破滅確定の悪役貴族、【絶対快眠】スキルで最強魔法使いになったので、学園スローライフを満喫する

空月そらら

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1章

第50話 ガイダンス後の魔力判定テスト

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 学園に通い始めてから数日が経過した。
 
 入学式こそ波乱の幕開けだったものの、貴族向け学園だけあって、授業のメインは礼儀作法や貴族社会の歴史、基礎教養などが中心だ。

 剣術や魔法の講義も用意されているものの、まだ軽いオリエンテーション程度。

 そんな中、「魔力判定テスト」という行事が新入生対象で行われるという話を耳にした。
 
 どうやら学園側が「どの程度の魔力適性があるか」を測定し、その数値を参考に今後の実技講義の進度を決めるらしい。

 ただし、貴族の学園だからといって学科試験があるわけではない。

 あくまでも教員が生徒の実力を把握するため、というのが主目的だそうだ。

 その日の午後、広めのホール――入学式に使った大ホールほどではないが、それなりの規模の部屋に新入生が集まった。

 舞台上には魔力測定器なる円柱状の装置が鎮座し、それを取り囲むように数名の教師が陣取っている。

「いやぁ、ついにか……。俺の魔力がどれくらいなのか、ちょっとワクワクするな」
 
 地味に期待が高まる。

 エリシアの指導の中で、俺はそこそこ魔力を扱える自信を持っているが、正式な数値など測ったことはなかった。

 周囲を見回すと、華やかな制服やドレスを纏った貴族子弟たちがざわざわと噂話をしている。
 
「あの測定器、どれくらい正確なんだろう」

「私のお父様は昔、あれで“中の上”って言われたらしいわ」
 
 「噂だと“剣聖アーク”もすごい魔力らしいぜ」

 ――聞き捨てならない名前が飛び込んできて、俺は視線を向ける。

 すぐにわかる。あの金髪でドヤ顔の男――アークが、取り巻きを従えてホールの中央付近に陣取っている。

 スキル“剣聖”を持ち、自身の強さを誇示しているが、学園ではまだ具体的に活躍している様子はない。

「あ、相変わらず偉そうにしてるな」
 
 俺が小声で呟いた、

 その時。

 視界の端に、ピンク髪のロングを揺らす少女――フローラが入ってくるのが見えた。

 彼女はやや人混みを避けるようにこっちへ向かってくる。

「レオン、今日が魔力判定テストの日なのね……。私、こういうの初めてだから緊張するわ」
 
「俺も初めてだ。あんまり深く考えず、普段通りやればいいんじゃないか?」
 
「うん! それはそうと、またアークが何か言ってるわね……」

 フローラが視線を向ける先、アークは取り巻きに囲まれて大声で何やら語っている。

「僕の剣聖スキルは最強だからね!」とか「数値なんてなくても、僕が最強ってことは変わらない」などと根拠不明の自信を振りまいているようだ。

「ま、剣聖のスキルを持ってるしな」

 そんな風に会話していると、教師の一人が壇上に出てきて手を叩く。
 
「皆さん、静粛に。――これより新入生の魔力判定テストを始めます。順番に名前を呼びますので、前の測定器に触れてください。結果は数値として表示され、S、A、B、C、Dなどの評価も併せて出ます。あくまでも目安なので、一喜一憂しないようにお願いしますよ」

 教師がそんな説明をした後、いよいよテストがスタート。

 名前を呼ばれた生徒が壇上に上がり、魔力測定器に手をかざすと、機械がぽうっと光って数値を映し出す。

「57か……評価はB、だって」
「悪くないわね」
「私は68だったわ」
 
 ざっと見ている限り、数値の平均は40~70あたり。

 評価がBやCなら“普通”らしく、70を超えるとA判定、90以上がSという噂だ。

「ほお……結構みんなバラバラだな。大貴族でも数値が低いことがあるし、出自だけじゃ測れないみたいだな」
 
 俺はそんな感想を抱きながら待機している。

 フローラも同じように列で名前を呼ばれるのを待っている。

 すると急に騒がしい声が耳に入る。
 
「あ、あいつが壇上に上がったぞ」
「剣聖のアークだ」
「すごい数値が出るんじゃない?」

 見るとアークがツカツカと測定器に向かって歩いていく。

 相変わらずの自信満々な態度。

 スキル“剣聖”を持ち、周囲に「僕こそ最強だ」と公言してきた男だ。

 さぞすごい数値が出るんだろう――周囲の生徒たちが期待に満ちた視線を向けている。
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