生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~

イチイ アキラ

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第27話 「白銀!?」



「……それで、こちらの冒険者はどうなさいますか?」
 儀式をしても良いなら進むかと、エリナさんとロザリーさんが道に戻ったとき。兵士のひとりがキュロスに問いかけた。

 ちなみに私は荷物の上でひたすら存在を消していたよ。こんなところに魔物の子供がいたら、余計に話がややこしくなるじゃない?
 それくらいは空気を読んださ。
 それがエリナさんとロザリーさんにも伝わってる。ふたりは私から目線を外してる。

 まぁ、私は魔物は魔物でも、ドラゴンだけど。
 無害ですよー。かわいいぬいぐるみ、荷物の飾りですよー。
 こっち見んな。

 その念が通じてるのか、兵士の数人がこっち見て「何だろう、あれ……?」な視線をしてはいても、誰も話題にしてない。するタイミングがないのかも。
 でも、話題はロザリーさんのことだから、皆の注意はこちらに否応なしに向いていた。

「む……報告にあった護衛を引き受けたという冒険者か……」
 キュロスはちらりとロザリーさんを見る。彼は少し考えこんでいた。
「我らがいるから、もう護衛は必要はないと思うが……如何かな?」
 キュロスはそう、ロザリーさんを見ながらエリナさんに問いかけた。
「……そう、ね。これ以上、厄介に巻き込むのは申し訳ない――」
 エリナさんもキュロスの提案に少し悩むと、ロザリーさんに頭を下げた。
 何となく、二人の思考はわかるよ。
 ある意味お国の問題に、一介の冒険者を関わらせるのは、その冒険者がかわいそうだ……て、やつだ。
 ……だけどさ。

「私への依頼はエリナ殿をクワドの森の神殿まで送り届けること。また儀式の護衛だ。前金を頂戴しているからには、依頼を遂行する権利と義務が私にはある。横槍は止めていただこう」

 ロザリーさんかっこいい!
 私は内心で拍手。外見は置物…いやさ、荷物のストラップのふり。でかいストラップだがお気にならさず。
「……ロザリーさま!」
 エリナさんもきっと私と同じ気持ちよね。
 何か決意したように改めてエリナさんは頷いた。
「……それに貴殿らは男ばかりだ。女性の機微に対処できるのか? 相応しくなかろう?」
 ロザリーさんの指摘に、キュロスらは「あ」て顔をして、少しばかり罰が悪そうに顔を赤くした。
 機微、うん。いろいろあるよね。
 女性兵士を連れてくるんだったて小さくつぶやいたのを、ペンギンイヤーは拾ったぞ。本当にそれね。
 でも、そういう方面では紳士であるみたいだから、少しばかり見直してやる。
 ロザリーさんを外そうとしたのも悪気からではなさそうだし。
 しかし、こいつはエリナさんに酷いことしたやつだしなぁ……。
 ……むぅ。
「ん、んん……急いでいたので、クワドの森に来たことがあるものを急ぎ優先して選別したので……」
 そこまで考えが回らなかったのね。
 ……ん?

 ……森に来たことがある?

 私が引っかかったところに、エリナさんも気がついた。
「……ああ」
 エリナさんは小さくため息をついた。わかったのだ、彼らが。
「そうね……貴方たちは……」

 ――彼らは、かつてエリナさんを護衛していたものたちだった。

 エリナさんがご両親を亡くしても、何とか引き継いで続けていた森での神事。
 その時に、それでも王族をひとりでは歩かせられぬと、体裁などを気にして叔父が付けてくれていた護衛たち。

 兵士たちも気まずげにしている。
 エリナさんの近くにいたなら、気が付いているのだろうな。

 エリナさんが冤罪なことに。

「ロザリーさま、どうか儀式を終えるまで私をお護りください」
 エリナさんは、だからロザリーさんが引き続き、護衛をしてくれることが嬉しかろう。
 信頼ない兵士たちより、自分で雇った護衛の方が絶対ましだもの。うん。

 ……あれ?
 エリナさん、帰宅はいいのかな?
 それはちょっと気になりつつ。
 初めて依頼出すなら復路まで思い至らなかったのかしら。王女さまなら箱入りだろうし。おっちょこちょいさん。
 でも、お人好しロザリーさんならお家まで送りそう。私は拾われた身だから、そうなったとしてもついていきますとも。
 獣王国に遠回りだとしても。
 実は内心この世界のことが気になっているから、それ故にあちこち見て回りたい気持ちもあるので。
 だってまだ、全然わからんもん。
 岩場と森しか歩いてないからね。

「……何と!」
 付いてくるならば、身を明かせとロザリーさんが兵士に言われた。
 キュロスが統率ポジかと思ってたけど、実は隊長さんがちゃんと居た。
 まぁ、そうだろな。キュロスは顔確認の役目を果たした。あとは、彼もまた護衛の対象だろう。
 隊長がいるけど彼にいちいち確認とらなきゃならないのは面倒くさそうだね。いや、うん、中間管理職はどこの世界も大変だ。
 ロザリーさんが首に下げていた小さなプレートを引っ張り出して、それを隊長格に投げ渡した。今まで胸当ての中にあったから気が付かなかったや。
 ドッグタグ的なものかしらと私が考えていたら、隊長がそれを見て目を丸くした。
「白銀!?」
 と。

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