カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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㊸甘くて冷たい豆乳粥-7-

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 十時間後

 おっ?

 「水に浸けていた大豆が膨らんでいるな」

 ボウルに入っている小さくて丸い大豆が楕円形になっている事にアルバートが声を上げる。

 「次はミキサーで大豆を攪拌するのだったな。紗雪、手伝ってくれるか?」

 「ええ」

 レイモンドの言葉に従い、紗雪が大豆と水、カップを用意する。

 「レイモンド。大豆と同じ重さの水がいるのだけど、ミキサーに入れる大豆二カップに対して水は一カップ。それを何回か繰り返すって書いているわ」

 確かに水を吸収した事で膨らんでいる大豆を一度で攪拌するのは無理な話だ。

 本に書かれている通りに紗雪が用意した二カップ分の大豆と一カップ分の水をミキサーに入れて攪拌する事、数回。

 「紗雪、次はどうするんだ?」

 「次はミキサーに入っている生呉・・・大豆の液を生呉と言うのですって。それを鍋の底が焦げないように煮込んだら清潔な布巾で濾すって書いているわ」

 紗雪に言われた通り、レイモンドが生呉と、水に浸けて膨らんだ大豆と同じ量だけ用意した水の残りを鍋に移すとコンロに火を点けて温めていく。

 レイモンドが生呉を温めている間の紗雪はというと、水が入っている鍋に入れた米をパスタの要領で茹でていた。
木べらで鍋の底が焦げないように掻き混ぜつつ、沸騰してきたら噴きこぼれないように弱火で温めていく事、十分。

 「炊いた大豆を布巾で濾したら豆乳の出来上がりよ」

 生呉を温めていた間に紗雪が用意した布巾で大豆を濾していくと、布巾からは豆乳が鍋に落ちていく。

 へぇ~っ・・・

 「これが大豆で作った乳って奴か」

 鍋にある出来立ての豆乳を目にしたアルバートが味見をしたいと二人に頼む。

 「私も出来立ての豆乳ってどんな味なのか知らないのよね」

 「じゃあ、飲んでみるか」

 レイモンドが小さめのカップに豆乳を注ぐと、アルバートと紗雪に渡す。

 「「「・・・・・・」」」

 「豆乳って飲みにくいとばかり思っていたのに、この豆乳は飲みやすいわ」

 「大豆そのものの味を感じると言えばいいのか・・・」

 「昨日の粥は食べる事が出来たのだが、これだけだと・・・。砂糖や蜂蜜、或いは果物を混ぜたら俺のような初心者でも飲めるのかも知れないな」

 牛乳とは異なる風味の豆乳を口にした三人の感想はそれぞれだった。

 「なぁ、サユキ。布巾に残ったそれ・・・大豆の搾りかす?になるのか?使い道はないのか?」

 「そうですね・・・。日本では総菜やお菓子作り、家畜の餌に使っています」

 おからは食物繊維が豊富ですから、お通じが良くなりますしダイエットにも効果的ですよ

 「豆乳を使ったデザート・・・クッキーとケーキは紗雪に教えて貰って作った事があるけど、おからでデザートとディッシュを作った事はないな」

 「おからを使ったディッシュとデザートって女が喜ぶんじゃねぇのか?」

 「はい。キルシュブリューテ王国に戻ったらお養母様達に試食をお願いするつもりです。ですが、今はレイモンドが言っていた冷たくて甘いお粥を作る方が先です」

 「作ると言っても、豆乳に米を入れて煮込むだけなのだがな」

 紗雪が用意した二種類の米を、バニラビーンズと砂糖を豆乳がそれぞれ入っている鍋に入れて煮込んでいく。









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