破滅確定の悪役貴族、【絶対快眠】スキルで最強魔法使いになったので、学園スローライフを満喫する

空月そらら

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1章

第52話 レオンの番――思わぬ高数値

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 フローラのインパクトが冷めやらぬうちに、今度は「レオン」の名前が呼ばれた。
 
 ざわつく会場。

「あいつ、悪役貴族だよな」
「絶対快眠とかいう謎スキルだって……」
「どうせ数値も大したことないんじゃ?」

 俺はさほど意識せず、壇上へと歩を進める。

 すると教師が確認を取ってくる。
 
「レオン……スキルは“絶対快眠”……珍しいですね。魔力とはあまり関連がなさそうに思えますが、まあ、どうでしょうか。では機械に触れてください」

 俺は測定器に手をかざす。

 軽く深呼吸し、魔力を巡らせるイメージをする。

 一度試してみたかった――ここでエリシアに仕込まれた魔力を意識しながら微かに力を込める。
 
 すると装置の光がじわりと増し始め、そして数値がグングン上昇していく。

「……え? 60を超え、70を超え、80、90……」
 
 教師が半ば呆然と口にしているのがわかる。

 会場からも「嘘だろ?」「あいつにこんな魔力が……」などの声が飛び交う。
 
 最終的に表示された数値は「82」

 まさかのフローラ以上。

 教師が目を白黒させながら機器を操作し、「A+相当」と判断する。

「え……俺がフローラ以上……?」
 
 俺自身が一番驚いた。

 確かに自分なりに魔法を使いこなせるようになってはいたが、まさかこんなハイスコアが出るとは。

 周囲が唖然としている。

「ま、まじかよ!」
「あの貴族がなんでこんな……」
「絶対快眠(笑)とか言われてたのに、この数値はやばいだろ……」

 一気に場が騒然となる。

 教師たちも口々に「測定器が壊れてはいないはずだ……でもレオン君、あなた本当に“絶対快眠”なのか?」などと困惑している。
 
 俺はとにかく訳がわからず「はい、昔からそれしかないんですが……」と答えるが、周囲の視線は驚きと戸惑いと、少しばかりの称賛が入り混じっている。

「むろん魔力が高い=戦闘力そのものが高いとは限りませんが、これほどの値は滅多に出ません。今期ではフローラさんと並ぶトップクラスです。……ええと、とにかくおめでとうございます」

 教師がそう締めくくり、俺は壇上を降りる。

 フローラが駆け寄ってきて、「レオンが92だなんて……本当にびっくり!」と嬉しそうに声を弾ませている。
 
 俺も少し気恥ずかしいが、心の中でエリシアに感謝。

 きっと日々の魔力訓練が大きかったのだろう。

「……しかし、こりゃまた目立っちゃったな」
 
 悪役貴族と言われながら、最高水準の魔力数値を叩き出した。

 いい意味でも悪い意味でも注目の的だ。
 
 この後の学園生活がどうなるか、想像がつかない。
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