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㊽米粉のクッキーとラングドシャ-3-
しおりを挟む三十分後
「ねぇ、レイモンド。ラングドシャを幾つか大きめに作って欲しいの」
「大きめに?」
「ええ。その生地を巻くの」
「?」
生地を巻く理由が分からないのだが、そういうラングドシャもあるのだろうと自分を納得させたレイモンドは、それぞれの天板に生地を乗せると薄く伸ばしていく。
紗雪は紗雪で冷蔵ボックスから取り出した卵黄で作った生地を食べやすい大きさに切っていき、それ等を乗せた天板をオーブンに入れて焼いていく。
十五分後
生地の外側には焼き色が付いていた。
「米を粉にすればクッキーが作れるのか・・・」
「今回はプレーンタイプにしたけど、ドライフルーツや木の実、野菜のペーストを生地に入れたら違った風味が味わえるわ」
「レイモンド坊ちゃんが作った・・・何て言いましたっけ?・・・そうだ!ラングドシャだ。ラングドシャって白いですね」
「卵白を使っているから白いの。では、大きめに焼いたラングドシャを巻いていきましょうか」
紗雪をはじめとする厨房にいる者達が天板にある焼き立てのラングドシャの生地を手にして巻いてくのだが──・・・。
「む、難しい・・・」
「あ、熱っ!」
「細い棒と手袋を用意してくれ!」
「何とか巻けたけど、割れてしまった!」
ロール状にしたラングドシャことシガレット作りは見事に失敗してしまった。
「ご、ご免なさいね・・・」
「サユキさん、謝らないで下さいよ!」
ラングドシャは初めて作ったお菓子だから失敗してもおかしくないし、失敗から学べる事もある。
何と言っても米粉でもお菓子を作れるという事実を知っただけでも、レイモンドと自分達は料理人として一歩成長したのだと静かに落ち込んでしまった紗雪を慰める。
「粉々になったラングドシャは今日の夕食後にデザートであるアイスクリームに乗せて父上達に出す・・・いや、料理人達の賄いのデザートとして出すというのはどうだ?」
「それ、いいですね」
形は崩れていても味は同じなのだ。レイモンドの提案に料理人達から賛成の声が上がる。
「父上達には形が崩れていないラングドシャを添えたアイスクリームを出せばいいだろうな」
卵黄で作った米粉のクッキーは午後のティータイムのおやつとして、卵白で作った米粉のラングドシャは夕食後のデザートとして出す事にした。
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