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6話
しおりを挟む「それで?桜子ちゃんはどうやって、その・・・〇〇〇村というか〇〇〇湖から戻ったの?」
「それがね、全く覚えていないの」
というより昨日の夜に私が行方不明の間の事を夢で見て思い出したくらいよ!
「それと千晶ちゃん。私は若竹村と壁瑠璃湖と言っているのに、どうして正確に発音できないの?」
「私には桜子ちゃんが迷い込んだ村と湖の名前が聞き取れないのだから仕方ないじゃない」
千晶の言っている事は本当で、彼女は桜子が口にしている地名が聞き取れないのだ。
「何で?」
小声で呟いた後、オレンジジュースを一口飲んだ桜子は自分が戻って来た時の出来事を千晶に語り始める。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
桜子が行方不明になってから一年後の早朝
神社の裏では汗衫姿で気を失っている女児が発見された。桜子である。
(な、何だ!?このお嬢さんから感じる・・・いや、それよりも今は!)
桜子から感じた異質というか神がかった気配の事よりも親御さんに無事を伝える方が先だと思った神主は斎藤家に電話を掛ける。
神主から電話で話を聞いた祖父母は息子夫婦に桜子が保護された事を伝えると、取るものも取り敢えず神社へと向かった。
それから数時間後、桜子の両親が神社にやって来た。
神主は両親を桜子が眠る部屋へと案内する。
『桜子!』
『桜子!』
両親と祖父母が見守る中、桜子の瞼がゆっくりと開く。
『パパ?ママ?』
『『桜子!!』』
『無事で良かった・・・』
目を覚ましたばかりの桜子を両親が抱き締める。
『今のお嬢さんにこんな事を尋ねるのは悪いと分かっているのだけど、一年前に何があったのか話してくれないかな?』
『えっ?一年前ってどういう事?あたしは武史くん達と一緒に神社の裏まで遊びに行って、それから・・・・・・』
(それから・・・?)
『分からない!そこから何があったのか全く覚えていないの!!』
神主の言葉に桜子は叫び声を上げる。
『桜子・・・』
そんな娘を母親は涙を流しながら、ただ抱き締めるのだった。
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