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4話
しおりを挟む「出来たわ」
祖母の為に作った花々を綺麗に纏めたヴィルヘルミナは、それをパンとワインが入っている籠に入れると立ち上がる。
その時
「こんにちは、赤い頭巾が似合う可愛いお嬢さん」
「こんにちは、お兄さん」
声を掛けられたヴィルヘルミナは挨拶を返す。
(何て綺麗な人なのかしら。童話に出てくる王子様・・・ううん、本物の王子様なんかよりもカッコいいわ)
優しい印象の黒い髪
深い緑色の瞳
騎士様のように立派な体格
この時のヴィルヘルミナに小夜子としての記憶があったのならフェロモンダダ漏れな攻略対象者の一人である狼のウォルフだと気付き、声を掛けられてもスルーしただろう。
だが、当時のヴィルヘルミナは前世を思い出していなかったものだから、ウォルフを素直に綺麗でカッコいいお兄さんだと思い挨拶を返したのだ。
「お嬢さんはこんな場所で何をしているのかな?」
「おばあちゃんにパンとワインを届ける途中でお花を見つけたから花束を作っていたの」
「お嬢さんはおばあちゃん思いの優しい子なんだね」
「そうなのかな?自分では分からないけど、お兄ちゃんにそう言われると嬉しい」
イケメンのお兄さんに褒められた事が嬉しかったのか、ヴィルヘルミナは花が綻んだかのような笑顔を浮かべる。
「でも来るのが遅かったら、お嬢さんのおばあさんが心配するんじゃないかな~?」
「う゛っ!」
母親の言いつけを破ったという自覚があるからなのか、イケメンのお兄さんの言葉にヴィルヘルミナの心に罪悪感が芽生える。
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