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㊷ダークエルフの長は大魔王-1-
しおりを挟むバニラビーンズが入ったショコラはプルメリア島のダークエルフの王族とインペラトーレ帝国でも皇族と貴族しか口に出来ないとディートヘルムは言っていた。
という事は、王族と輸出用の為にバニラビーンズを作っている農園があるのだろう。
しかし、紗雪のみならずレイモンドにもダークエルフへの伝手がないし、彼等が何の権限もない二人を歯牙にもかけない事は目に見えている。
だからこそ、ディートヘルムは伯爵という地位を持つアルバートを同行させたのだろう。
アルバートが長の側近と話し合った結果、会うのは明日。時間にして僅か一時間だけだ。
「後はサユキ次第だ」
「はい・・・」
アルバートの言葉に紗雪は緊張した面持ちで頷く。
(国益が絡んだ交渉、私に出来るかしら・・・?)
紗雪は【泰山府君の祭】を行う際、泰山府君という死者を裁く裁判官の一人にして生死を司る神と直接交渉できるが、あくまでもそれは術者として修業を積んだからこそ出来るのであって、そこには政治的な思惑など一切関係ない。
「紗雪」
「レイモンド?」
ポンと軽く自分の肩に手が置かれた事を感じた紗雪は顔を上げる。
「紗雪はただダークエルフの長にバニラビーンズを求める理由を話せばいいんだ」
「キルシュブリューテ王国にバニラビーンズの輸入を認める代わりにダークエルフが名産品を求めるのであれば、それを輸出するかどうかを陛下に伝えるのは俺やランスロットだ」
最終結論を出すのはディートヘルムであって紗雪ではない。
ややこしい話は自分達に任せればいいのだと、アルバートが紗雪に話す。
「お養父様、ありがとうございます・・・」
憂いが消えた紗雪の顔には笑みが浮かんでいた。
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