交通量調査物語

がしげげ

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17、篠田さんとの再開

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ブーン。

ブーン。ブーン。

携帯のバイブ音で目が覚めた。

朝か…
そうだ、昨日は調査で明日も調査。
そして、集合は今夜…
サラリーマンではないが、まぁまぁ忙しい自分に少し酔っていた。

ブーン。ブーン。

そうだ、電話電話。

電話は学生時代の友人、安部だ。
あ、合コンのことか?

「もしもし、前田??来週の合コン、どうかなと思って。」

やはりそのことだったか。

「ごめんごめん、返事出来てなくて。折角やから参加させてもらおうかな。」

来週は調査の話も無かったので、とりあえずOKした。

「助かるわ~!3対3で、男は俺の同僚。女性陣の1人も同僚で、あとの2人はその子の友人。保育士らしいわ!」

自分以外はみんな定職か…

「会費は7千円、水曜の19時に梅田の「鳥大臣」で集合な!」

「了解。楽しみにしてるわ~。」

「おう、よろしく!」

合コンの予定が決定した。
自分も男だ。
正直楽しみな部分がある。
ただ、迷いと不安もある。

1つは篠田さんの存在だ。
付き合っている訳ではなく、恋かどうかも分からないが、気になっているのだけは否めない。
浮気ではないが、浮気をしているかのような罪悪感を感じていた。

もう1つは、自分の職業だ。
無職とは言えないし、交通量調査員とも言えない。
何より、安部にも先日「事務系の仕事」と嘘をついている。
その嘘を貫き通せるか、の不安と後ろめたさがあったのだ。

最後に会費だ。
7千円は痛い…

だが、合コンはもう決定。
なんとかするしかない。



昼御飯を家にあるもので簡単に済ませた僕は、近くのホームセンターに向かった。

蚊取り線香と安い懐中電灯、安いストップウォッチを買った。
調査中の蚊対策、夜対策だ。

そして、ストップウォッチは時間対策。
時計代わりとして高橋チームは全員持っていた。

その他は節約のためにも寄り道せず帰宅。

帰宅した僕は数日ぶりに就活サイトを眺めていた。

・リフォームの営業
・食品メーカーの製造スタッフ
・トラックドライバー
・警備会社の総合職

特別な資格など持っていればもっと職種は広がるのだろうが、僕は特別な資格もスキルももっていない。
でもこだわりはある。

・完全週休二日制
・残業少なめ
・転勤なし
・退職金制度あり

求人検索の時は必ずこの条件を設定している。
贅沢言い過ぎなのだろうか…

自分の考えが甘いという可能性はどこかで感じつつも、最終的には「今は自分の興味ある求人が無い」と、タイミングのせいにして片付けていた。



気がつけば外は薄暗くなっていた。
親が用意してくれた晩御飯を食べ、仮眠。

22時30分。

スマホのアラームで起きた僕はシャワーを浴び、急いで梅田に向かった。

23時30分。

仕事帰りの人、飲み帰りの人がちらほらと見られる中、異様に人が集まった場所が見える。

調査員の集合場所だ。

小島氏、高橋氏、柏木氏、須田氏。

もうすでにお馴染みの顔になりつつある先輩達の顔が見えた。

「お、前田くん!今日はこっちな!山本さんの車で!」

ふと目をやると、そこには30台前半ぐらいの男性が居た。
綺麗に刈り上げられた髪型、引き締まった顔立ち、黒淵メガネ。
インテリ感が漂うその雰囲気は、高橋氏にも負けない「しっかりしてる感」があった。

「前田くん、よろしく~。とりあえず、車乗っといて。他のみんなはもう乗ってるから。」

山本さんが指差した先には、これまたお馴染みの白いハイエースが停まっている。

「分かりました。よろしくお願いします。」

僕は新たな出会いの直後で少し動揺していたのか、肝心なことを忘れていた。

ガラガラガラ。
後部座席のスライドドアを開けた。

「おつかれさ~ん。」
「お、よろしく~。」

中に乗っている山本チーム調査員の人達から挨拶だ。

「よ、よ、よろしくお願いします!」

焦り丸出しだったが、反射的に挨拶を返せていたようだ。
ただ、僕の目線は一点に集中したままだった。

「こんばんわ。」

男性調査員の加齢臭が立ち込める中、眩しいくらいに浮き上がって見える若い女性。

篠田さんとの待ちに待った再開だった。







    
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