カフェ・ユグドラシル

57.オークキングの肉とカボチャ-7-

　紗雪が作ろうとしているのは生クリームを使っているものと使っていないカボチャプリンだ。

 「カボチャは俺が切ろう」

 「ありがとう、レイモンド」

　流水で洗ったカボチャを適当な大きさに切るという最大の難関を夫の力でクリアした紗雪は、種とワタを取り除いたそれを皿に乗せると鍋に移して蒸していく。

　十分後

　柔らかくなってペーストにしたカボチャの実の部分に砂糖が入ったそれぞれのボウルに卵と牛乳とバニラエッセンスで作った卵液、卵液に生クリームを加えると泡立て器で混ぜていく。

 （これくらいでいいかしら？）

　混ぜて滑らかになった二種類のプリン液をカラメルが入っている器にザルを置いて注いだ後、水が入っている鍋に器ごと移す。

 （レオルナードのカボチャプリンは明日の朝に作るとして･･･後は蓋をして蒸したらカボチャプリンの完成だわ）










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　紗雪がカボチャプリンを作っている頃

　砂糖を加えた卵白を泡立て器でツノが立つまで泡立ててメレンゲを作ったり、卵黄と砂糖が白くもったりするまで泡立てて卵黄生地を作ったり、紗雪がペーストにしたカボチャと低温殺菌しておいた牛乳を混ぜ合わせたりと、レイモンドはカボチャのシフォンケーキを作るのに忙しなく動いていた。

 （菓子の類を作る時は体力を使うな･･･）

　牛乳とカボチャが入っているボウルに三分の一の卵白と予め紗雪がふるいにかけておいた製菓用の小麦粉を加えると泡立て器で混ぜる。

　残りの卵白を二回に分けて木ヘラで切るように混ぜた後、生地を型に流して空気を抜くと温めておいたオーブンで焼いていく。

　四十分後

　オーブンから取り出した型を逆さまにして今夜一晩冷ます事にした。

　これは型からシフォンケーキを取りやすくする為である。

 「お義父様達を呼んでくるわ」

　そう言った紗雪は客人達を呼びに行く。

 「父上、母上、クリストフ陛下。レオルナードの面倒を見て下さって感謝いたします」

　紗雪に案内されて客室から居間へとやって来たレイモンドが、両親とクリストフに礼を口にした。

 「祖父母である私達が孫の面倒を見るのは当然の事だ」

 「今頃はお昼寝の時間かしら？遊んでいる途中で寝てしまったわ」

　天使のような寝顔を浮かべているレオルナードを抱っこしていたランスロットが、キッチンから居間に戻って来た二人に渡す。

 「レオルくん、目を覚ましたらお祖父様達と遊びましょうね」

　レオルナードをベビーベッドに寝かせる為、紗雪は三人で使っている寝室へと向かう。