メタバース世界が利権まみれなので、既得権益を打破します!

曽我雪政

文字の大きさ
18 / 22

018. 私をお空へ連れてって

しおりを挟む
——電子世界・商丘帝国
「このメタ世界からイルミナート政権は消え去ったのよね」
「まだオープン世界メタバースから消え去った訳じゃないけどね」
「まあ、管理者アドミン権限を奪ったのは大きいよね」
 この世界の管理者アドミニストレータ―権限は、倒した人に移るようになっている。従って、管理者を倒した私に権限が転がり込んできたのである。それでいいのかよ。
「こうしてメタ世界は平和になりましたとさ、おしまい」
 そう言いたい所であったが、新たな脅威が現れた。
「最近相次ぐ飛行機墜落事件の犯人から電信です」
 直接話があるのかと思えば、一方的な音声メッセージであった。
「我が名はユミ、本日24時までに管理者権限の譲渡か、もしくは結婚を要求する」
 いきなり無茶な要求である。
「さもなくば『空の民』一同を挙げて、貴様の身柄を確保する」

「はぁ?」
 真っ先に声を挙げたのはミコであった。
「マサのお嫁はこの私ですが?」
 もう1人の妻・ユキノの存在を忘れているのはさておき。
「こうなったら、逆に叩き潰してやるわよ!!! 全員準備しなさいっ!!!」
 殆どミコの一存により、正体も分からない『空の民』との戦いが幕を開けた。
「まずはマサの身柄を先に確保するわよ」
 何を言い出したかと思えば、ミコはいきなり私を連れ出して家に軟禁した。行動が早すぎる。
「次は不届き者を成敗しに行くわよ!!!」
「索敵機、全機発進っ!!!」
 電信が来たのは西の方面から。という訳で、先の戦争に使って大量に余っている戦闘機を索敵に運用し始めた。
「相次いで墜落している部隊があります」
「そこよ、そこにロケットを撃ち込んで!!!」
 最新鋭の兵器であるロケットを使い、『空の民』を撃破しようとするミコ。しかしその思惑は大いに外れた。
「ロケットを後方から確認、間もなく目標地点に……あっ!?」
「戦闘機よりも更に上空から、岩のようなものが落ちてきています」
「直径50cmほどの岩が次々落ちてきています、我が機も被弾っ……」
 こうして討伐作戦の結果が出ないまま、24時間が経った。

管理者アドミン権限も結婚も選ばなかったため、今宵、マサの身柄を確保する」
 この音声メッセージが届くと同時に、家の中で物音がした。
「やあ、こんばんは」
 知らない女の子が現れた。赤いドレスに身を包んだ金髪赤眼の少女。
「貴女が、今から私を連れ去るというユミさん?」
「そうよ」
 ずっと監禁されるのも気に食わないし、ちょっと連れ去られてみよう。それに、あとでミコがゴネる姿も見てみたい。
「是非連れ去って頂けたら」
 そう返答すると、ユミは驚きながらも言う。
「『私をお空スカイへ連れてって』という訳ね」
 透明化により堂々と警戒の輪を潜り抜け、ユミが乗ってきた乗り物まで辿り着く。
「これは……?」
 玉ねぎ型UFOと言えば良いのだろうか。極北の国にありそうなデザインのUFOである。子供のお絵描きによくあるロケットにも近い形である。
「これに乗って、空まで行くわよ」
 ユミの操縦する玉ねぎ型UFOは、外から見れば狭いのに、中はとても広かった。


——現実世界・マサの家
「ねぇ?」
 ちょっとムスっとした顔で話しかけてくるミコ。十中八九『わざと連れ去られた事への文句』なのだろうけれど。
「どうしたの?」
「どうしたのも何も、わざと連れ去られるってどういうつもり?」
 ニコニコした顔で話しかけてくるのが若干怖い。
「これは罰ゲームですよね? ね?」
 有無を言わさず私に頷かせるミコ。
「今日は私じゃないわよ」
 ミコじゃない? と不思議に思っていると、インターホンの音が聞こえる。
「既に呼んであるわよ」
 何それ怖い。タイキックでもされるのだろうか。
「はーい」
 ミコのウキウキ声も相まって、とても怖い。
 扉の先に居たのは……雪乃だった。
「今日は雪乃ちゃんとデートして貰います!!!」
「えっ?」
 2人してハモってしまった。どうやら雪乃も聞かされていなかったらしい。
「雪乃ちゃんはマサを私に譲ってくれたのよねー。でも、遠慮する必要はないわよ!!!」
 雪乃がポカーンとする中、ミコは私を扉から追い出して言う。
「2人で楽しんでいらっしゃーいっ」
 バタンという音と共に扉が閉じられ、鍵を掛ける音もする。
「……どうする?」
「締め出されちゃったし……ミコちゃんの言うようにデートでも?」
 雪乃の提案に乗ろう。しかし、どこが良いだろうか。
地主じしゅ神社に行ってみたいな」
 うん。この流れどこかで見た事がある気がする。そんな事を考えながらも、私たち2人は市バスの清水道から歩き始めた。
 地主神社は、清水寺の一角にある良縁祈願の神社である。
「あそこには恋占いの石っていうのがあってね」
 ここも何か聞いたような。
「石から石へと目を閉じて辿り着けると、ご利益があるらしいの」
 そういう訳で、清水寺境内の地主神社まで行く事となった。
「……どこ?」
 今度は神社自体が見つからないという困った事態になった。暫く探していると、音羽の滝より少し戻った所に神社があった。
「こんな所に……」
 清水寺は何度か来た事があったが、この神社に来るのは初めてである。
 観光客の多い中、雪乃は恋占いの石に挑戦する。
「ちょっと右よ」
「いや、左」
 周りから教えても良いとされているあたり、スイカ割りの元ネタなのではとも思う。
「着いたわ!!!」
 結局1分もせずに達成してしまった。
「この石、早く到達すればするほど、早く恋が成就するんだって」
 初めて聞いた話である。
「御神籤には『良い人です信じなさい』ってあったのよねー」
 何だか上機嫌な雪乃。
「……という訳で、貴方を信じます!!!」
 えっ。
 ミコが言ってたの、ホントだったんだ。
 確かに雪乃は可愛いし、ミコみたく無茶ぶりをしない。でもミコもまた好きである。
「実はね……もうミコにはOK貰ってるんだ」
 どうして当事者でもないのにOK出してるの!? いや、ある意味当事者か(?)
「勿論、嬉しいけど……、取り敢えずミコも交えて話そうか」
 そういう訳で、一旦家に戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...