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35.洗濯魔法
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「そんな、物騒な。」
ヘーカーには腹が立つし、好きになれないし、やり返してやりたい。
だが、命まで取る気にはなれない。
次にヘーカーに会った時は、どうしようかと悩む。
それは先の話と思考を止めた。
「そういえば、殺しといえば以前から気になっている事があるのですが。」
(何?)
「スライムやゴブリンは魔石になるのに、角ウサギはそのままですよね。同じ魔物なのに何が違うのですか?」
(いまさら。・・まぁいいわ。それは、創造種と変異種の違い。創造種は悪魔族が魔石を媒体に作った魔物。変異種は、悪魔族の魔素を浴びて変異した魔物。)
「ああ。つまりスライムは死んだら元の魔石に戻り、角ウサギはウサギが変異したものだから、そのままですか。」
(そう。ちなみに変異種はウサギだけじゃないわよ。角の生えた猪や鹿や熊などもいるわ。)
「牡鹿は元々角があるのでは?」
(あら、そうね。角の形が違うのよ。枝分かれした角ではなくて真っすぐ伸びた角なの。)
「食べられるのですか?」
(死んだ時点で魔素は消失するから、上手に処理すれば食べられるわ。美味しいよ。)
「上手な処理?ですか。」
(冒険者組合で処理してもらえれば何も問題ないわ。)
「では、今収納されている角ウサギも美味しく頂けるのですね。」
(そういうこと。)
「そうと決まればさっさと調薬を終わらせて、勉強して寝ましょう。」
(頑張ってね。)
「明日、ヘーカーとアリ姉様のこと、全属性持ちの件は、どうしましょうか。」
(そうね。わたしの身内とメンガンダルには伝えてもいいと思うわ。ヤスオの成長を見れば信じると思うの。)
「俺の成長ですか?」
(そう。スライム4体と角ウサギ1体。それにゴブリン14体だから、F級を通り越して、E級下位まで昇級するわ。それをヤスオ一人の努力と聞いて誰が信じる?)
「そうか。むしろアリ姉さんの指導のおかげの方が説得力ありますね。事実そうだし。」
(あとはヘーカーの件も含めてメンガンダルが考えるわ。)
「考えてくれますかね?」
(考えるわよぉ。確か、貸しがあったわよね。)
「ありましたね。」
そうして夜も更けて、2人は眠りについた。
翌朝、陽が昇り周りが明るくなってきた頃。
ヤスオは目を覚まし、出していた荷物をすべて収納した。
(ねぇ。引き出しの中の物も持って帰るのでしょ。)
「ああ。そうでした。すっかり忘れていました。」
引き出しを開け中身を確認した。
(ちょっと何これ。腐っているじゃない。)
緑色の実が黄色に変わっていた。
その実を一つちぎり、皮をめくった。
(あら、中身は綺麗な白色ね。)
ヤスオは有無を言わさずそれを頬張った。
(えー、食べるの。ちょっと待って、心の準備が、美味しいわ。)
「やりました。成功です。やっぱりこれはバナナですね。」
(バナナ?甘くて美味しい。何で?どうなっているの?)
「わかりません。バナナは何日か置けば美味しくなるみたいです。これをアントの夢で販売できませんかね。」
(売れるわ。でかしたわ、ヤスオ。もしかして、あの渋柿も考えがあるのね。)
「はい。でもあれは時間がかかるので家に帰ってからになりますけど。」
こうしてすべてを収納し戸締まりをして、出かける。
街に帰る前に、河へ寄り道。
河に着くと昨日使った道具や器を水につけ洗う。
「トックンハイト」
生活魔法の乾燥魔法。やや強めの風が発生し、道具や器の水分を吹き飛ばす。
「ワーノン」
生活補助魔法の警告魔法。自身が想定していないものが範囲内に入ったら頭の中で警報が鳴る。
身につけているもの、すべてを脱いで河に飛び込む。
「ファキャスメテ。ライニゴン。」
生活魔法の運搬・洗浄魔法。運搬魔法で、装備品を浮かし川の上に移動。
洗浄魔法は、大きな水の球を浮かし、球が転がるような流れを作る。
その中へ、装備品を入れ洗浄する。
──ん?
水球の中に魚が紛れていた。魚は流れに逆らい必死に泳いでいる。
──がんばれぇ。
だが、流れに負け水球の中をクルクルまわり始めた。
まるで、ランニングホイールに巻き込まれたリスのようで、笑ってしまう。
(ヤスオ、言い忘れていたけど、生活魔法も制限あるからね。)
「えぇー、何でなんですか?」
(自分の属性を0にできないから。最大4種類なの。)
「えっ。じゃ、青魔力1以上の、運搬、回転、散水、洗浄の四種類だけですか?」
(よく勉強しているわね。その通りよ。それ以外は人前では使っては駄目よ。)
「じゃ、乾燥魔法は?」
(アウトよ。使わないでね。)
「そんなー。」
こんな手枷足枷を付けられ、魔法が使える意味があるのか疑問に思う。
身を清め、装備品の洗濯、乾燥が終わりいよいよ街に帰る。
アリアドネの案内で一刻程歩くと、森を抜けた。
森をぬけて少し歩くと、街に続く道にでる。
(あとは道なりよ。)
道の先にはレスボンの街が見えた。
「なんか、緊張します。」
(この一週間。色々あったからね。分からなくもないわ。)
「街に入ったら、まず何しましょうか。」
(そうね。東門から一番近いのは商店街だから、買い物しましょうか。お金、まだあるでしょ。)
「はい。教会で食べていましたから、あまり減っていません。」
(次に自宅に帰って荷物の整理をして、お昼ご飯かな。)
「なに食べます。」
(それは、商店街で決めましょう。昼からはアントの夢に行って、薬を引き取ってもらって、それから冒険者組合ね。すべてが終わったら、組合の食堂で一杯飲んで帰りましょう。ヤスオはいける口なの?)
「はい。前世では血液が酒になるほど飲んでいました。ここでは、初めてですが。楽しみですね。」
ヤスオは気分が高鳴り、足取りも軽くなっていた。
だが、一瞬で萎えた。
「止まれ。貴様、見ない顔だな。その格好は冒険者か。部外者が、この街に何のようだ。」
ヘーカーには腹が立つし、好きになれないし、やり返してやりたい。
だが、命まで取る気にはなれない。
次にヘーカーに会った時は、どうしようかと悩む。
それは先の話と思考を止めた。
「そういえば、殺しといえば以前から気になっている事があるのですが。」
(何?)
「スライムやゴブリンは魔石になるのに、角ウサギはそのままですよね。同じ魔物なのに何が違うのですか?」
(いまさら。・・まぁいいわ。それは、創造種と変異種の違い。創造種は悪魔族が魔石を媒体に作った魔物。変異種は、悪魔族の魔素を浴びて変異した魔物。)
「ああ。つまりスライムは死んだら元の魔石に戻り、角ウサギはウサギが変異したものだから、そのままですか。」
(そう。ちなみに変異種はウサギだけじゃないわよ。角の生えた猪や鹿や熊などもいるわ。)
「牡鹿は元々角があるのでは?」
(あら、そうね。角の形が違うのよ。枝分かれした角ではなくて真っすぐ伸びた角なの。)
「食べられるのですか?」
(死んだ時点で魔素は消失するから、上手に処理すれば食べられるわ。美味しいよ。)
「上手な処理?ですか。」
(冒険者組合で処理してもらえれば何も問題ないわ。)
「では、今収納されている角ウサギも美味しく頂けるのですね。」
(そういうこと。)
「そうと決まればさっさと調薬を終わらせて、勉強して寝ましょう。」
(頑張ってね。)
「明日、ヘーカーとアリ姉様のこと、全属性持ちの件は、どうしましょうか。」
(そうね。わたしの身内とメンガンダルには伝えてもいいと思うわ。ヤスオの成長を見れば信じると思うの。)
「俺の成長ですか?」
(そう。スライム4体と角ウサギ1体。それにゴブリン14体だから、F級を通り越して、E級下位まで昇級するわ。それをヤスオ一人の努力と聞いて誰が信じる?)
「そうか。むしろアリ姉さんの指導のおかげの方が説得力ありますね。事実そうだし。」
(あとはヘーカーの件も含めてメンガンダルが考えるわ。)
「考えてくれますかね?」
(考えるわよぉ。確か、貸しがあったわよね。)
「ありましたね。」
そうして夜も更けて、2人は眠りについた。
翌朝、陽が昇り周りが明るくなってきた頃。
ヤスオは目を覚まし、出していた荷物をすべて収納した。
(ねぇ。引き出しの中の物も持って帰るのでしょ。)
「ああ。そうでした。すっかり忘れていました。」
引き出しを開け中身を確認した。
(ちょっと何これ。腐っているじゃない。)
緑色の実が黄色に変わっていた。
その実を一つちぎり、皮をめくった。
(あら、中身は綺麗な白色ね。)
ヤスオは有無を言わさずそれを頬張った。
(えー、食べるの。ちょっと待って、心の準備が、美味しいわ。)
「やりました。成功です。やっぱりこれはバナナですね。」
(バナナ?甘くて美味しい。何で?どうなっているの?)
「わかりません。バナナは何日か置けば美味しくなるみたいです。これをアントの夢で販売できませんかね。」
(売れるわ。でかしたわ、ヤスオ。もしかして、あの渋柿も考えがあるのね。)
「はい。でもあれは時間がかかるので家に帰ってからになりますけど。」
こうしてすべてを収納し戸締まりをして、出かける。
街に帰る前に、河へ寄り道。
河に着くと昨日使った道具や器を水につけ洗う。
「トックンハイト」
生活魔法の乾燥魔法。やや強めの風が発生し、道具や器の水分を吹き飛ばす。
「ワーノン」
生活補助魔法の警告魔法。自身が想定していないものが範囲内に入ったら頭の中で警報が鳴る。
身につけているもの、すべてを脱いで河に飛び込む。
「ファキャスメテ。ライニゴン。」
生活魔法の運搬・洗浄魔法。運搬魔法で、装備品を浮かし川の上に移動。
洗浄魔法は、大きな水の球を浮かし、球が転がるような流れを作る。
その中へ、装備品を入れ洗浄する。
──ん?
水球の中に魚が紛れていた。魚は流れに逆らい必死に泳いでいる。
──がんばれぇ。
だが、流れに負け水球の中をクルクルまわり始めた。
まるで、ランニングホイールに巻き込まれたリスのようで、笑ってしまう。
(ヤスオ、言い忘れていたけど、生活魔法も制限あるからね。)
「えぇー、何でなんですか?」
(自分の属性を0にできないから。最大4種類なの。)
「えっ。じゃ、青魔力1以上の、運搬、回転、散水、洗浄の四種類だけですか?」
(よく勉強しているわね。その通りよ。それ以外は人前では使っては駄目よ。)
「じゃ、乾燥魔法は?」
(アウトよ。使わないでね。)
「そんなー。」
こんな手枷足枷を付けられ、魔法が使える意味があるのか疑問に思う。
身を清め、装備品の洗濯、乾燥が終わりいよいよ街に帰る。
アリアドネの案内で一刻程歩くと、森を抜けた。
森をぬけて少し歩くと、街に続く道にでる。
(あとは道なりよ。)
道の先にはレスボンの街が見えた。
「なんか、緊張します。」
(この一週間。色々あったからね。分からなくもないわ。)
「街に入ったら、まず何しましょうか。」
(そうね。東門から一番近いのは商店街だから、買い物しましょうか。お金、まだあるでしょ。)
「はい。教会で食べていましたから、あまり減っていません。」
(次に自宅に帰って荷物の整理をして、お昼ご飯かな。)
「なに食べます。」
(それは、商店街で決めましょう。昼からはアントの夢に行って、薬を引き取ってもらって、それから冒険者組合ね。すべてが終わったら、組合の食堂で一杯飲んで帰りましょう。ヤスオはいける口なの?)
「はい。前世では血液が酒になるほど飲んでいました。ここでは、初めてですが。楽しみですね。」
ヤスオは気分が高鳴り、足取りも軽くなっていた。
だが、一瞬で萎えた。
「止まれ。貴様、見ない顔だな。その格好は冒険者か。部外者が、この街に何のようだ。」
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