百花の王

白雪の雫

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後編

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 俺・・・マリウスって奴に皇帝の妃の一人として買われたんだよな?

 でもって春の宮殿の女主になったんだよな?

 その俺が何でメイドのように働いているんだ?

 何で家庭教師っぽい男達と女達が俺達に後宮の規則からダンスとかを教えてるんだ?

 何でモブ顔の女が宮殿の女主として偉そうな態度を取っているんだ?

 その疑問を俺より先に後宮に入っていた先輩の女の子に聞いてみたんだ。

「え?後宮に入ったからってすぐに宮殿の女主になれるって訳じゃないのよ?」

「そうなのですか?」

「アマリリス?貴女の故郷ではどうだったのか知らないけど、今の私達は陛下の側室ではなく単なる侍女でしかないのよ?」

 先輩の女の子の話を纏めるとこんな感じだ。





 ・最初は侍女として宮殿の女主に仕える

 ・その間に宦官と皇帝に見初められなかった元側室候補から皇帝の側室に相応しい女性としての教育を受ける

 ・皇帝の目に留まり閨の相手をすれば側室の称号に宮殿の一角に個室、金銀財宝と侍女を与えられる


 成る程・・・

 俺は侍女から皇后、ひいては皇太后へと成り上がっていく乙女ゲームの世界に転生したという解釈でいいんだな?

 まさかスタートが侍女からだったなんて夢にも思っていなかった俺は、妹がプレイしているところを最初から見ていたら良かったと静かに落ち込んだよ・・・

 つーか乙女ゲームに宦官を出していいのか!?

 ようやく状況を呑み込めた俺は考えた。

(・・・・・・・・・・・・)

 女の争いって〇奥に出ていたあの三人組のように傍から見る分には楽しめるけど、当事者となれば話は別。

 自分で言うのも何だけど、俺って超美人で女だったら誰もが夢見るプロポーションの持ち主だからさ。

 そこに女性らしい立ち居振る舞いとか淑徳を身に付けてしまったら皇帝に目を付けられるかも知れないだろ?

 前世は男な俺だから皇帝にも皇后にも皇太后にも興味がない。

 ・・・・・・決めた!

 俺は暫くの間、後宮で世話になりつつお金様を貯める。

 そして頃合いを見計らって後宮を抜け出したら一般人として生きて行く!!!

 家庭教師?

 何かの学校の先生?

 料理人?

 職人?

 今後の方針が決まった俺は職業選択の幅を広める為に勉強を頑張ったんだ。





 だが俺は知らなかった。


 後宮を出てから生きて行く為の努力の結果、立派な淑女になってしまう事を。(王女だったし、記憶を取り戻す前は淑やかな女性だったからその下地があって当然かも)


 俺の外見が皇帝のストライクゾーンだった為に皇帝の目に留まってしまう事を。


 何度も皇帝に呼ばれちゃったから他の側室だけではなく、俺が居る春の宮殿のモブ顔女主から勝負を挑まれてしまう事を。(ゲームではビンタが主だったが前世は柔道・空手・剣道の有段者だったのでグーパン+柔道+空手で対応)


 見た目に反して武闘派なところが更に皇帝の心を射止めてしまう事を・・・俺は知らない。











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