カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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63.精進料理のフルコース。またの名を大豆無双-12-

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 「肉・魚・卵のみならずバターやチーズといった乳で作ったものを使わずにメティス王国の国王夫妻を持て成す料理を作る・・・か」

 「ルミナエル教を信仰しているかの国は肉や魚等を口にせぬ故に随分と難しい話じゃのう・・・」

 レイモンドから話を聞いたクリストフとソフィーは難しい顔つきになっていた。

 「レイモンド殿、サユキ嬢。そなた達が晩餐会の時に出そうとしている料理を儂達に食べさせてくれぬか?」

 「第三者である妾達の目線であれば、そなた達では見えなかった光明が見えるかも知れぬからの」

 ((何か物凄く期待に満ちた目で見ているのですけど!!!))

 口ではこう言っているが、実は新しい料理を食べたいというオーラを全身から溢れさせているものだから、椅子から立ち上がった紗雪は厨房に行って二人分の豆腐ステーキを作り始める。

 待つ事暫く

 「これがあの豆腐なのか!?」

 「豆腐は柔らかい食べ物だと思っていたのじゃが、調理法次第では肉のようにもなるのじゃな」

 厨房で紗雪が作った人参のポタージュスープと豆腐ステーキを食べたクリストフとソフィーが思わず驚きの声を上げる。

 「サユキ嬢が登録している顆粒ブイヨンか顆粒コンソメを使えたら、メインディッシュである豆腐ステーキとやらに肉の風味を感じる事が出来ると思うのじゃが・・・」

 「後はソースにバターか生クリームを加えたら豆腐ステーキとやらが濃厚な味になって食べ応えが出るのではないのか?」

 「クリストフ陛下、ソフィー王妃。バターを使えば味は濃厚になりますが、牛・山羊・羊といった家畜の乳から作るのですから無理ですよ」

 「妾は牛・山羊・羊の乳で作ったバターか生クリームではなく穀物等で作ったバターがないのかという意味で言ったのじゃ!サユキ嬢、異世界には例えば・・・そうじゃな。ひよこ豆から作ったバターや生クリームはないのか?」

 「ひよこ豆から作ったバターなんてあるはずがないじゃろうが!!」

 (えっ?バターを豆から作る?)

 「待って下さい!クリストフ陛下、大豆・・・正確に言えば豆乳から作ったバターがありました!」

 ソフィーの一言で豆乳から作ったバターにチーズ、クリームがあった事を紗雪は思い出す。

 (豆乳からバターを作るには豆乳以外に必要な材料は確か・・・ココナッツオイルにオリーブオイル、それから塩にレモン汁だったはず。あれ?リンゴ酢だったかしら?)

 「豆乳からバターが作れるという事は・・・チーズと生クリームも作れる、のじゃな?」

 「はい。ですがクリームに関しては生クリームではなくホイップクリームと呼んだ方が正しいのかも知れません」

 動物性油脂のみで作ったクリームを生クリーム、植物性油脂だけ、或いは動物性油脂と植物性油脂が混じっているクリームをホイップクリームなのだと紗雪が教える。

 「それ等が広まれば料理の幅が広がりそうじゃし、晩餐会の時に出す料理にも使えるじゃろうな」

 「レイモンド殿!サユキ嬢!」

 「分かっております。豆乳で作ったバターやクリームを使った料理の試食をお願いいたします」

 自分達にとって未知な食材で作る料理に期待するクリストフとソフィーに思わず苦笑を浮かべるレイモンドと紗雪であった。













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