22 / 28
2章 狭間に立つ元英雄たち
3話 不思議な力
しおりを挟む
朝食を終えるとすぐ、ツル様は習い事がはじまる。
皇族としての作法や勉学などの教養はもちろん、自分を守るための護身術も教えられる。
意外だったのは教えにくる人たちは皆、真面目に教えていたことだ。
避けられているツル様に嫌がらせをする者はおらず、陛下の思いやりが垣間見える。
皇城の警備は厳しい。これはこういったところでも感じられた。
午前中の習い事が終わり、しばらく休憩となった。
部屋に戻ると、ツル様は俺の方へ椅子を持って寄ってきた。
「ねぇ、何か面白い話をして。2人も聞きたいって。」
ツル様の後ろにはアマトとミタマがくっついている。
体は2人の方が大きいが、ツル様の方が大人っぽいな。
「話してほしい。」
「カインの話気になる。」
昨日までは3人で遊んでいたが飽きたのだろうか。
遊び道具を街で買ってこよう。
ただ今は3人の相手をしないといけない。
面白い話、か。
「面白い話、ではないかもしれませんが、昔見た夢の話をしましょう。」
少し間をおく。
「あれは私が初めて戦場に立った日の夜のことです。その日は緊張と疲れ、そして拠点に戻った安心感ですぐに眠りました。すると私は夢の中でまた戦場に立っていました。そこでは体験した戦いよりも激しい戦地で、体が私の意思に関係なく動き、多くの魔族を倒し、最後は魔族に殺され目を覚ましました。」
そこで言葉を切ると、ツル様が不思議そうにこちらを見つめる。
「それだけ?」
「はい。しかし、夢のおかげで戦場では常に油断することなく生き抜くことができました。夢は今も時々見ることがあり、私の戒めのようなものなのです。」
本当に体験したことがあるような、現実的な夢。
戦争に関連する話なので子供に話すのはどうかと思ったが、なぜか話さないといけない気がした。
横で聞いていたライアさんが言葉をこぼした。
「もしかしたら前世の記憶かもしれませんね。」
「え、すごい!羨ましいな。」
「立派。」
「お見事。」
何が立派で、見事なのか。
褒めるにしても適当すぎる。もう少し言葉を覚えさせないと、と2人を見る。
「ツル様にもすごい力あるじゃないですか。」
「そうなんですか。良ければ聞いても?」
視線をツル様に写すと、恥ずかしそうにもじもじしていた。
褒められることに慣れていないのか、自分について語るのが恥ずかしいのか。
それを見て、俺たち大人たちは、和んだ。
少しして、ツル様は口を開いた。
「人の感情がわかるの。私のこと、嫌いなのか好きなのかとか。」
「え」
ツル様のとんでもない力の告白。
俺は驚きのあまり、声が漏れる。
「誰でもわかるわけじゃなくて、直接触れないとわからない。」
「そ、そうなんですか。」
俺は違和感を感じて周りを見る。
すると俺以外誰も驚いていない。
「もしかしてみんな知ってたんですか。」
「うむ。皇族は人の心が感じ取れると聞いておった。」
「初日にツル様が話してくれた。」
「教えてもらえなかったのかわいそう。」
「忘れてたわ。ごめんな。」
俺だけ仲間外れだったのか。
「すいません、すぐに言うつもりだったんですが。」
「謝らなくて大丈夫ですよ。全然気にしてませんし。」
平謝りのライアさんを見るとこちらが申し訳なくなってくる。
気まずいな、と思っていたらちょうど12時を知らせる鐘が鳴る。
「そろそろお昼の時間です。行きましょう。」
そしてまた食事室に向かうのだった。
皇族としての作法や勉学などの教養はもちろん、自分を守るための護身術も教えられる。
意外だったのは教えにくる人たちは皆、真面目に教えていたことだ。
避けられているツル様に嫌がらせをする者はおらず、陛下の思いやりが垣間見える。
皇城の警備は厳しい。これはこういったところでも感じられた。
午前中の習い事が終わり、しばらく休憩となった。
部屋に戻ると、ツル様は俺の方へ椅子を持って寄ってきた。
「ねぇ、何か面白い話をして。2人も聞きたいって。」
ツル様の後ろにはアマトとミタマがくっついている。
体は2人の方が大きいが、ツル様の方が大人っぽいな。
「話してほしい。」
「カインの話気になる。」
昨日までは3人で遊んでいたが飽きたのだろうか。
遊び道具を街で買ってこよう。
ただ今は3人の相手をしないといけない。
面白い話、か。
「面白い話、ではないかもしれませんが、昔見た夢の話をしましょう。」
少し間をおく。
「あれは私が初めて戦場に立った日の夜のことです。その日は緊張と疲れ、そして拠点に戻った安心感ですぐに眠りました。すると私は夢の中でまた戦場に立っていました。そこでは体験した戦いよりも激しい戦地で、体が私の意思に関係なく動き、多くの魔族を倒し、最後は魔族に殺され目を覚ましました。」
そこで言葉を切ると、ツル様が不思議そうにこちらを見つめる。
「それだけ?」
「はい。しかし、夢のおかげで戦場では常に油断することなく生き抜くことができました。夢は今も時々見ることがあり、私の戒めのようなものなのです。」
本当に体験したことがあるような、現実的な夢。
戦争に関連する話なので子供に話すのはどうかと思ったが、なぜか話さないといけない気がした。
横で聞いていたライアさんが言葉をこぼした。
「もしかしたら前世の記憶かもしれませんね。」
「え、すごい!羨ましいな。」
「立派。」
「お見事。」
何が立派で、見事なのか。
褒めるにしても適当すぎる。もう少し言葉を覚えさせないと、と2人を見る。
「ツル様にもすごい力あるじゃないですか。」
「そうなんですか。良ければ聞いても?」
視線をツル様に写すと、恥ずかしそうにもじもじしていた。
褒められることに慣れていないのか、自分について語るのが恥ずかしいのか。
それを見て、俺たち大人たちは、和んだ。
少しして、ツル様は口を開いた。
「人の感情がわかるの。私のこと、嫌いなのか好きなのかとか。」
「え」
ツル様のとんでもない力の告白。
俺は驚きのあまり、声が漏れる。
「誰でもわかるわけじゃなくて、直接触れないとわからない。」
「そ、そうなんですか。」
俺は違和感を感じて周りを見る。
すると俺以外誰も驚いていない。
「もしかしてみんな知ってたんですか。」
「うむ。皇族は人の心が感じ取れると聞いておった。」
「初日にツル様が話してくれた。」
「教えてもらえなかったのかわいそう。」
「忘れてたわ。ごめんな。」
俺だけ仲間外れだったのか。
「すいません、すぐに言うつもりだったんですが。」
「謝らなくて大丈夫ですよ。全然気にしてませんし。」
平謝りのライアさんを見るとこちらが申し訳なくなってくる。
気まずいな、と思っていたらちょうど12時を知らせる鐘が鳴る。
「そろそろお昼の時間です。行きましょう。」
そしてまた食事室に向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる