カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-10-

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 豆腐屋から仕入れている豆腐をステーキサイズにカットして水気を切ったら清潔な布巾に包んだら冷凍ボックスに入れる。

 このまま半日くらい冷凍ボックスで凍らせ食べる時に解凍したら、肉の食感になる冷凍豆腐の出来上がりだ。

 その間、紗雪は家事とレオルナードの世話をする為、カフェの厨房から住居スペースへと戻る。

 「レオルくん、今日はカフェスペースでご飯を食べましょうね」

 「だぁ!」

 冬の空が茜色から夜の帳に覆われようとしている夕刻

 試食用の豆乳のポタージュスープと豆腐ステーキを作る為、レオルナードを背負った紗雪は二階の住居スペースから一階にある厨房へと降りていく。

 「今から作るわね」

 「紗雪、手伝おうか?」

 「ううん。私が作るわ」

 「レオルくんは俺が面倒を見るよ」

 今日も厨房で何百人分もの料理を作ったレイモンドの方が疲れているはずだ。

 「ありがとう」

 レイモンドがレオルナードの面倒を見ている間に紗雪は試食用の料理と離乳食を作る準備をしていく。

 まずは冷凍豆腐。

 厨房の冷凍ボックスに入れてから半日経って取り出した豆腐は当然と言えばいいのか凍っている。

 ボウルに注いだぬるま湯に冷凍豆腐を入れて解凍している間に紗雪は豆乳で試食用と離乳食のポタージュスープを作る事にした。

 (鮮やかなオレンジが綺麗だから人参を選んだけど・・・晩餐会の時期を考えたらアスパラガスが良かったかしら?)

 ネットショップを使えば簡単に解決するのだが、日本というか異世界の食材を使うのは反則のような気がするという思いが紗雪にあった。何より異世界の食材を使うという行為はディートヘルムの顔を潰す事になる。

 その辺りは臨機応変に対応したらいいと思い直した紗雪は、オリーブオイルをひいたフライパンに薄切りにした人参、塩を入れたら蓋をして中火で蒸す。ちなみに離乳食用のスープは別の鍋で薄切りにした人参を茹でていたりする。

 二分ほど蒸したら蓋を取って水分を飛ばしながらしんなりとするまで炒めていく。

 粗熱を取った人参をミキサーに入れて滑らかになるまで擂り潰したら、舌触りが滑らかになるように裏漉しをする。

 裏漉しをした人参、水、豆乳でポタージュスープを作ると決めた日に作っておいたニンニクのように匂いのある野菜を使っていないブイヨンをコンロに置いている鍋に入れたら強火で温めながら掻き混ぜていく。

 沸騰してきたら更に豆乳を加えて温め、塩と胡椒で味を調えたら豆乳で作った人参のポタージュスープの完成だ。

 (次は豆腐ステーキね)

 豆乳スープを作り終え、ぬるま湯を注いだボウルに浸して冷凍豆腐を解凍している間、紗雪は何のソースがいいのかを考える。

 (チキンブイヨンや顆粒コンソメを入れたらパンチの効いた風味になるのだけど肉を入れているから使えないし、天つゆは精進揚げで使うから豆腐ステーキのソースとして使えない・・・)

 豆腐ステーキのソースとして何を使えばいいだろうか?

 大根おろし、ポン酢、バター醤油、ニンニク醤油、赤ワインソース、卵黄ソース・・・

 動物性食品を使っているソースと使っていないソースが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。

 (・・・・・・味噌はどうかしら?)

 鍋に味噌・清酒・蜂蜜・砂糖と清酒で作った味醂の代用品を入れたらコンロに火を点けて温めていく。

 (いい香り。この味噌をつけた焼きおにぎりを食べたいわね・・・って違う違う!今の私はステーキソースを作っているの!)

 焼きおにぎりを思い浮かべつつ豆腐ステーキのソースとして使う味噌を作り終えた紗雪は豆腐ステーキを作り始める。

 しっかりと水気を切った豆腐に塩と胡椒で下味をつけたらジャガイモ澱粉?を塗す。

 コンロの上に置いているフライパンに適量のオリーブオイルをひいたら、そこに豆腐を入れて中火で両面にうっすらと焼き色が付くまで火を通す。

 焼き色がついた豆腐に味噌で作ったソースを入れて絡めたら豆腐ステーキの出来上がりである。

 「メティス王国の国王夫妻を持て成す時に出す予定の料理が出来たわ」

 器に盛り付けた料理とレオルナードの離乳食を紗雪がテーブルに運ぶ。

 神よ、あなたの慈しみに感謝いたします

 食事前の祈りを捧げた後、テーブルに並べた今日の賄いを食べ始める。











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