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⑦真祖と聖女-1-
しおりを挟むサキュバスと化してしまったシスター達を元に戻す薬や方法を捜しているクリュライムネストラ達。
しかし、図書館にある書物を読み漁っても手掛かりやヒントになりそうなものは見つからないでいる。
王都の図書館ならあるのではないか?というメリーアンの提案に賛成を示すリオン達とは対照的に、クリュライムネストラは浮かない表情だ。
「ライムさん?」
「ここは港町だから私達人間がいても嫌な顔をしていないようですが、真祖がいる王都は異種族に対する差別が厳しいのかも知れませんよ?それでも行くというのですか?」
数日しか過ごしていないが、サクリフィス大陸について幾つか分かった事がある。
サクリフィス大陸を統治しているのは、吸血鬼の真祖にして不死者と呼ばれる存在である事
吸血鬼に血を吸われた者の全てが知性なき魔物になるのではなく、血を吸った者の力量によって決まるらしい事
真祖に血を吸われた者は気が狂うか、廃人になってしまうらしい事
運よく助かったとしても人間の心を持ったまま淫蕩を好む妖魔になってしまうらしい事
「それを分かった上でリオンさん達は王都に行くと言うのですか?今までサクリフィス大陸へと赴いた者達が誰一人として故郷に戻っていないと言うのに?」
真祖と呼ばれる存在は為政者として優秀である事はこの港町の繁栄だけではなく、噂で耳にするサクリフィス大陸に存在する都市の繁栄振りから何となく察せられるのだが、探検家達が戻らないのは真祖の部下か妖魔と化した者達によって殺された可能性も視野に入れた方がいいと、クリュライムネストラは自分の考えを述べる。
「ライムさんが何を言おうが僕は行くよ。・・・・・・僕達にとってシスター・イザベル達はかけがえのない大切な人だから」
「そうですか・・・。リーダーであるリオンさんがメリーアンさんの意見に反対しないのであれば、それに従いますけど。その代わり、真祖とやらと対峙する事になったら私の助けはあてにしないで下さいよ」
「大丈夫。治癒師に助けを求めるほど私達は落ちぶれていない」
ローズの一言にカチンときたクリュライムネストラであったが、これくらいで思わず腹を立てた己の未熟さを反省すると王都へと向かう準備を始めるのだった。
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