132 / 465
㉝かき氷-4-
しおりを挟む「ねぇ、レイモンド。レイモンドは魔法で氷を出せるの?」
「出せるけど・・・?」
「じゃあ、魔法で出した氷は口に入れても大丈夫なの?」
「ああ。使い手の腕にもよるが、透明な氷であれば害はない」
紗雪の問いの意図は分からない。
だが、それでも紗雪の問いにそう答えたレイモンドは魔法で透明な氷の塊を出して見せた。
「魔法って本当に便利ね」
自然を司る四神を操る事が出来る紗雪であるが、レイモンドのように氷を出す真似など出来ないので素直に感心の声を上げて驚く。
「ところで紗雪、俺が魔法で氷を出せる事と口に出来るかどうかと何か関係あるのか?」
「そうね・・・。何て言えばいいのかな?例えば、旅の途中でかき氷を食べたくなったら魔法で出した氷が使えるかどうかが気になったの」
後、魔法で出した氷が飲料水としても使えるかどうかも知りたかったの
「俺が魔法で出した水と氷であれば口に入れても問題はない。・・・ならば、この道具と魔法で出した氷、そして練乳と果物があれば何時でも食べられだけではなく、その気になりさえすればかき氷の屋台を出す事が出来るという訳だな?」
「ええ。でも、器とスプーンいう問題を解決しない限り屋台でかき氷を出すのは無理だわ」
もし、かき氷を出せるとすれば、自宅か店でしょうね
かき氷機にレイモンドが魔法で出した氷の塊と器を置くとハンドルを動かし始める。
「串焼きのように歩きながら食べられるのであれば、かき氷を屋台で出すのも可能だろうな」
フライドポテトを入れていた器は粗末な紙で作った小さな袋だったから、持ち運びが出来たし歩きながら食べる事だって出来た。
だが、かき氷は水を凍らせたものであり時間が経てば溶けてくるので、出された時に食べた方がいいデザートだ。
キルシュブリューテ王国で、かき氷を屋台で出すのはまだ早いのかも知れないと、話している内に削った氷が器に盛られていた。
後は、メロンの果汁と練乳、そしてカットしたメロンを飾ればかき氷の完成だ。
「出来たわ!・・・皆さん、食べてみますか?」
試食用なので一皿しかないが、王侯貴族しか口に出来ない氷菓に興味津々な料理人達は紗雪が差し出したかき氷をスプーンで掬い口に運ぶ。
「冷たい!」
「暑い時に食べるからこそ美味く感じるんだ!」
「ジャリジャリではなく、シャリシャリとした食感が面白いな」
「レンニュウとやらが、メロンの果汁をかけた氷を優しい甘さにしているのか・・・」
「メロンとレンニュウって合うんだな」
ミルクジャムと似て異なる練乳がかかったメロンを口にした料理人達が、かき氷について感想を言い合っていた。
「レイモンド。これだったらロードクロイツ侯爵達に試食して貰っても大丈夫ね」
「ああ。かき氷が魔王様な陛下が求めているものかどうかなど俺には分からないが、父上達は喜んで試食してくれる」
彼等は紗雪が作る料理とデザートに間違いがない事を知っているのだ。
「レイモンド様、サユキさん。かき氷とやらですが、今から旦那様達にお出ししますか?」
「お養父様達には砂糖水を凍らせた氷で作ったかき氷と食べ比べて欲しいから、夕食のデザートとして二つ出すという事は出来るかしら?」
「承知いたしました」
料理人達はランスロット達の昼食を作り始める。
12
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「次点の聖女」
手嶋ゆき
恋愛
何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。
私は「次点の聖女」と呼ばれていた。
約一万文字強で完結します。
小説家になろう様にも掲載しています。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる