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第17章 洞爺湖温泉ー静香と結ばれるー

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 高校三年生になり、五月の連休に国縫(くんぬい。長万部町南部の地名。アイヌ語の「クンネ・ナイ」(黒い川)に由来する。)に一緒に行ってと美智子に誘われた。一六六九年に松前藩の過酷な収奪に抗して、アイヌのおさシャクシャインが全道のアイヌに呼びかけ蜂起した。松前を目指して攻め寄せたシャクシャイン軍と松前軍の最大の激戦地が国縫川周辺であった。両軍あわせて数百人が戦死したと言われている。
 アイヌは和人の鉄砲に毒矢で対抗したが、「互いに射合えども、日本方の甲冑の鍛えよければ通らず。朝より午刻過迄に夷方五十餘人うたれ」(松浦武四郎の「東蝦夷日誌」より)、静内まで退却を余儀なくされ、シャクシャインは和睦の席でだまし討ちにあい殺される。リーダーを失ったアイヌ軍は松前軍に敗れる。
 この敗北によりアイヌは、以降、松前藩に完全に服従し、日本人によるアイヌ支配が確立したと言われている。古戦場跡には歴史を留めるものは何も残っておらず、ただ草木が生い茂っているだけである(なお、平成二十八年九月、シャクシャイン古戦場跡碑が建立された。)が、美智子が僕を誘ったのは、三百年前にアイヌが民族としての自決をかけて戦った古戦場で、戦死者を鎮魂し、和人にだまされ続けたアイヌの歴史を顧み、今後の自分の生き方、そしてアイヌ民族の行く末について思いをめぐらし、僕と語り合い、自分の考えを固めたいと思ったからだ。
 美智子の重い思いを知っていたが、母との旅行を理由に誘いを断った。連休には静香と洞爺湖へ行くことになっていた。静香が僕に体を許すためには、僕たちが男と女の関係になるには、きっかけが必要だった。静香が僕を旅行に誘ったのは、僕に静香の全てを与えるためだ。僕たちはこの旅行結ばれるだろう。旅行の日が近づくにつれ、濃密にまぐあう二人が頭にちらつき、勉強にも身が入らず、何も手がつかなくなった。
 五月三日の昼過ぎに室蘭をたち、バスで洞爺湖に向かった。道南バスの停留所を降り、温泉の商店街を抜けると、目の前にさざ波ひとつない青く静かな湖が広がっていた。アイヌ人がトウ・ヤ(湖畔)と呼んだ、この湖には小さい時から何度も来ているが、背後の火の山の中で、ひっそりとたたずむ広く大きな湖水は、何故かいつも僕を癒してくれる。
 新緑には少し早かったが、桜やチューリップなど春の花々が一斉に開花しようとしていた。湖の岸辺の旅館に投宿し、大浴場でそれぞれひと風呂浴びた後、洞爺湖が一望できるレストランで夕食を食べた。見晴しがよく、蝦夷富士と呼ばれる冠雪した羊蹄山も見えたが、この後のことが気になり、はやる気持ちを抑えられず、景色を楽しむ余裕はなかった。
 部屋に戻るとすぐに静香に抱きつきキスをした。「先にもう一度お風呂に入りましょう」と静香が僕に入浴を促した。取った部屋には家族風呂がついていた。僕が風呂に入ると、すぐに静香も入って来て、ペニスを除いて僕の全身を洗ってくれた。ペニスも最後に石鹸をつけた手で洗ってくれた。ペニスを両手で包み、もみもみしたり、手のひらでこすったり、上下左右にゆすったりする。「そんなことしたら出てしまうから止めて。今日はお母さんの中に入れたいよ」と言うと、「後で入れさせてあげるから、一度出しましょう。それから、お母さんと呼ぶのは止めて。スンヒ(純姫)と呼んで」と言う。こののち、僕は静香と愛し合うときは、静香の本名のスンヒ(純姫)と呼ぶようになった。
 射精した後、今度は僕が静香を洗った。静香はてらいもなく、恥じらいもなく裸身を僕にゆだねた。石鹸で泡立たせ両手で洗った。静香を立たせて上半身を洗った。両手を万歳させて、わき毛も洗う。豊満な乳房がピンと上を向き、腰もくびれている。へその下と陰毛の間に一本の横筋が走っているが、お腹にたるみはない。横線が肉感的だ。後ろ向きにして、大きくて引き締まったお尻を洗う。触ると心地よい。ひざまずいて、脚と腿を洗った後、前向きに戻すと、洗い残しておいた性毛が僕の目の真ん前に現れる。性毛とその下にとりかかる。まず髪を洗うように性毛を洗う。指でブラッシングし、次にくさむら全体を泡立て、指の腹でマッサージする。
 時間をかけて洗うのを楽しんでいたら「遊んでいないで、早くして」と怒られた。性毛の下に目を移し大陰唇を指でなぞるが、どう洗うのか分からず戸惑う。「そこを開いて」と言われて、両手で開くと中にひだがある。開きながら入り組んだひだの隅々を丁寧に優しく洗ってあげた。僕はまた元気になってきた。静香も興奮してきたようだった。
 風呂から出ると、僕は静香をふとんに押し倒し、上から蔽いかぶっさった。「葵ちゃん、落ち着いて」と何度か言いながら、静香は僕のペニスに手を添えて、膣口に導いた。前戯はなかったが、するりと入った。静香は興奮し、びしょびしょに濡れていた。初体験であったが、自然に腰が動いた。
 「葵ちゃん、ゆっくりね。ゆっくりね」と静香は言うが、腰を動かしていると快感がましてきて、スピードがあがる。「葵ちゃん、もっと、ゆっくり。まだよ」と叫ぶが、僕は制御できない。その時、静香が脚でブレーキをかける。僕の脚にからめ、僕の脚を強く締めつける。同時に僕を下から強く抱きしめる。振りほどき腰を動かそうとするが、動けない。静香が満身の力を込めて、僕を押し留める。しばらくじっとしていると、静香が力を緩めたので、また、ピストン運動を再開する。すぐに、絶頂が近くなる。静香がまたブレーキをかける。しかし、今度は静香の締め付けを振りほどき、激しく腰を動かし、射精した。静香はオーガズムに達していなかった。僕は女の生理に無知だった。静香のために我慢することを知らなかった。
 僕は満ち足りて裸のまま静香にくっついて眠った。静香はオーガズムを迎えられず、満足できなかったと思うが、何も言わず、僕を抱きしめて眠った。翌朝、夜明け前に目覚めると、寝ている僕の上に、静香が全裸でのしかかってきた。乳房を僕の胸になすりつけ、頬を僕の頬に押し付け、「葵ちゃん、ああ、私の葵ちゃん」とうわごとのように繰り返す。僕の鼻や目にところ構わず接吻し舐めまわす。乳首を僕の口に含ませる。吸うと胸を小刻みに震わせ「あーん、あーん、私の葵ちゃん。葵ちゃんは私のものよ。誰にもわたさない」と言い募る。腰を浮かし、勃起したペニスを膣に差し込み、深く深く奥に吸い込む。僕の胸に両手をつき、股間を僕に強く押し付けて、腰をくぬらせる。精液があふれ出そうになる。
「葵ちゃんは、いっちゃだめよ。だめ。だめ。がまんして」と叫びながら、胸を反らし、腰を激しく動かす。僕は何とかこらえる。静香が両手を頭に回し、上半身をぶるぶると震わせ、苦悶のような深く長い喘ぎ声を漏らしたとき、僕は耐えきれず放出した。エクスタシーで心も体も解放されリラックスした静香は、僕に寄り添い、添い寝して「よく我慢したわね。可愛い子」と言いながら僕の髪をなぜてくれた。
 うとうとした後、目覚めると、カーテンから日が差し込み明るくなっていた。外は晴天のようだった。静香が僕の口を軽く吸う。僕も吸いかえす。静香が僕のくちびるを甘噛みする。僕も噛む。じゃれあっていると、静香が舌を入れてくる。僕も舌をからめる。舌をからませていると、じんじんしてくる。びりびりと衝撃波が走る。衝撃波が頭からつま先まで走りまわる。僕はまたむくむくと元気になった。
 またしたくなったので、静香のパンティーを引き下げ、静香の両脚を開き、その間に僕の両膝を入れる。「待って。女はまだ準備できてないのよ。もっとスキンシップが必要なの。身体中を可愛がって」と制止される。僕は静香の耳をなめ、首から胸もとにキスの雨を降らせ、乳房を鷲掴みし、乳輪を指でなぞり、乳頭を咥えて振りまわした。お腹もへそも腕も腿も身体中に口づけした。背中やお尻も舐めまわした。愛撫の嵐が静香の上で吹き荒れた。
 「もういい?」と聞くと、静香は僕の顔を黒い毛に縁どられた、縦に割れたスリットに導き「ここも吸って」とささやいた。僕は割れ目からはみ出ていたひだを吸った。しばらく吸ってから、ひだを手の指でつかみ、ひっぱったり、ゆすったりしていると膨張してきた。ひだを開くとピンク色の膣口が見えた。膣から透明できらきらした液体が分泌していた。なめてみると、ねばねばしてしょっぱい味がした。
 静香が自分でクリトリスの皮を剥いて「ここも吸って」指図したので、剥かれて露出したクリトリスを唇で挟んではむはむしたり、舌先で上下になめ上げたりしていると、静香は身体を弓なりにし、腰を突き上げた。足首は硬直し、ひくひくと痙攣した。それから正気を失ったように動かなくなった。
 午前十時時にチェックアウトする予定であったが、午後まで延ばして、結局旅館を出たのは午後三時であった。この間、朝食も昼食もとらず愛し合った。僕らは全身性器になり、押し付け合い、吸い合い、なめ合い、しゃぶりつきむさぼった。僕は静香を何度も何度も貫き、静香は僕を何度も何度も締めあげ、しぼり尽くした。
 チェックアウト後は、洞爺湖の湖面に浮かぶ中島に渡り、エゾシカを見たり、鳥の鳴き声を聞いたりして、島内を散策する計画であったが、疲れ切っていたので、湖畔には寄らず、旅館から直接家路についた。終日旅館内で過ごし、洞爺湖の自然に触れることができなかった旅行であったが、僕は幸福感に包まれていた。
 僕は静香の全てを知った。静香は他人には決して見せられない恥部も暗部も僕にさらし、僕が静香を奏でると、狂乱し、嬌態し、歓喜した。僕は静香の中に入り込み、静香の体中を僕で満たした。僕の体は静香の中で、爆発し、沸き立ち、溶け落ちた。男と女の交歓がこんなにもすばらしいものとは! 生涯忘れられない夢のような日であった。これからは、毎夜静香とセックスできると思うと、心が弾み、喜びが満ちて来た。
 
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