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1章 途切れた道、踏み出す道
13話 任務達成
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突然現れた『兄さん』ことクサナギとハーミットの戦い。
当然と言うべきか、戦いは剣聖が圧倒していた。
「兄さん!私のことはいいから、離して!」
「喋るな、舌を噛むぞ。」
少女を抱えながら戦える相手ではないことをクサナギはわかっていた。
しかし、今降ろせば周りの人間に人質にされることは目に見えている。
「惜しいのう。5年あればワシに勝てただろうに。」
「余裕そうに言われても説得力ねぇよ、ジジイ!」
本音である。
元の鬼族としての身体能力に加え、改造が施されている。
さらに滅多にみないほどの戦闘センス。
少女を抱えながら剣聖に有効打を与えさせない立ち回りは見事としか言いようがない。
(こやつが万全の状態じゃったら危なかったかもな。)
しかし、ここは戦場。
常に万全などはありえない。
そして剣聖は、剣に対魔族用の毒を塗っていた。
死ぬほどの毒ではない。
しかし、掠っただけで必ず効果があり、致命的な隙を作るに十分な毒。
頬につけられた傷。あの時すでに毒が体に入り込んでいた。
「う、」
毒の効果により、体が一瞬痙攣する。
それは剣聖にとって大きすぎる隙。
「さらば。」
剣聖の一撃はクサナギの首狙って振り下ろされた。
「むっ」
しかし空振り。
クサナギは少女の血で濡れていて、痙攣した時、滑ったのだ。
そのチャンスを逃さず、ハーミットの腹部に蹴りを入れる。
「がっ!」
「油断したな。」
数m飛んだハーミットは、すぐに体勢を整える。
しかし、追撃はなくクサナギは立ち尽くす。
「おい。マイ、返事しろ。」
少女はクサナギの腕の中で息絶えた。
遺体にずっと話し続けるクサナギに、剣聖は冷静に切りつける。
ギャン!
「まだ死ねない。」
少女を捨て、両手の空いたクサナギは剣を砕く。
「やるのう。」
追撃を警戒し、剣聖は距離を取る。
しかし、クサナギは背を向けて走り出した。
クサナギは一瞬で状況を整理する。
(もう教会の奴らは生きていない。毒のこともある。)
クサナギは己の不甲斐なさに歯を食いしばる。
「次は殺す。」
教会から出ると、すでに決着がついたようで、動かない少女とその奥に師匠が倒れていた。
「師匠!」
思わず大声で叫び、師匠を抱き起こす。
「なんじゃ。うるさい。」
返ってきたのは、いつもの落ち着いた声。
「大丈夫なんですか。剣も壊れてますけど。」
「ジジイ。油断した。」
「ジジイ。ダサい。」
「なんじゃと、この、イテ。」
2人に煽られ無理に起きようとしたが、傷が疼いたのかすぐに倒れる。
すぐにでも病院に連れて行ったほうがよさそうだ。
「ジーアスさん。お先に失礼します。」
俺は師匠をそっとおぶる。
「優しくな、優しく。」
要望通り、ゆっくり運ぶ。
途中、2人は時々、今日の師匠の活躍を話し合っていた。
師匠への気持ちを改善できたのだろう。
そう思うと、何故だか心が温かくなった。
~とある地下施設~
コツコツと廊下を歩く2人の足音。
一つはクランム。もう一つは、貴族のような若い青年。その名前は、
「ジーアス。着いたぞ。」
「ここは壁、ですね。」
クランムが壁を4度ノックすると
「おお、開いた。すごいですね。」
ジーアスの反応を無視し、入っていくクランム。
中は広く、謎の器具ばかり。
「やっと来たのね。説明してもらうわよ。」
部屋の奥にはいつも通り、デラートの姿。
「これはこれは、デラート皇女様。」
「いいわ、そういうの。それより『モモノハナ』について聞きたいんだけど。」
大袈裟な振る舞いに怒りを覚えるデラート。
クランムも渋い顔をしている。
「『モモノハナ』に関しては、優秀な職員と剣聖のせいです。あのまま盗賊を放置していれば団長が出てきていました。そうなれば私の関与がバレてしまいます。」
「なるほどね。それで、彼らはまだ生きているんでしょうね。」
「事情をきくという名目で使えそうな者を10名ほど。後は処分しました。」
「勝手なことをして。」
デラートは大きくため息を吐く。
「それよりクランムさん、団長はどうなりましたか。」
「適当な路地裏に転がしておいた。あまり手応えはなかったな。」
「これで晴れてジーアス団長ね。計画も順調。実験体は死んじゃったけど。」
今回の事件の目的。それは護衛の暗殺などではない。
事件を起こし、その陰で団長を殺し、ジーアスが帝都治安騎士のトップに立つ。
それが真の目的だったのだ。
「実験体が取られなければ、こんなことにならなかったのに。」
「仕方がありません。それより、幼体の鬼族が生きていることを喜びましょう。」
カインが殺すのに躊躇した鬼族の子供たち。
彼らはジーアスにより逃がされ、地下施設に収容されていた。
「それもそうね。クサナギも無事だったし。」
計画は次の段階へと移るのだった。
当然と言うべきか、戦いは剣聖が圧倒していた。
「兄さん!私のことはいいから、離して!」
「喋るな、舌を噛むぞ。」
少女を抱えながら戦える相手ではないことをクサナギはわかっていた。
しかし、今降ろせば周りの人間に人質にされることは目に見えている。
「惜しいのう。5年あればワシに勝てただろうに。」
「余裕そうに言われても説得力ねぇよ、ジジイ!」
本音である。
元の鬼族としての身体能力に加え、改造が施されている。
さらに滅多にみないほどの戦闘センス。
少女を抱えながら剣聖に有効打を与えさせない立ち回りは見事としか言いようがない。
(こやつが万全の状態じゃったら危なかったかもな。)
しかし、ここは戦場。
常に万全などはありえない。
そして剣聖は、剣に対魔族用の毒を塗っていた。
死ぬほどの毒ではない。
しかし、掠っただけで必ず効果があり、致命的な隙を作るに十分な毒。
頬につけられた傷。あの時すでに毒が体に入り込んでいた。
「う、」
毒の効果により、体が一瞬痙攣する。
それは剣聖にとって大きすぎる隙。
「さらば。」
剣聖の一撃はクサナギの首狙って振り下ろされた。
「むっ」
しかし空振り。
クサナギは少女の血で濡れていて、痙攣した時、滑ったのだ。
そのチャンスを逃さず、ハーミットの腹部に蹴りを入れる。
「がっ!」
「油断したな。」
数m飛んだハーミットは、すぐに体勢を整える。
しかし、追撃はなくクサナギは立ち尽くす。
「おい。マイ、返事しろ。」
少女はクサナギの腕の中で息絶えた。
遺体にずっと話し続けるクサナギに、剣聖は冷静に切りつける。
ギャン!
「まだ死ねない。」
少女を捨て、両手の空いたクサナギは剣を砕く。
「やるのう。」
追撃を警戒し、剣聖は距離を取る。
しかし、クサナギは背を向けて走り出した。
クサナギは一瞬で状況を整理する。
(もう教会の奴らは生きていない。毒のこともある。)
クサナギは己の不甲斐なさに歯を食いしばる。
「次は殺す。」
教会から出ると、すでに決着がついたようで、動かない少女とその奥に師匠が倒れていた。
「師匠!」
思わず大声で叫び、師匠を抱き起こす。
「なんじゃ。うるさい。」
返ってきたのは、いつもの落ち着いた声。
「大丈夫なんですか。剣も壊れてますけど。」
「ジジイ。油断した。」
「ジジイ。ダサい。」
「なんじゃと、この、イテ。」
2人に煽られ無理に起きようとしたが、傷が疼いたのかすぐに倒れる。
すぐにでも病院に連れて行ったほうがよさそうだ。
「ジーアスさん。お先に失礼します。」
俺は師匠をそっとおぶる。
「優しくな、優しく。」
要望通り、ゆっくり運ぶ。
途中、2人は時々、今日の師匠の活躍を話し合っていた。
師匠への気持ちを改善できたのだろう。
そう思うと、何故だか心が温かくなった。
~とある地下施設~
コツコツと廊下を歩く2人の足音。
一つはクランム。もう一つは、貴族のような若い青年。その名前は、
「ジーアス。着いたぞ。」
「ここは壁、ですね。」
クランムが壁を4度ノックすると
「おお、開いた。すごいですね。」
ジーアスの反応を無視し、入っていくクランム。
中は広く、謎の器具ばかり。
「やっと来たのね。説明してもらうわよ。」
部屋の奥にはいつも通り、デラートの姿。
「これはこれは、デラート皇女様。」
「いいわ、そういうの。それより『モモノハナ』について聞きたいんだけど。」
大袈裟な振る舞いに怒りを覚えるデラート。
クランムも渋い顔をしている。
「『モモノハナ』に関しては、優秀な職員と剣聖のせいです。あのまま盗賊を放置していれば団長が出てきていました。そうなれば私の関与がバレてしまいます。」
「なるほどね。それで、彼らはまだ生きているんでしょうね。」
「事情をきくという名目で使えそうな者を10名ほど。後は処分しました。」
「勝手なことをして。」
デラートは大きくため息を吐く。
「それよりクランムさん、団長はどうなりましたか。」
「適当な路地裏に転がしておいた。あまり手応えはなかったな。」
「これで晴れてジーアス団長ね。計画も順調。実験体は死んじゃったけど。」
今回の事件の目的。それは護衛の暗殺などではない。
事件を起こし、その陰で団長を殺し、ジーアスが帝都治安騎士のトップに立つ。
それが真の目的だったのだ。
「実験体が取られなければ、こんなことにならなかったのに。」
「仕方がありません。それより、幼体の鬼族が生きていることを喜びましょう。」
カインが殺すのに躊躇した鬼族の子供たち。
彼らはジーアスにより逃がされ、地下施設に収容されていた。
「それもそうね。クサナギも無事だったし。」
計画は次の段階へと移るのだった。
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