カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㊶プルメリア島の料理はエスニック-2-

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 魚介類と、うどんに似たパスタを絡めて目玉焼きをトッピングした麵料理

 油で揚げた果物

 魚を一匹丸ごと揚げた豪快なフライ

 「こうして実物を見るのは初めて・・・」

 豚一匹を炙った豚の丸焼き

 みじん切りにした野菜と挽き肉をトッピングしたお粥





 ダークエルフは肉や魚に忌避感を抱いていないので普通に口に出来ると事前にディートヘルムから聞いていたので驚きはしなかったが、人間と同じように食べているところを見ると、エルフとは同族であるはずなのに違った種族に見えてしまう。

 「俺は目玉焼きをトッピングした麺料理」

 「俺は目玉焼きをトッピングした米料理」

 「私は野菜と挽き肉のお粥。それと、野菜炒め」

 地球風に言えばアルバートが注文した料理はミーゴレン、レイモンドはナシゴレン、紗雪はブブールとチャプチャイである。

 三人のオーダーを受けた給仕が厨房に立つ料理人に伝えると、料理人が手際よく料理を作っていく。

 「お待たせしました」

 暫くすると、三人が座るテーブルに動きやすくて涼しげな格好をしているダークエルフの給仕の一人が料理を持ってきた。

 神よ、あなたの慈しみに感謝してこの糧をいただきます

 食事前の祈りを捧げた後、三人は自分達が注文した料理に口を付け始める。





 (このパスタ、甘い。しかし、不思議な事に小麦の風味がしないんだよな~)

 だが、パスタにかかっているソースが暴力というレベルで大量に砂糖や蜂蜜が使われていないし、何より鰻の蒲焼きのタレのように甘さの中にもコクがあるように感じる。最後まで食べる事が出来るのは非常に有難かった。

 ダークエルフの食文化はキルシュブリューテ王国より高い事が伺える。

 (サユキだったら・・・この料理を再現出来るだけではなく、更に美味く作れるのかも知れないな)

 もう少しスパイシーというか、パンチが欲しいと言えばいいのか、どちらかと言えば甘いより辛い味付けのパスタの方が好みだと思いながらもアルバートはミーゴレンを食べていく。





 (か、辛い!だが、その中に甘さと深みとコクがあり・・・何より、卵と一緒に食べる事で味が円やかになる)

 米料理の味の決め手がソースである事は分かるのだが、どうやってソースを作っているのかが分からない。

 レイモンドはナシゴレンに使われているソースの味を確かめるように味わう。

 (この味は・・・どことなく醤油に似ているような?醤油をベースにして作っている、のか?)

 もし、醤油がベースとなっているのであれば紗雪の事だ。桜花から輸入している醤油で作ろうとするのかも知れない。

 (紗雪の事だから、このソースを使った料理をシュルツベルクの新たな名物として広めたいと考えそうだな)

 そんな事よりも今は目の前の料理を平らげる事だ。

 レイモンドは紗雪が自分達の為に注文して取り分けた野菜炒めを口に運ぶ。






 (このお粥、鶏がらで煮込んでいるのかしら?味付けが絶妙だわ)

 米が鶏肉から出てきた出汁を吸い込んでいるのか、噛めば口の中に鶏の味が広がる。

 (しかもこの米の形、細長い?これって、もしかして・・・)

 紗雪は器に盛られている粥をスプーンで掬ってみた。スプーンに掬われた米は細長く、地球ではインディカ米と呼ばれるものだった。

 (この米があれば、パエリアが作れるわ。でも、今回の目的はバニラビーンズだから米やトロピカルフルーツ、カカオ豆を輸入出来るように話をして欲しいなんて頼めないわね)

 それ等を輸入できるようにする為にも、まずプルメリア島と国交すべきだと思うのだが、こういう事は個人で判断するべきではないだろう。

 アルバートに相談すべきかどうか悩みながら紗雪はお粥を食べていく。










※異世界ものでは主人公が「いただきます」「ごちそうさま」と言うと、その由来を聞いた後、現地の人が右へ倣えと言わんばかりにそれを使うのが当たり前のようになっているけど、貴族の養女になってレイモンドの婚約者になってからの紗雪は郷に入っては郷に従えという言葉に従い「いただきます」「ごちそうさま」を使わないようにしています。






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