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連載
番外編 2 ヴィクトルにもたらされたもの
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カティはローテーブルの前に立ち、ぎりぎり届くテーブルで手紙を書いている。
「私のせいでお部屋がなくなってごめんなさい。探検誘ってもらってとても楽しかった、私は大丈夫なので心配しないでください。っと。よし。」
まだ伝令はエドヴァルドにしか届かないので、手紙を書いてレオに出してもらう。
あの探検中の事故が引き金となりエドヴァルドに王宮が破壊され、修理が終わるまでヴィクトルは離宮に住まうことになったらしい。国王夫妻にも叱られ元気がないと聞く。
「とう様、ヴィー・・・クトル殿下のこと怒ってますか?」
「お前が元気なのだからもうよい。」
代わりに国王から謝罪と慰謝料を得て、なかなか押し通せなかった条例に署名ももらった。
心情的にはまだ思う所があるが、これ以上引きずっていても仕方がない。
「じゃあ・・・遊びに来てもらってもいい?」
エドヴァルドの眉が少し寄る。
「殿下もまだ子供だし・・責任感じて可哀そうだから。じゃ、じゃなくて!殿下と仲良くしておいた方がのちのち公爵家にも利があると思いますので!」
途中、レオが横に首を振るのを見て言い換えた。
エドヴァルドの中にはヴィクトルが可哀想などという思いはないらしい。カティを危険にさらした愚王子という認識だ。
「末端の王子の威光など欠片も必要はないが、お前は招待したいのか?」
「はい!」
「では構わぬ。」
ヴィクトルが側にいれば護衛や影が必然的にカティをも保護対象にする。くわえて、王族と懇意になることも悪くはないと打算的に考え、愚王子だが友人になることを許可した。
ヴィクトルは王族だというのに平身低頭エドヴァルドに再度謝罪した。カティの命を危険にさらしたにもかかわらずこうして交流を許可してくれたことへの感謝も込めてなかなか手に入らない貴重な高級菓子と茶葉を持参した。
「ふ~っ。良かった、公爵に許してもらえて。」
「とう様、もう全然気にしてないって言ってたよ。」
「・・・そう?」
(いやいや、絶対にそんなことないよ。二度目はないというあの威圧感と冷気・・・。)
全く笑っていないエドヴァルドを思い出してヴィクトルは身震いする。
「手紙ありがとう。」
「ヴィーが陛下に怒られたって聞いたの。ヴィーだけが悪いんじゃないって言ったのに聞いてもらえなかったの。ごめんなさい。」
「カティは悪くないよ、僕が良く知りもしないのに君を連れて入ってしまったから・・・ごめん。怖い目に合わせ て。」
やはり元気がない。
今日はせっかく一緒に第三回カティぐち探検隊の計画をしようと思っていたのに無理そうだ。
ヴィクトルを元気づける方が先だと思ったカティは、
「よ~し!今日は金魚すくい競争します!」
「え?金魚すくいって?」
「負けた方は顔中に落書きされます!そして一日その顔で過ごすの。」
「ええ?!なにそれ?経験あるカティが有利じゃない?」
「大丈夫、大丈夫。」
そう言いつつ、勝利間違いなし!とカティは確信し、にんまりした。
顔にたくさん落書きを書かれたヴィーは吹っ切れて元気になるだろう。
「なんで?」
何度も自主トレをしているカティを差し置いて、運動神経がいいヴィクトルは初めてにも関わらず、金魚すくいをあっという間に見切り、圧勝した。
実はカティは集中すればするほどポイを通してターゲットの魚に癒しの魔法が発動され、お魚が元気に跳ねまくりポイから脱出するのだ。それに気が付かないカティがこの勝負で勝つことはない。
「むうう・・・では、お願いします。」
「え?本当に描くの?」
初めは遠慮してカティの顔に小さい丸しか付けられなかったが、カティがこうするのよ!と自分の眉毛と眉毛を線でつなぎ、瞼の上にも目を描き込んだ。
噴き出したヴィーは吹っ切れたようにカティの顔に色々書き込んだ。
仏のような顔で落書きを受け止めながら、内心穏やかではない。
有利なはずの勝負に負けて、ヴィクトルを励ますために始めたことをすっかりカティは忘れていた。
「ぐぬぬぬ・・・こんなはずでは・・・あ!あれにしよう!あれなら私の方が絶対有利。」
いずれ表に出そうと思っていた遊び道具。
「ヴィー!次の勝負よ!」
部屋に戻ってヴィクトルは丸く切り抜いた木片に色を塗らされている。
片面だけ黒くぬること64片。カティは板に線を引き、64個の升目を描いている。
「できた!」
「何するの?」
「オセロって言ってね・・・」
カティは落書きだらけの顔で至極真面目にゲームのルールを説明した。
(これなら精神年齢、実質上で経験者の私が有利!)
何度かルールを教えながら対戦した後、
「いざ勝負!!」
最終盤上を眺めてカティはぱったり倒れた。
ヴィクトルの圧勝だった。
「あ・・・なんかごめんね。」
ヴィクトルは申し訳なさそうに言う。
「・・・いいのよ。初心者に花を持たせただけだし!ほっほっほ。」
カティは立ち直れないほどの傷を心に負いながら、
「武士に二言はないわ!さ、どうぞ!」
と顔を差し出した。
そしてカティの顔にちょび髭やもみあげが増えていく・・・
「ね、カティ。このゲームって前世の?すごく簡単だけどとても深くて面白い。これ大人でも楽しめるよ。これ、商品にしない?」
「え?」
「きっと売れる。楽しいだけじゃなくてすごく頭を使うだろ?考える力とか集中力や相手の考えを読むとかいろいろ鍛えられると思うんだ。」
(あ?そうなの?ただの遊びなんだけど?)
四隅さえとればいいとしか思っていないカティと、初めてにも関わらずいろんなパターンを考えるヴィクトル。そこがカティとヴィクトルの勝敗を分ける。
「商品にするんだったらちょっと考えがあるんだけど・・・。」
カティは自分の思いを打ち明けた。
思う存分ヴィクトルと遊んだカティは目いっぱい落書きされた顔で応接室でお茶をする。一日これで過ごすとルールを決めたのはカティだ。
お茶会にはエドヴァルドもおり、カティはエドヴァルドの膝に乗せられていたが、カティと目が合うたびにヴィクトルは噴き出しそうになるのを堪える。
おかげで公爵に対する罪悪感や畏怖をそれほど感じなくて済んでいる。
しかも、カティの顔に落書きをしたことを叱られるかと思ったが
「殿下、カティはこのように想像つかない事ばかりするのです。いずれ殿下も巻き込まれて被害にあうかもしれません。お気を付けください。」
そう言いながらカティの頭を撫でている。
カティは口を尖らしてむくれているが、エドヴァルドがお菓子を口元にもっていくとすぐに機嫌がよくなりもぐもぐと食べている。
それがまた面白くて可愛らしい。
カティの命を危険にさらした後悔と責任感で苦しかったが、カティのおかげでいつのまにか心の重りが取れて元気を取り戻していた。
そして数日後、ヴィクトルの離宮に侍女に抱かれたカティがやってきた。
「でんか。」
カティがヴィクトルに手を伸ばす。
ヴィクトルがカティを抱くとミンミは頭を下げて出て行く。
「え?いいの?」
「うん。ミンミは私の事知らないから、とう様が殿下に預けたら下がるようにいってくれたの。帰る時は護衛さんととう様の執務室に戻ればいいの。」
「そう。宰相がちゃんと指示してくれたんだ、ありがとう。」
カティをソファーに降ろすと、お茶の用意を言いつけた。
「ヴィー今度孤児院に行くんでしょ?」
「うん。」
「そっか、いよいよね。上手くいけば嬉しい。それで孤児院って子供たちの遊ぶものって何かあるの?」
「貴族から寄付された人形、絵本だとか木剣かな。」
「そうか。これどうかなあって持ってきたの。」
カティは色とりどりの紙をレオに正方形に切ってもらったものを持ってきた。
そしてその一枚を小さいむちっとした手で折り始めた。
「じゃーん!」
と鶴を折って見せた。
「え?!すごい!一枚の紙からこんなのできるの?綺麗!まるで魔法だよ。」
「折り紙っていうの、いろんな動物とかお花とか折れるんだよ。飛行機とか男の子も喜ぶよ。」
カティは紙飛行機もヴィクトルに教えた。
「飛ばしっこするの。」
「負けたらまた顔に落書き?」
「ううん。これはただ楽しい時間を過ごしてほしいだけ。孤児院ってなかなか一人一人愛情受けにくいと思うし・・・楽しい時間少ないと思うから。他にもね・・・」
紐を使ったあやとりというものや、筒を使った吹き矢などもカティは教えてくれた。
ただ楽しいだけじゃない。頭も使うし、想像力も養えそうだ。
「この間のオセロといい、カティの世界の遊びはすごいね。」
「そうかな?あまりお金のかからないもので、みんなで遊べるものがいいかと思って。皆が笑顔だったら幸せがやってくると思うの。」
先日のオセロの件では、オセロを広めたいというヴィクトルに、オセロの商品化は孤児院の収入源として孤児院に依頼できないかと頼んできた。
孤児院の子供たちの幸せにも心を砕くカティにヴィクトルはカティに心を掴まれた。
この間の金魚すくいの日から自分でも気が付いていた、いつのまにかカティに恋をしていた。僕の初恋だ。でも見かけは赤ちゃん、口に出すわけにはいかないけど。
ああ、でもカティの前にはとてつもなく大きくて手ごわい壁が立ちはだかっている。宰相に認めてもらうには生半可な努力じゃ駄目だな。
(カティ、君にふさわしい、宰相が文句のつけようのない男になるから待っててね。)
その日から、ヴィクトルは勉強や剣術、そして執務に至るまでこれまで以上に真剣に取り組んだ。
そして将来を担うであろう子供たちの教育にも関心を持ち、孤児院へも施しだけではなく教育や職業訓練、そして何より笑顔になるための支援をした。
そしてそれはいずれ一国の国王になるヴィクトルに大変役に立ったという。
「私のせいでお部屋がなくなってごめんなさい。探検誘ってもらってとても楽しかった、私は大丈夫なので心配しないでください。っと。よし。」
まだ伝令はエドヴァルドにしか届かないので、手紙を書いてレオに出してもらう。
あの探検中の事故が引き金となりエドヴァルドに王宮が破壊され、修理が終わるまでヴィクトルは離宮に住まうことになったらしい。国王夫妻にも叱られ元気がないと聞く。
「とう様、ヴィー・・・クトル殿下のこと怒ってますか?」
「お前が元気なのだからもうよい。」
代わりに国王から謝罪と慰謝料を得て、なかなか押し通せなかった条例に署名ももらった。
心情的にはまだ思う所があるが、これ以上引きずっていても仕方がない。
「じゃあ・・・遊びに来てもらってもいい?」
エドヴァルドの眉が少し寄る。
「殿下もまだ子供だし・・責任感じて可哀そうだから。じゃ、じゃなくて!殿下と仲良くしておいた方がのちのち公爵家にも利があると思いますので!」
途中、レオが横に首を振るのを見て言い換えた。
エドヴァルドの中にはヴィクトルが可哀想などという思いはないらしい。カティを危険にさらした愚王子という認識だ。
「末端の王子の威光など欠片も必要はないが、お前は招待したいのか?」
「はい!」
「では構わぬ。」
ヴィクトルが側にいれば護衛や影が必然的にカティをも保護対象にする。くわえて、王族と懇意になることも悪くはないと打算的に考え、愚王子だが友人になることを許可した。
ヴィクトルは王族だというのに平身低頭エドヴァルドに再度謝罪した。カティの命を危険にさらしたにもかかわらずこうして交流を許可してくれたことへの感謝も込めてなかなか手に入らない貴重な高級菓子と茶葉を持参した。
「ふ~っ。良かった、公爵に許してもらえて。」
「とう様、もう全然気にしてないって言ってたよ。」
「・・・そう?」
(いやいや、絶対にそんなことないよ。二度目はないというあの威圧感と冷気・・・。)
全く笑っていないエドヴァルドを思い出してヴィクトルは身震いする。
「手紙ありがとう。」
「ヴィーが陛下に怒られたって聞いたの。ヴィーだけが悪いんじゃないって言ったのに聞いてもらえなかったの。ごめんなさい。」
「カティは悪くないよ、僕が良く知りもしないのに君を連れて入ってしまったから・・・ごめん。怖い目に合わせ て。」
やはり元気がない。
今日はせっかく一緒に第三回カティぐち探検隊の計画をしようと思っていたのに無理そうだ。
ヴィクトルを元気づける方が先だと思ったカティは、
「よ~し!今日は金魚すくい競争します!」
「え?金魚すくいって?」
「負けた方は顔中に落書きされます!そして一日その顔で過ごすの。」
「ええ?!なにそれ?経験あるカティが有利じゃない?」
「大丈夫、大丈夫。」
そう言いつつ、勝利間違いなし!とカティは確信し、にんまりした。
顔にたくさん落書きを書かれたヴィーは吹っ切れて元気になるだろう。
「なんで?」
何度も自主トレをしているカティを差し置いて、運動神経がいいヴィクトルは初めてにも関わらず、金魚すくいをあっという間に見切り、圧勝した。
実はカティは集中すればするほどポイを通してターゲットの魚に癒しの魔法が発動され、お魚が元気に跳ねまくりポイから脱出するのだ。それに気が付かないカティがこの勝負で勝つことはない。
「むうう・・・では、お願いします。」
「え?本当に描くの?」
初めは遠慮してカティの顔に小さい丸しか付けられなかったが、カティがこうするのよ!と自分の眉毛と眉毛を線でつなぎ、瞼の上にも目を描き込んだ。
噴き出したヴィーは吹っ切れたようにカティの顔に色々書き込んだ。
仏のような顔で落書きを受け止めながら、内心穏やかではない。
有利なはずの勝負に負けて、ヴィクトルを励ますために始めたことをすっかりカティは忘れていた。
「ぐぬぬぬ・・・こんなはずでは・・・あ!あれにしよう!あれなら私の方が絶対有利。」
いずれ表に出そうと思っていた遊び道具。
「ヴィー!次の勝負よ!」
部屋に戻ってヴィクトルは丸く切り抜いた木片に色を塗らされている。
片面だけ黒くぬること64片。カティは板に線を引き、64個の升目を描いている。
「できた!」
「何するの?」
「オセロって言ってね・・・」
カティは落書きだらけの顔で至極真面目にゲームのルールを説明した。
(これなら精神年齢、実質上で経験者の私が有利!)
何度かルールを教えながら対戦した後、
「いざ勝負!!」
最終盤上を眺めてカティはぱったり倒れた。
ヴィクトルの圧勝だった。
「あ・・・なんかごめんね。」
ヴィクトルは申し訳なさそうに言う。
「・・・いいのよ。初心者に花を持たせただけだし!ほっほっほ。」
カティは立ち直れないほどの傷を心に負いながら、
「武士に二言はないわ!さ、どうぞ!」
と顔を差し出した。
そしてカティの顔にちょび髭やもみあげが増えていく・・・
「ね、カティ。このゲームって前世の?すごく簡単だけどとても深くて面白い。これ大人でも楽しめるよ。これ、商品にしない?」
「え?」
「きっと売れる。楽しいだけじゃなくてすごく頭を使うだろ?考える力とか集中力や相手の考えを読むとかいろいろ鍛えられると思うんだ。」
(あ?そうなの?ただの遊びなんだけど?)
四隅さえとればいいとしか思っていないカティと、初めてにも関わらずいろんなパターンを考えるヴィクトル。そこがカティとヴィクトルの勝敗を分ける。
「商品にするんだったらちょっと考えがあるんだけど・・・。」
カティは自分の思いを打ち明けた。
思う存分ヴィクトルと遊んだカティは目いっぱい落書きされた顔で応接室でお茶をする。一日これで過ごすとルールを決めたのはカティだ。
お茶会にはエドヴァルドもおり、カティはエドヴァルドの膝に乗せられていたが、カティと目が合うたびにヴィクトルは噴き出しそうになるのを堪える。
おかげで公爵に対する罪悪感や畏怖をそれほど感じなくて済んでいる。
しかも、カティの顔に落書きをしたことを叱られるかと思ったが
「殿下、カティはこのように想像つかない事ばかりするのです。いずれ殿下も巻き込まれて被害にあうかもしれません。お気を付けください。」
そう言いながらカティの頭を撫でている。
カティは口を尖らしてむくれているが、エドヴァルドがお菓子を口元にもっていくとすぐに機嫌がよくなりもぐもぐと食べている。
それがまた面白くて可愛らしい。
カティの命を危険にさらした後悔と責任感で苦しかったが、カティのおかげでいつのまにか心の重りが取れて元気を取り戻していた。
そして数日後、ヴィクトルの離宮に侍女に抱かれたカティがやってきた。
「でんか。」
カティがヴィクトルに手を伸ばす。
ヴィクトルがカティを抱くとミンミは頭を下げて出て行く。
「え?いいの?」
「うん。ミンミは私の事知らないから、とう様が殿下に預けたら下がるようにいってくれたの。帰る時は護衛さんととう様の執務室に戻ればいいの。」
「そう。宰相がちゃんと指示してくれたんだ、ありがとう。」
カティをソファーに降ろすと、お茶の用意を言いつけた。
「ヴィー今度孤児院に行くんでしょ?」
「うん。」
「そっか、いよいよね。上手くいけば嬉しい。それで孤児院って子供たちの遊ぶものって何かあるの?」
「貴族から寄付された人形、絵本だとか木剣かな。」
「そうか。これどうかなあって持ってきたの。」
カティは色とりどりの紙をレオに正方形に切ってもらったものを持ってきた。
そしてその一枚を小さいむちっとした手で折り始めた。
「じゃーん!」
と鶴を折って見せた。
「え?!すごい!一枚の紙からこんなのできるの?綺麗!まるで魔法だよ。」
「折り紙っていうの、いろんな動物とかお花とか折れるんだよ。飛行機とか男の子も喜ぶよ。」
カティは紙飛行機もヴィクトルに教えた。
「飛ばしっこするの。」
「負けたらまた顔に落書き?」
「ううん。これはただ楽しい時間を過ごしてほしいだけ。孤児院ってなかなか一人一人愛情受けにくいと思うし・・・楽しい時間少ないと思うから。他にもね・・・」
紐を使ったあやとりというものや、筒を使った吹き矢などもカティは教えてくれた。
ただ楽しいだけじゃない。頭も使うし、想像力も養えそうだ。
「この間のオセロといい、カティの世界の遊びはすごいね。」
「そうかな?あまりお金のかからないもので、みんなで遊べるものがいいかと思って。皆が笑顔だったら幸せがやってくると思うの。」
先日のオセロの件では、オセロを広めたいというヴィクトルに、オセロの商品化は孤児院の収入源として孤児院に依頼できないかと頼んできた。
孤児院の子供たちの幸せにも心を砕くカティにヴィクトルはカティに心を掴まれた。
この間の金魚すくいの日から自分でも気が付いていた、いつのまにかカティに恋をしていた。僕の初恋だ。でも見かけは赤ちゃん、口に出すわけにはいかないけど。
ああ、でもカティの前にはとてつもなく大きくて手ごわい壁が立ちはだかっている。宰相に認めてもらうには生半可な努力じゃ駄目だな。
(カティ、君にふさわしい、宰相が文句のつけようのない男になるから待っててね。)
その日から、ヴィクトルは勉強や剣術、そして執務に至るまでこれまで以上に真剣に取り組んだ。
そして将来を担うであろう子供たちの教育にも関心を持ち、孤児院へも施しだけではなく教育や職業訓練、そして何より笑顔になるための支援をした。
そしてそれはいずれ一国の国王になるヴィクトルに大変役に立ったという。
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