カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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59.厚焼きホットケーキ-3-

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 「いらっしゃいませ」

 「ぱぶぅ~」

 護衛の依頼を受ける前に昼食を食べに来た冒険者パーティー【紅蓮の剣】を出迎えたのは女将である紗雪とレオルナードだった。

 「五名様ですね。テーブルに案内いたします」

 五人が席に着けるテーブルに案内した紗雪がメニューを渡そうとしたその時、リーダーであり戦闘では前衛の役目を担っているフェルナンドは注文する料理を決めていたのか、本日の数量限定であるコカトリス肉のムネ肉を使った唐揚げを五つ注文した。

 「女将!その、僕は唐揚げではなく・・・バターとメープルシロップで厚焼きホットケーキが食べたいです!飲み物はカフェオレで」

 「・・・コカトリス肉の唐揚げ四つ、厚焼きホットケーキとカフェオレが一つずつですね?フェルナンドさん、コカトリス肉のから揚げですがニンニクを使っている方がよろしいでしょうか?それとも使っていない方がよろしいでしょうか?」

 「女将。今日はガツンと食べたい気分だからニンニクが入っている唐揚げを頼む」

 「クリフさん、厚焼きホットケーキは作るのに時間がかかるのですがよろしいでしょうか?」

 「はい!今日の僕はホットケーキを食べたい気分なので構いません!!」

 「承知いたしました。ニンニクを使ったコカトリス肉の唐揚げ、厚焼きホットケーキとカフェオレのご注文を承りました」

 そう言った紗雪は厨房に居るレイモンドに伝える為、フェルナンド達が席に着いているテーブルから離れる。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










 下味にニンニクが入っているコカトリス肉の唐揚げ四つ、厚焼きホットケーキとカフェオレが一つずつの注文が入った事を紗雪が伝えると、レイモンドは厚焼きホットケーキを作り始める。

 割った卵を卵黄と卵白に分けたレイモンドはメレンゲを作る為、泡立て器で卵白を混ぜる。

 ツノが立つまで混ぜてメレンゲを作り終えた後、別のボウルに卵黄、牛乳、バニラエッセンス、キルシュブリューテ王国では主に医療や治療用として利用している炭酸水を入れると木べらで混ぜていく。

 ちなみに炭酸水を使えばホットケーキが膨れる事をレイモンドに教えたのは紗雪である。

 今はまだホットケーキしか作った事がないのでどのようになるのか分からないが、レイモンドとしては他のケーキも炭酸水で作ってみるつもりだ。

 卵黄、牛乳、炭酸水で作った生地が入っているボウルに製菓用の小麦粉、砂糖、塩を加えて木べらで混ぜて馴染ませた後、卵白で作ったメレンゲを入れたら切るようにさっくりと混ぜる。

 油をひいた銅板に置いた厚焼きホットケーキ用の型に生地を流し入れた後、蓋をしてゆっくりと極弱火で焼いていく。

 その間にレイモンドは自分にとって後輩冒険者とでも言うべきフェルナンド達が注文した、朝からタレに浸けておいたコカトリス肉を別のフライパンで揚げたり、流水で洗った野菜を食べ易い大きさに切ると皿に盛り付ける。

 「紗雪、コカトリス肉の唐揚げと厚焼きホットケーキが出来たぞ」

 「はい」

 レイモンドから注文した料理が出来た事を聞いた紗雪は、それ等をフェルナンド達が居るテーブルに持って行く。









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