺は基本的に、学院高等部に通い、公務は偶にしか無い。要は結構暇だ。彼らが来て1ヶ月後のある日、俺がブラブラ学院内を歩いていると、目の前にジェシカ中佐が歩いてきた。
「あっ。ジェシカ殿ではないですか?」
「ハッパー様、ご機嫌よう。」
俺はふと、こんな事を言ってしまった。
「ジェシカ殿、剣を教えてくれないか?」
「はぁ。良いですよ。」
「ありがとう。」
「では、いつが良いですか?」
「今からでも。」
と言って、一緒に武道場行った。武道場に行くと、彼女は、
「剣を持って構えて下さい。」
と、無造作に言い、俺は剣を抜き構えた。
「わかりました。少し剣を貸してください。」
俺が帝国からの貿易商人から買った宝石入りの自慢の剣だ、彼女は、見たかったんだろう。
ボキ。
「は?」
彼女は無造作に剣を折った。そして、折れ目を俺に見せた。
「これは、鋳造剣、しかも三流品ですわ。王子なら最低でも鍛造。一級品位持って下さい。二分程待ってて下さい。」
俺はショックだった。俺が一級品だと思ってたのを、三級品と蔑まれてしまったんだ。剣を折られたのはビビったが、2分で何をしてくるんだろう、楽しみに待っていると、一本の剣を持ってきた。
「どうぞ、構えてみて下さい。」
あれ?凄くしっくりくる。気分軽くなっているが、振るとスムーズにいき、自然に剣が流れていく。
「良いみたいですね。やりますか?」
そう言うと、彼女はそこらに置いてあった木剣を持った。
「どうぞ。」
彼女は構えてすらいない。舐めてるのか?
「いくぞ」
俺が真剣で斬りつけると、半身で交わし、木剣で剣を抑えた。
「大振りでは、こう抑えられて」
木剣で、剣を床にめり込ませられ、
「こう」
木剣を首筋に当てられた。
「修行させる気があるなら朝4時に大使公邸にいららして下さい。」
そう言うと、彼女はそそくさと、帰って行った。
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翌日朝4時。俺が大使公邸に行くと、日がまだあけていない時間から、異様な光景が広がっていた。我が国の騎士団、併合した国の騎士団の重鎮達や、学院の騎士志望の若者達等500規模の者達が、準備運動をしている。当然だがジェシカさんと同級生の弟もいた。
「では、はじめます。」
そう、ハーバード准教授が言うとみんな瞑想を始めた。
「兄者、邪魔になるから、やり方を教えるから、端にくるんじゃ。」
弟に瞑想を教わり、素振りを教わりながら、訓練は進んでいく。内容は、基礎的だが、実にハードな内容で、少しでも気を抜くと、何故かチョークが飛んでくる。後で聞いたが、ファンネルという魔導具らしい。
素振りが終わると、ジェシカさんが寄ってきて、木剣を投げてきた。
「修行ではこれを使ってください。真剣だと死人が出ますので、」
と、もらった剣は、俺の剣と同じバランスだった。なんなんだ、帝国の技術は、と感心したが、その後は地獄だった。15分間全員での乱組手。色々な所から狙われるし、魔法も飛び交う。ジェシカさんと、ハーバード准教授の周りは、死屍累々で怪我人の山だが、2人はギリギリを斬り合っている。俺では、100%ついていけない。
「兄者、何してるんです。」
「いや、」
「ジェシカちゃんや、ハーバードさんを狙わなくて何の為に来てるんですか?」
「おっおう。」
そう言って、2人で斬り込んで行ったが、5秒と持たず、打ちのめされた。痛みを堪えて何度も何度も斬り込んでいくが、バタバタやられていく。
「やめー。」
そう言って、傷だらけの人達は、本気で意識を手放しで行った。
「ウォー」
死ぬ様な痛みと共に、俺は目覚めた。不思議な事に、外傷は無くなっており、痛みも消えていた。
「あれ?」
「兄者、知らないか。これは、魔の治療薬と呼ばれる薬で、治癒能力を高め、傷を治してくれる。」
「えっ、そんなものがあれば、世界か変わるのでは?」
「そうだけど、治癒能力を高めて無理矢理治すから、打撲程度なら死ぬくらいの痛みで良いけど、大怪我なら、痛みで死んじゃうよ。」
「そうなのか?」
「しかも材料が、迷宮の奥にあるものばかりで、高位治癒魔導師に治癒を依頼した方が安く済む位らしいよ。」
「そんなコスト、誰が?」
「帝国が、武人は剣で語り合うから、交流の為に負担してくれてるらしいよ。どんだけ金があるんだって感じだよ。」
「帝国の皇子様だからな。」
そう話していると、
「はい、最後に、今日初めて参加した、ハッパー王子に、魔法を全力でぶつけましょう。王子は逃げて下さいね。」
「は?」
ハーバード准教授が変な事を言った。マジか?逃げないと、と思った瞬間、ジェシカさんが隣に来ていた。
「全く、お兄ちゃんは。」
「えっ、」
「王子、この指輪をつけて下さい。この庭では、魔法を吸収しますから。」
「はい。」
俺はついていけず、首を縦に振り、指輪をつけた。
「当たり過ぎると、壊れますから、気を付けた下さいね。」
「三、二、一、開始。」
そう言うと、俺に向けて、魔法が大量に飛んできた。俺は一生懸命に逃げた。何度も当たったが、怪我一つせず、
「やめ~」
と言って、魔法が止んだ瞬間に、指輪は割れた。マジセーフ。と言うか、分かってたのか?ハーバード准教授恐るべし。因みにリーゼンハルト殿下は、周りからの攻撃を平然とかわしながら、時間を測っていた。兄貴も見たが、リーゼンハルト殿下に斬り込んで、速攻で打ちのめされていた。
それから、俺は兄貴や弟と一緒に、毎日修行に行った。雪が降る頃には1000人を超え、長くいる者達は、過去のしがらみを超えて、戦友の様になっていた。
「明後日、修行後に実戦に出ます。行ける方は、明日受付を作るので申し出て下さい。また、明後日は、フル装備を持ってきて下さい。」
えっ、実戦?怖いけど出たい。そう思って、俺は翌日申請し、フル装備を持って大使公邸に来た。
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普通に修行でボコボコにされたあと、フル装備に着込むと500人以上のフル装備の者たちがいた。
「はい、皆さん玄関に貼り出している表に従い馬車に乗って下さい、そのメンバーがパーティとなります。」
そう言われて、玄関に行くと、張り紙があり、50台以上の馬車が並んでいた。その馬車も、帝国製馬車で、国内に広まり始めた最新モデルだ。
パーティは、ジェシカさん、弟、侯爵子、帝国領に編入され、リーゼンハルト殿下の領土となる地域の旧王家(帝国伯爵家)の子弟2人、我が国に編入された領土の旧王家(現伯爵家)の子、我が国に編入された領土の旧公爵家(現伯爵家)の子、我が国の最大の商会の子、帝国領に編入され、リーゼンハルト殿下の領土となる地域の冒険者ギルド統括マスターの子だ。修行に来た人達の中でも、特にVIPクラス子弟を選んでいる。
馬車に乗り込むなり商会の子が同級生の弟と話出した。
「一度乗ってみたかったんだ。うちの商会でも手に入らなかったし、こんな台数あるなんて、流石リーゼン商会。」
「リーゼン商会か、帝国資本で、人は殆ど領内や新帝国領の人を雇ったんだろ。」
「そうです。ピンポイントで人を採用していって、しかも優秀な人ばかり、人材豊富で、資金力もあり、帝国との繋がりも強く、最新技術で、低コストで開発を請負ったり、悪徳商会を一気加勢に潰してまくる、でも市場は安値攻勢を掛けずに荒らさず、地元の人をちゃんと使う。リーゼンハルト殿下の名声はうなぎ登りにする目的で作った商会でしょうね。私も次男だし、雇って欲しいな。」
「おいおい。」
そのやりとりを聞いて、ジェシカさんが、口を挟んできた。
「大人になったら雇ってやるから、勉強ちゃんとしなさいね。」
「ジェシカさん、雇う権限あるの?」
「あっ、あれ私がオーナーだから、」
「へ?」
へ?と、皆んなが固まった。リーゼン商会は、リーゼンハルト殿下が資本を出し、運営していると思っていたら、ジェシカさんがオーナーだと、あれだけの商会を建てるだけの資金力を持つ9歳の子って、何もんだ。と悩んでいるとジェシカさんが説明を始めた。
「今から行くのは、海門の迷宮。皆さんには、迷宮アタックをしてもらいます。一応、海門の迷宮の地図を作っておいたので、配ります。パーティのリーダーは、ハッパー殿下にお願いします。何かあればサポートしますので。後、最終階行って、階層主を倒したら、戻ってきて下さい。迷宮を壊さない様に。」
と言って、地図を配り始めた。30階層あり、全階層の地図が詳細に書いてある。海門の迷宮は、我が国の最大の迷宮で、クリアした者はいない筈だ。
「この迷宮って、クリアした人は、いないんじゃ?」
「あっ、この国と、新帝国領の迷宮はあと4つ位行けてないが、他はクリアして、マッピングも終わらしました。海門の迷宮が1番安全なので、レベリングの場所にしました。」
「レベリング?」
「レベル上げのことです。皆さんは、全員レベル0なので、頑張って上げながら降りていって貰います。私たちが旅立つまでに、このパーティーでクリアを目指して下さい。」
そう言って、馬車は、海門の迷宮に着いた。パーティによって迷宮か違うらしく、この迷宮に来た馬車は10台だった。それから、週2で迷宮に潜った。ひたすら安全なルートを進んで、敵を倒しレベルを上げ進んで行く。出自が違うもの達と、役割分担をしっかりして、次々と進んで行くことで、連帯感が高まり、身分や出自関係なく、仲間になって行った。ジェシカさんだけは、迷宮内を走り回り、10パーティのサポートをしていた。彼女は、どっやって他のパーティの状況を把握してるから分からないが、帝国の最新技術だろう。他の迷宮に行った人に聞くと、俺たちの迷宮が1番深いらしい。
「兄ちゃん、留めを!」
「わかった。」
俺たちはなんとか、最下層の階層主を1番に倒した。
「やっと、やっと、」
皆んな涙ぐんで、抱き合って、喜びをんかち合った。
「おめでとうございます。」
「ジェシカさんありがとう。」
「皆さんには、これを差し上げます。」
と言って、9本の剣をどこからともなく差し出した。
「これは?」
「皆さんに合わせた剣です。一応魔法剣なので、魔力を這わせて使って下さい。皆さんとは、来週お別れなので、お別れの品になります。来週、パーティを公邸でやりますので来て下さいね。」(にこっ)
そう言って、俺たちは剣を貰って帰った。後で調べたところ、Sランクの国宝級の品だった。マジ帝国すげー。
お別れ会の日まで、朝の修行は続いた。公邸でのパーティは、人がごった返して、ジェシカさんに会えなかったが、父への挨拶にいらした時に少しだけ話すことができた。俺だけでなく、我が国、新帝国領の民、騎士、貴族達は、リーゼンハルト殿下と共に、ジェシカさんに深い恩義を抱いている。リーゼンハルト殿下やジェシカさんを害する者がいたら、国を挙げて復讐をしに行くだろう。
「兄ちゃん、いつかシーサーペントを倒そうね。」
「あぁ、じゃあ、皆の者、出港だ。」
「「「「「「「「おおー。」」」」」」」」
後にシードラ最大の英雄と言われ、世界最強艦隊と言われるシードラ王国艦隊大提督ハッパーの提督としての初の船出であった。
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