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61.骸骨
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西の森には拠点と呼ばれる場所が多く点在していた。
拠点とは冒険者達が、安全に休憩をとるために切り開き作った場所で、そこでは火を使っても燃え広がる心配はない。場所によって形は違うが、多くは大きな石を円形状に並べ簡単な壁を設置し、数人が入る小さな空間を作る。その中央に底の浅い鉄の器が置いてあり、器の中で焚火をする。
陽も暮れてきたので、ヤスオは近くの拠点に移動し、辺りを見渡す。その場所には人の気配がなく、誰もいないようだ。ヤスオは大きな石を乗り越え開けた空間に侵入する。誰かが焚火をした形跡があり、薪も多く放置されている
ヤスオはそこに火を入れ、焚火を起こすと、調薬を始めた。夜も更けてきて、その日の調薬の材料がなくなり、ヤスオは寛いでいた。
「誰も、きませんね。」
開けた場所なので、何かが近づけば気配で分かる。石の壁があるので、いきなり襲われる心配もない。ヤスオはこんな良い場所に誰も来ないのが不思議だった。
拠点は昼間、休憩するのに使う場所で、冒険者はみんな、日帰りで行動する。
森で寝泊まりするのは自殺行為だとアリアドネは説明した。
──ん?自殺行為?
「アリ姉様、なんちゅうことを、俺にやらせるのですか。」
(大丈夫よ。ヤスオには警告魔法があるでしょ。襲われる前に気づくでしょ。)
「だったら、すぐに警告魔法を使います。」
ヤスオは無詠唱で警告魔法を使うと、いきなり警告音が頭の中に鳴り響く。探知魔法で周りの状況を確認した。周りには魔物が、ウジャウジャいた。暗視魔法を使い、石の隙間から周りを見渡すと、すでに視認できる位置に近づいていた。
「アリ姉様。完全に囲まれています。」
(何か、分かる?)
「人の形をしているようですが、なんか変です。」
(あれは、骸骨よ。小鬼よりランクが上の魔物だけど、それは剣を持っているからで、動きは小鬼より遅いわ。)
──骸骨…スケルトンか。
(バラバラにしないと死なないから、突くより、頭から振り下ろして、真二つにした方が効率いいわよ。)
ヤスオは収納袋からショートソードを出し、身体、防具、武器の強化魔法をかけた。
(完全に囲まれる前に、こちらから奇襲をかけ、潰していくわよ。)
ヤスオはアドバイス通り、焚火をおとりにして、石を乗り越えてその場を離れ、まず東側に潜むスケルトンに奇襲をかけた。数体に切り込み、風魔法の竜巻魔法で上空に吹き飛ばし地面にたたきつけ魔石に戻した。それでも数体のスケルトンを魔石に戻しただけで、数としては、たいして減らしたわけではなく、すぐに取り囲まれた。
「アリ姉さん。変です。」
(どうしたの?まだ、始まったばかりよ。)
「ここらにいる骸骨は、全部メスです。骸骨はメスしかいないのですか。」
(はあぁぁ?骸骨に性別があるの?)
膨らみがなければ、くびれもない。ましてや聖武器もないのに、どうやってメスだと分かるのか?
──まさか、骸骨相手に欲情したの?変態?
唯一の理解者であるアリアドネにすら、疑われている。そもそも、スケルトンのどこを見て欲情するのかが、分からない。
(ひょっとして、ヤスオは骨が好きなの?)
「まさか。犬じゃあるまいし。」
とりあえず戦闘続行。アリアドネの指摘通り、スケルトンの動きはとても遅く、盾で受ける必要もないくらい、簡単に避けることができた。だが、なかなか死なない。何度も切りつけてバラバラにしないと、魔石には戻ってくれなかった。魔法の効果も薄く、森の中なので火魔法は使えず、土や水魔法は多少の効果はあるが、一撃で倒せない。
風魔法で、吹き飛ばしてもすぐに立ち上がってくる。唯一、竜巻魔法で上空高く飛ばして、地面に叩きつけるのが効果的だった。
しかし、竜巻魔法は魔力を6消費する魔法で乱発するにはしんどい。
結果、一体ずつ体力にまかせて、ひたすら切りつけ、それ以外の近づく個体は風魔法で吹き飛ばした。
「あ、あれ?こいつオスだ。」
(どうしてわかるの?何が違うの?)
戦闘は四半刻を超え、スケルトンの数も減ってきた。だが、北と南に潜んでいた奴らが、焚火のおとりに気付き、進路を変えて、援軍となり到着した。さらに、西に潜んでいた奴らもこちらに向かってきているのが見える。
戦闘はさらに激化し、ヤスオは何度もスケルトンに切りつけられた。その都度、治癒魔法をかけ回復して戦闘を続けた。
半刻が過ぎると、両腕に手枷をかけられ、子泣き爺が背中に乗っているかのような感覚におちいった。
「アリ姉さん。やばいです。もう立っているのもしんどいです。」
(仕方ないわね。飛翔魔法で木の上に逃げなさい。)
──その手があった。
ヤスオはすぐに木の上に飛び、適当な枝に座った。そこで、しばらく休憩をとることにする。足元には、うじゃうじゃとスケルトンがうごめいている。中には木に登ろうとする者もいたが、たいていの奴は滑り落ちていた。それでもスケルトンにも器用な奴がいるらしく途中まで登ってきた奴がいた。そんな奴は、風魔法で吹き飛ばす。
他には石を投げてくる個体もいた。だが、ヤスオまで遠く及ばず、落ちた石が別の個体に当たり、その個体は隣の個体に殴られたと勘違いして殴り返していた。スケルトンも喧嘩するらしい。
「美味い。高いだけあって、おいしいですね。」
(こんな時にオクレツを、食べなくてもいいでしょう。)
「いいじゃないですか。もう一個あるし。高いところで高い物を食べる。風流ですねぇ。」
(ダジャレが言いたいだけで、高い物を食べないでよ。もったいない。もう一個は、大事にしてよ。)
気の抜けない休憩を、それなりに楽しんでいた。
「スケルトンなど、魔物は魔法を使わないのですか?」
(魔物にも階級があって、スケルトンは、G級上位。ヤスオより階級は上だけど、魔法は使えない。)
魔物の階級のG級は、魔法が使えない。F級以上になると魔法を使う者もいるが、すべてが使う訳では、ないらしい。ちなみにスライムやアルミラージはG級下位で、ゴブリンがG級、スケルトンがG級上位で、それぞれ討伐の点数が違うのだと。
魔物の階級はその危険度を示したもので、冒険者の階級とは、別物である。例えば、B級の冒険者がB級の魔物に単騎で討伐できるかと言うと、まず無理で、その場合、冒険者が殺されてしまう。
一刻ほど経過したが、スケルトンは引きあげる様子がない。
ヤスオの体力と魔力は、ある程度まで回復していた。
「アリ姉様、どうしましょう。そろそろ2回戦と行きましょうか。」
拠点とは冒険者達が、安全に休憩をとるために切り開き作った場所で、そこでは火を使っても燃え広がる心配はない。場所によって形は違うが、多くは大きな石を円形状に並べ簡単な壁を設置し、数人が入る小さな空間を作る。その中央に底の浅い鉄の器が置いてあり、器の中で焚火をする。
陽も暮れてきたので、ヤスオは近くの拠点に移動し、辺りを見渡す。その場所には人の気配がなく、誰もいないようだ。ヤスオは大きな石を乗り越え開けた空間に侵入する。誰かが焚火をした形跡があり、薪も多く放置されている
ヤスオはそこに火を入れ、焚火を起こすと、調薬を始めた。夜も更けてきて、その日の調薬の材料がなくなり、ヤスオは寛いでいた。
「誰も、きませんね。」
開けた場所なので、何かが近づけば気配で分かる。石の壁があるので、いきなり襲われる心配もない。ヤスオはこんな良い場所に誰も来ないのが不思議だった。
拠点は昼間、休憩するのに使う場所で、冒険者はみんな、日帰りで行動する。
森で寝泊まりするのは自殺行為だとアリアドネは説明した。
──ん?自殺行為?
「アリ姉様、なんちゅうことを、俺にやらせるのですか。」
(大丈夫よ。ヤスオには警告魔法があるでしょ。襲われる前に気づくでしょ。)
「だったら、すぐに警告魔法を使います。」
ヤスオは無詠唱で警告魔法を使うと、いきなり警告音が頭の中に鳴り響く。探知魔法で周りの状況を確認した。周りには魔物が、ウジャウジャいた。暗視魔法を使い、石の隙間から周りを見渡すと、すでに視認できる位置に近づいていた。
「アリ姉様。完全に囲まれています。」
(何か、分かる?)
「人の形をしているようですが、なんか変です。」
(あれは、骸骨よ。小鬼よりランクが上の魔物だけど、それは剣を持っているからで、動きは小鬼より遅いわ。)
──骸骨…スケルトンか。
(バラバラにしないと死なないから、突くより、頭から振り下ろして、真二つにした方が効率いいわよ。)
ヤスオは収納袋からショートソードを出し、身体、防具、武器の強化魔法をかけた。
(完全に囲まれる前に、こちらから奇襲をかけ、潰していくわよ。)
ヤスオはアドバイス通り、焚火をおとりにして、石を乗り越えてその場を離れ、まず東側に潜むスケルトンに奇襲をかけた。数体に切り込み、風魔法の竜巻魔法で上空に吹き飛ばし地面にたたきつけ魔石に戻した。それでも数体のスケルトンを魔石に戻しただけで、数としては、たいして減らしたわけではなく、すぐに取り囲まれた。
「アリ姉さん。変です。」
(どうしたの?まだ、始まったばかりよ。)
「ここらにいる骸骨は、全部メスです。骸骨はメスしかいないのですか。」
(はあぁぁ?骸骨に性別があるの?)
膨らみがなければ、くびれもない。ましてや聖武器もないのに、どうやってメスだと分かるのか?
──まさか、骸骨相手に欲情したの?変態?
唯一の理解者であるアリアドネにすら、疑われている。そもそも、スケルトンのどこを見て欲情するのかが、分からない。
(ひょっとして、ヤスオは骨が好きなの?)
「まさか。犬じゃあるまいし。」
とりあえず戦闘続行。アリアドネの指摘通り、スケルトンの動きはとても遅く、盾で受ける必要もないくらい、簡単に避けることができた。だが、なかなか死なない。何度も切りつけてバラバラにしないと、魔石には戻ってくれなかった。魔法の効果も薄く、森の中なので火魔法は使えず、土や水魔法は多少の効果はあるが、一撃で倒せない。
風魔法で、吹き飛ばしてもすぐに立ち上がってくる。唯一、竜巻魔法で上空高く飛ばして、地面に叩きつけるのが効果的だった。
しかし、竜巻魔法は魔力を6消費する魔法で乱発するにはしんどい。
結果、一体ずつ体力にまかせて、ひたすら切りつけ、それ以外の近づく個体は風魔法で吹き飛ばした。
「あ、あれ?こいつオスだ。」
(どうしてわかるの?何が違うの?)
戦闘は四半刻を超え、スケルトンの数も減ってきた。だが、北と南に潜んでいた奴らが、焚火のおとりに気付き、進路を変えて、援軍となり到着した。さらに、西に潜んでいた奴らもこちらに向かってきているのが見える。
戦闘はさらに激化し、ヤスオは何度もスケルトンに切りつけられた。その都度、治癒魔法をかけ回復して戦闘を続けた。
半刻が過ぎると、両腕に手枷をかけられ、子泣き爺が背中に乗っているかのような感覚におちいった。
「アリ姉さん。やばいです。もう立っているのもしんどいです。」
(仕方ないわね。飛翔魔法で木の上に逃げなさい。)
──その手があった。
ヤスオはすぐに木の上に飛び、適当な枝に座った。そこで、しばらく休憩をとることにする。足元には、うじゃうじゃとスケルトンがうごめいている。中には木に登ろうとする者もいたが、たいていの奴は滑り落ちていた。それでもスケルトンにも器用な奴がいるらしく途中まで登ってきた奴がいた。そんな奴は、風魔法で吹き飛ばす。
他には石を投げてくる個体もいた。だが、ヤスオまで遠く及ばず、落ちた石が別の個体に当たり、その個体は隣の個体に殴られたと勘違いして殴り返していた。スケルトンも喧嘩するらしい。
「美味い。高いだけあって、おいしいですね。」
(こんな時にオクレツを、食べなくてもいいでしょう。)
「いいじゃないですか。もう一個あるし。高いところで高い物を食べる。風流ですねぇ。」
(ダジャレが言いたいだけで、高い物を食べないでよ。もったいない。もう一個は、大事にしてよ。)
気の抜けない休憩を、それなりに楽しんでいた。
「スケルトンなど、魔物は魔法を使わないのですか?」
(魔物にも階級があって、スケルトンは、G級上位。ヤスオより階級は上だけど、魔法は使えない。)
魔物の階級のG級は、魔法が使えない。F級以上になると魔法を使う者もいるが、すべてが使う訳では、ないらしい。ちなみにスライムやアルミラージはG級下位で、ゴブリンがG級、スケルトンがG級上位で、それぞれ討伐の点数が違うのだと。
魔物の階級はその危険度を示したもので、冒険者の階級とは、別物である。例えば、B級の冒険者がB級の魔物に単騎で討伐できるかと言うと、まず無理で、その場合、冒険者が殺されてしまう。
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