奥様はご主人様

東門 大

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第二章 美沙の視点

第四話 完全な服従と快楽の管理(1)

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 ある日、SNSで射精を長期間抑制することによる健康被害の可能性を知った。

 私の大事な家畜が壊れてしまっては興奮も削がれる。

 そう考えた私は、週に一度、何らかの理由をつけては「射精大会」と名付けて、精液を搾ることを許可することにした。

 祝日でも給料日でも、理由は私の気分次第で何でもよかった。

 初めは、私の目の前で自慰に耽るよう命じた。

「おまえの醜い体を鏡でよく見ながら、そこでやりなさい」 

 私の冷徹な命令に従い、豚は鏡の前で立ったままオナニーを始めた。

 リビングで、自身の醜悪な肉体を震わせ、ペニスを弄る健太の姿は、滑稽そのものだった。

 しかし、その行為はあまりに呆気なかった。三十秒と経たぬうちに、彼は無様に果てた。

「……早すぎるわ。まだ許可してないのに!出しちゃダメでしょう! どうしてこんなに無能なの?」  

 健太は床に額を擦り付け、消え入るような声で弁解した。日頃の蓄積に加え、常に私から受ける支配的な刺激によって、脳が限界を迎えているのだという。  

 二回目の「射精大会」は、一回目の反省から、より残酷な「焦らし」を導入した。

 絶頂の淵にまで追い込み、精液が溢れ出す寸前で「待て」と命じ、快楽を強制停止させるのだ。

 射精の衝動に抗い、全身をひくひくと痙攣させながら耐えるその惨めな様は、私を深く愉悦させた。  

 それは、獲物の命を弄ぶような一種のゲームだった。だが、そんな単調な遊びも、繰り返すうちに飽きがくる。

 豚の幼稚な快楽に付き合ってやるほど、私はお人好しではない。

「やっぱり、お前の射精を見ててもつまんないわ。恥ずかしげもなく醜い肉を揺らして、自分だけ快感を得ようとする。見てるこっちの気分が悪くなる。焦らしてやる価値さえないわね」

 その言葉に、豚は絶望的な恐怖を浮かべた。

 自らの欲望さえ、もはや娯楽にすらならない。捨てられることを恐れ、震える豚に私は告げた。 

「今日からは、お前の勝手な慰みなんて禁止。そこに跪きなさい」 

 私はソファでスマートフォンを操作しながら、黒いストッキングに包まれた脚を差し出した。 

「ほら、ストッキングの脛や膝に、その汚いものを擦り付けなさい。私の脚とセックスできるのよ。うれしいでしょう?」 
「脚のマッサージをしながら、勝手に果てればいいわ。いい? 私はお前のオナニーなんて興味ないから。お前はただ、私の脚を癒やすための『動く道具』になりなさい」

 それは究極の屈辱だったはずだ。

 かつての妻の脚元に這いつくばり、靴磨きのブラシのように腰を振る。私はその顔など一度も見ない。

 時折、マッサージ器に注文をつけるような無機質な声を出すだけだ。 「そこ、もっと強く押し当てて」 豚が限界を迎え、無様な喘ぎ声を上げても、私の視線はスマートフォンの画面から動かさない。

 精液を撒き散らそうと、それは「機械から油が漏れた」程度の出来事でしかない。

 行為の最中、私は不意にスマートフォンを豚に向けた。 

「ほら、これを見てごらんなさい。今のお前の姿よ」 

 画面に映し出されたのは、醜い肉塊を揺らしながら一心不乱に女性の膝に縋り付く、おぞましい家畜の姿だ。

 客観的な視点から突きつけられた自らの醜態。その絶望的な恥辱こそが、この豚をさらに激しく昂ぶらせる。

「奴隷豚」として記録され、それを主人に見せつけられる屈辱。

 それがこの男の理性を完全に焼き切った。 それでも、射精を許されるだけこの豚は幸福なのだ。

 私の気まぐれで「もういいわ」と言われれば、絶頂を奪われたまま悶え苦しむことになる。

 ある時、私の言葉に従えず勝手に射精した際には、お尻が真っ赤に腫れ上がるまで激しく鞭打ってやった。

 当然、豚はその間中、謝り続けていた。

 物理的な痛み以上に、その後の数週間にわたって一切の「射精大会」を禁じられたことが、この家畜には何よりの懲罰となったようだ。

 自分は私の慈悲によってのみ存在を許されている家畜であり、私の言葉は絶対的な掟なのだと、改めて思い知ったことだろう。
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