カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㉖酵母-3-

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 レイモンドが作っているのは酵母液を使った生地だ。

 ボウルにパン用小麦、砂糖、酵母液を入れて木ヘラで軽く混ぜた後、バターと塩を追加したレイモンドは生地を捏ねていく。

 ボウルの中で生地を伸ばしたり、叩きつけていくのはドライイーストを使った時と同じ工程なのか、何度かパンを作った事があるレイモンドの様はパン職人のように実に手慣れたものだった。

 (こんな感じかな?)

 捏ねる事二十分

 清潔な布巾で出来上がった生地が入っているボウルを覆ったレイモンドは、次に酵母液を使わないピザ用の生地作りに取り掛かり始める。

 新人冒険者だった頃、生活に苦労してきたからなのか、中堅、そして高ランクの冒険者となった事で金銭面だけではなく心理的に余裕がある今でも自分で食べる分は自分で作っているレイモンド。

 だが、今は違う。

 彼は紗雪の喜ぶ顔が見たい為に、日本に帰れなくなった彼女がキルシュブリューテ王国を第二の故郷と思って欲しい為に、こうして料理を作っているのだ。

 自分の変化に驚きながらもレイモンドは、ボウルにパン用小麦、塩を入れて木ヘラで軽く混ぜた後、そこに水を少し加える。

 木ヘラで混ぜていくと、そぼろのような状態になってしまった生地の様子を見ながら水を少しずつ加えて混ぜていくと、先程作っていたパン生地のようになったのでそこにオリーブオイルを加えて捏ねていく。

 (酵母を入れていないパン生地・・・いや、ピザ生地はこんな感じでいいのか・・・?)

 ドライイーストでしかパンを作った事がないレイモンドはパン種とやらを作り終えたのか、トッピングに使う海老の背ワタを取り除いている紗雪に聞いてみる事にした。

 「そうね・・・。私もピザは作った事がないから何とも言えないけど、食べた時に生地の食感がサクッとしていたらそれでいいんじゃないかしら?」

 クリスプタイプの生地はドライイースト・・・酵母を入れずに作る事を本で読んで知った紗雪はそう判断を下す。

 プロの料理人であればあれこれ言うのかも知れないが、料理に関して二人は自炊が出来るくらいの素人。

 ましてや、今回は酵母を使っている生地と使っていない生地で作ったピザの食べ比べなのだ。

 「・・・失敗した時はもう一度作り直せばいいだけだ」

 開き直ったレイモンドは酵母を使っていない生地が入っているボウルに清潔な布巾を被せる。








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