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57.オークキングの肉とカボチャ-6-
しおりを挟むレオルナードに離乳食を食べさせた後、レイモンドと紗雪はオーブンを温めたり、冷蔵ボックスから取り出した牛乳を低温殺菌したり、卵をかき混ぜたり、カラメルを作ったり、カボチャのシフォンケーキとカボチャプリン作りに使う材料を量ったり、製菓用の小麦粉をふるいにかけたりと下準備をしていた。
ちなみに二人がキッチンで料理を作っている間、レオルナードの面倒は誰が見ているのかというと───。
「レオルちゃ~ん♡おばあちゃまですよ~♡」
「おじいちゃまですよ~♡」
「寝癖も可愛い♡」
「レオルくんは寝癖ではなく、おじいちゃまとリオンくんのように癖毛なんですよね~♡」
三人の息子はそれぞれ可愛い。でも、孫はもっと可愛いと言わんばかりの表情を浮かべているランスロットとエレオノーラであった。
ちなみにランスロットが口にした『リオンくん』とは、ベルンハルトとエミーリアとの間に産まれたリオンハルト(1)という男児の事である。
「・・・孫が出来ると儂もロードクロイツ卿のようになるのかのぅ?」
「「なりますよ!!」」
「そ、そうか・・・?」
(な、何か怖~い・・・)
孫は子供とは異なる可愛さと愛しさを感じるのだとハイテンションで力説するランスロットとエレオノーラの姿に、千年以上も生きる事が出来るが故に個体数が増えにくい種族であるダークエルフの長は思わずたじろいでしまっていた。
「孫が出来たら、俺達も父上達のようになったりするのかな?」
「レイモンドったら気が早過ぎるわ」
レオルナードはようやく離乳食を食べるようになった赤ちゃんなのにそんな事を言い出したレイモンドの言葉にクスッと笑ってしまった紗雪であったが───。
「庭を駆け回る孫の姿を、お茶を飲みながら微笑ましく見守るお祖父ちゃんとお祖母ちゃんになりたいわね」
「紗雪も俺の事を気が早いとは言えないな」
「そうね。でも、そういうお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに憧れているの。そう思えるようになったのはレイモンド、あなたのおかげよ」
「紗雪・・・」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
「ばぶぅ~」
((!?))
二人は自覚していなかったのだが、どうやら甘い雰囲気を出していたらしい。
義父母とダークエルフの長の見守るような生暖かい視線と息子の声に驚いてしまったレイモンドと紗雪は顔を赤くしながらも抱き着いていた。
「秋なのに二人が居るキッチンだけプルメリア島より暑いのぅ・・・」
「「夫婦だからいいじゃないですか!!」」
「私達、おじゃま虫みたいだから客室で待っているわよ?」
二人に生暖かい視線を向けたままそう言ったエレオノーラは、レオルナードを抱いているランスロットとクリストフと共に居間を出て客室へと移る。
「は、早く作ってしまいましょうか?」
「そ、そうだな」
顔を見合わせて互いに笑いあった後、二人はそれぞれデザートを作り始める。
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