ノスフェラトゥ

白雪の雫

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③サクリフィス大陸-4-

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 「それは・・・四年前です」

 (うん、無理だ。どう足掻いても元に戻せないわ)

 何故、こんな時に吸血鬼によって知性なき人狼となってしまった青年を倒してしまった事を思い出してしまったのか

 自分でも理解出来ないと心の中で苦笑いをする中、リオンの答えを聞いてしまったクリュライムネストラはあっさりと諦めると同時に、前回の二の舞になるかも知れない事を視野に入れる。

 だが、幸いにしてここはサクリフィス大陸。

 ハーネット王国人やメディクス王国人・・・というよりクローチェ大陸に住む者にとって、サクリフィス大陸は未知で謎が多い場所でもある。

 もしかしたら、自分達が知らないだけでサキュバスと化してしまったシスター達を人間に戻す薬のようなものが、或いは薬の製造法が伝わっているのかも知れないと、クリュライムネストラが告げるとリオン達の顔に希望の色が浮かぶ。

 「確証はありませんが、何も行動をせずにいるよりはマシでしょう」

 「あたい達は何をすればいいんだ?」

 「闇雲に動き回るのではなく、まずは図書館で本を探した方がいいと思いますよ」

 薬学だけではなく伝承、それからお伽噺

 「お伽噺が先輩達を元に戻す手掛かりになる訳ないだろ!?」

 「リオンさん、お伽噺を馬鹿にしてはいけません。確かにお伽噺は挿絵を入れる事で子供が読みやすいようにしていますが、その内容は意外と残酷であり人間の本質と真理をついていますし、何より荒唐無稽だと思われている事に真実が隠されているものです」

 現に今まで伝説だと思われていた古代文明や吸血鬼という生物が実在していた事を話すとメリーアンは納得したような、リオン達は納得したような納得していないような表情を浮かべる。

 「仮にシスター達を元に戻す薬があったとしても、妖魔になっていた期間が長ければ魂が変質しているので元に戻れない事だけは念頭に置いて下さい」






 一縷の望みを胸に彼等は図書館へと向かおうとしたのだが、ジェーンの腹の虫が鳴った事で調べるのは明日となった。





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