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③サクリフィス大陸-1-
しおりを挟む大型客船で航海する事、一ヶ月
途中でシーサーペントに襲われたりしたものの、何とか逃げ切った事により生き延びた一行。
「ここが・・・魔族が支配していると言われている──・・・」
彼等の目の前に広がるのは、異形の者達が行き交い賑わいを見せている港町。
魔物は目にした事はあっても、限りなく人間に近い姿をしていながら自分達とは肉体の一部が異なる者が住んでいるという事実に、サクリフィス大陸に到着した一行の顔には緊張の色が浮かんでいた。
「サクリフィス大陸だから太陽がないと思っていた」
サクリフィス大陸は動植物の生態系から全てにおいて謎に包まれているが故に【暗黒大陸】とも呼ばれている。
その名前が示すように、昼間でも闇に覆われているので全体的に暗い雰囲気が漂っているものだと思い込んでいたローズが声を上げて驚く。
「な、なぁ・・・ここを歩いている女達って美人が多くねぇ?」
「男も美形が多いわね~」
この港町だけなのかも知れないが、男女を問わず美形の比率が高いという事実にリオンをはじめとする男性陣だけではなく女性陣も浮足が立っている。
特に男性達は長い船旅の影響で性欲を発散させたいという思いに駆られているのか、目が血走っているように見えるのは決して気のせいではない。
「もしかして、今までサクリフィス大陸へと行った人達が戻ってこないのは、美男美女が多いという理由でここに住み着いてしまったからなのでしょうか?」
「ここで過ごしている内に恋仲になった人?というか魔族?との間に子供が出来たとかならまだしも、美男美女が多いというだけで故郷や家族を捨てて住み着くなんて有り得ないと思うわ」
メリーアンの推理にローズが言い返す。
「町の観光というか聞き込みは明日からするとして、今日は宿屋に行って休んだ方がいいと思いますよ」
一刻も早く旅塵を払いたいという思いがあるクリュライムネストラは女性陣に提案する。
「ライムさんの意見に賛成~」
冒険者であっても女を捨てていない彼女達は石鹸で身体を洗い浴槽に浸かって疲れを癒す為、色街へと繰り出そうとしている男性陣を無視して宿屋へと向かう。
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