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番外編 裕二
第一話 美沙のいない家(1)
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美沙様が裕二と結婚して二か月ほど経ったころ、僕は美沙様に呼ばた。
また何か新しい遊びを与えてくれるのではないかと期待する僕に、美沙様は告げた。
「健太。私の父さんが入院することになったのよ。母さんは認知症が始まっているでしょう? だから一か月くらい実家に帰るから。その間、家事をやってね。裕二は何もできないから。あと、ブーブー鳴くだけじゃ裕二に用件が伝わらないから、私がいない間だけは『人間』として家にいていいわ」
美沙様はそう言い終えると、僕の腰に手を伸ばし、貞操帯を外した。
「これをつけてちゃ困るでしょ。でも、勘違いしちゃだめよ」
美沙様は、僕の胸に焼きつけられた『豚』という屈辱的な焼き印を冷たい指でなぞりながら、至近距離で囁いた。
「お前は、私の所有物……奴隷豚だってこと、忘れないで」
「細かい指示はこれに書いたから」
彼女はそう言い残すと、メモを僕の手に押しつけ、実家へと発っていった。
こうして、裕二様と僕だけの、逃げ場のない一か月の生活が始まった。
裕二様と二人きりで過ごす空間は、耐えがたいほどの違和感しかなかった。
美沙様という主人が不在になれば、僕たちはただの他人だ。元夫と現夫という歪な関係でしかなく、言葉を交わす友人ですらない。
「『人間』として家にいていいわ」 と言われたが、美沙様のメモの第一条には、 『立場を分からせるため、家の中では一切の衣服を禁ずる』 と書かれてあった。そして第二条には『家事一切、そして裕二の面倒をみること』とも
全裸で掃除機をかけ、家事をこなす自分の姿が、リビングの窓や鏡に映るたびに、僕は激しい羞恥に震えた。
実はこの時点で、僕はこれまで着けていたマスクを外されていた。
裕二が「表情が見えないと、何を考えているのか分からなくて怖い」と美沙様に言ったのが理由だった。
しかし、今の僕にとって素顔を晒すことは、人間としての自尊心を剥き出しにされるようで、言葉にできないほどの抵抗があった。
さらに屈辱的だったのは、美沙様が放った一言だった。 「マスクを外すと、人間っぽさが出て豚感がなくなるから。代わりにふさわしい格好にしましょう」
その言葉通り、僕は美沙様の手によって、頭髪を一本残らず剃り落とされた。
かつての僕は、自分の「さらさらとした髪」と、周囲から「かわいい」と言われることもあった「ぽっちゃりとした顔立ち」を、密かに気に入っていた。
それは、僕の中に残された数少ない、人間としての肯定的な自己イメージだった。
美沙様が家を出て一週間くらいたったころ、僕が前かがみになってテーブルの下を掃除していたときだった。
背後から伸びてきた大きな手に、両方の乳房を力任せに掴まれた。
「あー、やっぱり気持ちいいな、これ」
裕二だった。
あまりの衝撃と羞恥に、僕は声も出せなかった。痴漢に襲われる女性の気持ちはきっとこんなだろう。
彼は僕の腹の肉を卑猥に揉みしだき、さらに尻をねっとりと撫でまわした。
「俺、そっちの気はないと思ってたけど、健ちゃんは別格だわ。この白い肌、デカい尻。腹ももみ応えがあって、おまけに巨乳。男にしておくのはもったいねえよ」
裕二が僕を見る目は、以前から気になってはいた。彼は性的な対象として、僕を観察していたのだ 。
「やっ、やめて……っ!」
僕はレイプされるような恐怖に突き動かされ、無我夢中でその手を振り払った。
すると裕二は、真っ赤な顔で震える僕を見て、ケラケラと笑い出した。
「うそうそ、冗談だよ! 冗談!」
「ごめんよ。おれにはブーちゃんとやる趣味はないよ」
だけど、冗談とは思えなかった。
それからの裕二は、僕を一層観るようになったからだ 。
男に弄ばれる屈辱に、僕は唇を噛みしめるしかなかった。
また何か新しい遊びを与えてくれるのではないかと期待する僕に、美沙様は告げた。
「健太。私の父さんが入院することになったのよ。母さんは認知症が始まっているでしょう? だから一か月くらい実家に帰るから。その間、家事をやってね。裕二は何もできないから。あと、ブーブー鳴くだけじゃ裕二に用件が伝わらないから、私がいない間だけは『人間』として家にいていいわ」
美沙様はそう言い終えると、僕の腰に手を伸ばし、貞操帯を外した。
「これをつけてちゃ困るでしょ。でも、勘違いしちゃだめよ」
美沙様は、僕の胸に焼きつけられた『豚』という屈辱的な焼き印を冷たい指でなぞりながら、至近距離で囁いた。
「お前は、私の所有物……奴隷豚だってこと、忘れないで」
「細かい指示はこれに書いたから」
彼女はそう言い残すと、メモを僕の手に押しつけ、実家へと発っていった。
こうして、裕二様と僕だけの、逃げ場のない一か月の生活が始まった。
裕二様と二人きりで過ごす空間は、耐えがたいほどの違和感しかなかった。
美沙様という主人が不在になれば、僕たちはただの他人だ。元夫と現夫という歪な関係でしかなく、言葉を交わす友人ですらない。
「『人間』として家にいていいわ」 と言われたが、美沙様のメモの第一条には、 『立場を分からせるため、家の中では一切の衣服を禁ずる』 と書かれてあった。そして第二条には『家事一切、そして裕二の面倒をみること』とも
全裸で掃除機をかけ、家事をこなす自分の姿が、リビングの窓や鏡に映るたびに、僕は激しい羞恥に震えた。
実はこの時点で、僕はこれまで着けていたマスクを外されていた。
裕二が「表情が見えないと、何を考えているのか分からなくて怖い」と美沙様に言ったのが理由だった。
しかし、今の僕にとって素顔を晒すことは、人間としての自尊心を剥き出しにされるようで、言葉にできないほどの抵抗があった。
さらに屈辱的だったのは、美沙様が放った一言だった。 「マスクを外すと、人間っぽさが出て豚感がなくなるから。代わりにふさわしい格好にしましょう」
その言葉通り、僕は美沙様の手によって、頭髪を一本残らず剃り落とされた。
かつての僕は、自分の「さらさらとした髪」と、周囲から「かわいい」と言われることもあった「ぽっちゃりとした顔立ち」を、密かに気に入っていた。
それは、僕の中に残された数少ない、人間としての肯定的な自己イメージだった。
美沙様が家を出て一週間くらいたったころ、僕が前かがみになってテーブルの下を掃除していたときだった。
背後から伸びてきた大きな手に、両方の乳房を力任せに掴まれた。
「あー、やっぱり気持ちいいな、これ」
裕二だった。
あまりの衝撃と羞恥に、僕は声も出せなかった。痴漢に襲われる女性の気持ちはきっとこんなだろう。
彼は僕の腹の肉を卑猥に揉みしだき、さらに尻をねっとりと撫でまわした。
「俺、そっちの気はないと思ってたけど、健ちゃんは別格だわ。この白い肌、デカい尻。腹ももみ応えがあって、おまけに巨乳。男にしておくのはもったいねえよ」
裕二が僕を見る目は、以前から気になってはいた。彼は性的な対象として、僕を観察していたのだ 。
「やっ、やめて……っ!」
僕はレイプされるような恐怖に突き動かされ、無我夢中でその手を振り払った。
すると裕二は、真っ赤な顔で震える僕を見て、ケラケラと笑い出した。
「うそうそ、冗談だよ! 冗談!」
「ごめんよ。おれにはブーちゃんとやる趣味はないよ」
だけど、冗談とは思えなかった。
それからの裕二は、僕を一層観るようになったからだ 。
男に弄ばれる屈辱に、僕は唇を噛みしめるしかなかった。
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