ノスフェラトゥ

白雪の雫

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③サクリフィス大陸-2-

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 「食堂で夕食を食べ終わるまでの辛抱よ」

 大衆浴場で湯浴みを済ませた後、泊っている部屋で胸に晒しを巻いたクリュライムネストラは、宿屋の一階にある食堂へと向かう。

 「た、大変だーーーっ!!」

 クリュライムネストラがカウンターで料理を受け取ろうとしたその時、色街に遊びに行っていたはずのリオン達が慌てて食堂にいる彼女達に向かって駆けつけてきた。

 「リ、リオン、どうしたの?!」

 リオンの様子がおかしいものだから、彼の身を案じたジェーンが尋ねる。

 「シスター・イザベルが・・・いや、イザベルだけではなくシスター・クレア、セフィリア先輩がサキュバスになって娼婦や泡姫をしていたんだ!!!」





 親しくしていた人達がサキュバスという妖魔になっていた





 リオンから告げられた事実に、彼の仲間であるメリーアン達の間に衝撃が走る。

 「・・・二つお尋ねしてもよろしいですか?リオンさん達が捜しているというのは彼女達で間違いないのですね?」

 「そうだよ。あたい達はシスター・イザベル達を捜していたんだ」

 ジェーンの話によると、新米冒険者だった自分達の面倒を見てくれたのがシスター・イザベルをはじめとする修道女に、先輩のセフィリアだった。

 「でも・・・先輩のフェラは気持ち良かったな~」

 「俺はイザベルとの泡プレイが良かったな~」

 「・・・・・・貴方達がサキュバスになってしまった彼女達と楽しんでいたのは、私にとってどうでもいい事なので別に話さなくてもいいです」

 「ライムさん・・・冷静ですね」

 男達の口から出てきた下ネタに顔を真っ赤にしてしまっていたメリーアンが、表情を変えずに言葉を返したクリュライムネストラにツッコミを入れる。

 「猥談は酒の肴にはなるでしょうが、今はそのような事に付き合っている時間などありませんので。最後の質問です。彼女達が行方不明になったのは何時ですか?」

 自分であればサキュバスだけではなく、メドゥーサやセイレーンといった妖魔になってしまった彼女達を人間に戻すのは可能だ。

 但し、それは直後や昨日一昨日といったレベルの話になる。

 彼等の話を聞く限りイザベル達が行方不明になったのは数ヶ月や数年単位と見ていいような気がするので、彼女達が人間に戻る事はおろか人間ひととして生命を終えるのは諦めた方がいいだろうと、そう判断を下しているクリュライムネストラの脳裡に過去にあった苦い出来事が過る。






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